• はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
IT業界に入ったキッカケ、職場の不満、今後のキャリアetc. 男性の皆さんわかってよ!女性SEの仕事へのキモチ
職場でこのレポートを見ているあなた、周りに女性エンジニアはいますか? 今回Tech総研では女性エンジニア300人にアンケートを実施し、本音を徹底分析! あなたの周りの女性が日ごろどう思っているか、これでわかる!?
(取材・文/鎌江友香 総研スタッフ/山田モーキン イラスト/岡田丈)作成日:07.02.23
300人のIT系女性エンジニアの本音を一挙公開! ここが不満&満足 IT業界
 このたびTech総研リニューアル企画として「女性エンジニア」に注目したレポートをお届けする。そう、男性エンジニアの隣で仕事をしている彼女たちについてだ。IT・ソフトウェア系を中心に、300人の女性エンジニアにTech総研独自のアンケート調査を実施した。
 まずは彼女たちがエンジニアになろうと思ったきっかけを紹介していこう。当たり前というか、もともとパソコンに興味をもっていたという回答が多数。「中学の技術課程で学んだBASIC」など、中学や高校でパソコンに触れたことがきっかけになっている人が多かった。また「モノをつくる仕事」に携わりたいという志望理由が多かったことも、特徴として挙げられる。
 就職してからのIT業界に対する印象について聞くと、「変人・オタクが想像以上に多かった」という声と、半面「思ったより普通の人が多い」という声の両方が。いったいどんなイメージをIT業界に抱いていたのだろうか!?
 それではそんな女性エンジニア300人が今、IT業界に抱いている不満&満足ポイントを探ってみよう。
福利厚生などの制度面におけるIT業界のここが不満! わたしたち「男女差別」でなく「男女区別」してほしいんです!
 まず、福利厚生などの制度面から取り上げてみよう。今回のアンケート結果では、女性のライフステージから避けることのできない出産・育児にかかわる制度に不満が集中した。「産休に入るまで普通に夜11時くらいまで残業していたので、きつかった」など、周囲が女性ならではの体調の変化に対して気を使ってくれないという声が多数上がった。確かに女性ならではの妊娠・出産などはとかく男性にはわかりにくいこと。だからこそ、女性エンジニアたちは男性エンジニアのフォローを求めているようだ。つまり「男女差別」するのではなく、結婚・妊娠・出産・育児と変化する女性の体調や事情を考慮して「男女区別」をしてほしいという声が圧倒的だったのだ。

  ところが現実を見てみると「産休=退職」というイメージの会社がまだまだ多かったり、「産休・育休制度は存在しているが実際に使用している人を見かけない」ということも。「子育てと両立は無理だと思う」というシビアな回答もあった。現在、皆さんの周りにも産休を取っている女性エンジニアは存在するのだろうか?
福利厚生などの制度面における女性エンジニア不満足度
女性エンジニア 代表的なコメント
・産休して復帰した女性が会社にいない。家庭を優先して働ける環境がないと思う。
(28歳:システム開発(Web・オープン系))
・残業が多く、子供を産んでからの勤務は難しい。担当業務をライフステージに伴い変化させてほしい。
(35歳:社内情報システム、MIS)
・残業の調整につきると思う。つまり子供の迎えがあるため長時間の残業ができない場合、どうするか?
(39歳:通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系))
会社&上司からの評価・待遇面におけるIT業界のここが不満! 残業時間で評価しておいて「どうせ女だから」と言わないで!
 では評価・待遇面ではどうだろうか。「不満がない」と答えた人は全体の約4割にのぼった。そのほとんどは評価において、性差を感じたことがないという人たちだ。では不満がある女性エンジニアは、どんな点に不満を募らせているのだろうか。

 大きく分けて、「評価の基準があいまい」「評価に男女差別がある」という二点に集約された。同じIT業界とはいえ、今回のアンケート結果からは会社ごとの違いが大きいという傾向が出たわけだ。「客先に常駐しているので、何をもって評価しているのか全く不明」など、きちんと部下を見ていない上司は論外だが、そもそも長時間労働前提での評価が多いことに不満が出ている。とにかく残業が多いといわれるIT業界、残念ながら稼働時間で個人の評価をしている上司がまだ多いようだ。

 このように男女共通といえる「評価基準」への不満がある一方、「男性上位」という問題が浮かび上がった。「同じ能力をもっている場合、いつでも男性のほうがよい評価を受けてしまう」という「男性上位」の雰囲気が感じられるというのだ!それは後述する「仕事の割り振り」にもつながっている。また産休・育休を取ったことが評価においてマイナスになってしまうことに、多くの人が疑問を投げかけている。
会社や上司からの評価待遇面における女性エンジニア不満足度
女性エンジニア 代表的なコメント
・稼働時間で判断していると思う。していないといいますが……残業しないと働いてないみたいに思われる。
(30歳:システム開発(Web・オープン系))
・女性と男性であれば、同じ能力でも男性が有利。「そのうち結婚していなくなる」程度に考えられている。
(27歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)
・産休を含む年度の評価はマイナスになってしまう。「産むな、働け」と言われているようで嫌気が差す。
(29歳:システム開発(汎用機系))
男性エンジニアの職場での対応におけるIT業界のここが不満! 私は雑用係じゃない!エッチなグラビア・フィギュアもやめてください
 男性エンジニアに対する不満もアンケートで聞いてみたところ、ちょっと厳しい回答が相次いだ。だがご安心あれ、円グラフでもわかるように「不満がない」人が実は半数を占めている。
 ひと安心したところで、不満の中身を見ていこう。まず目についたのは、セクハラ。職場に飾っている水着のグラビアアイドルやフィギュア、実はセクハラに感じている女性エンジニアが存在した。ほかにも「嫌な愛称やちゃんづけで呼ぶ」など、男性自身が無意識に行ってしまいそうなセクハラ談が挙げられた。

 次に待遇面でも話題になった「男女差別」。「女性部下に仕事を振れない」という困った上司がいたり、「女性」だからという理由で特別扱いしようとする上司・同僚が多いようだ。加えて女性ばかりに雑用を頼む男性が多いという回答が多数! お茶くみ、電話取り、備品の管理に始まり「女の子のほうが整理整頓が得意」と言うあきれた上司もいるとか。
 そして「女性特有の問題」への男性の理解・意識の低さに、最も不満が集中した。特に子育て、生理痛などへの理解が足りないようだ。「子供を預けながら働いている女性に対し、定時ぴったりに帰社することに文句を言う」など、子育てしながらの女性の事情に手心を加えることができない男性が多いようだ。また、男性と女性の体力は違うのに同じ仕事量、同じ力仕事を頼む上司などにも反感が集中した。
男性エンジニアの上司・同僚の、職場での普段の言動や対応における女性エンジニア不満足度

 下に掲載するインタビューでも話題になったが、これらの問題の根本には「育児や家事は女性がするものと思っている」男性エンジニアが多いという、女性エンジニアからの指摘がある。また特にエンジニアの場合、制度として男女の待遇が同じというところにも理由があるようだ。つまり「同じ給料をもらってるんだから、同じだけ働くべき」と考える男性が多いという傾向が今回のアンケート結果からは読み取れる。いくら男女分け隔てないとはいえ、ちょっとしたフォローや気遣いがほしいというのが女性エンジニアの本音のようだ。
女性エンジニア 代表的なコメント
・デスクにアニメキャラ(セクシー系)やグラビアアイドルの写真などを置いている男性社員がいて、女性にとっては不愉快。
(26歳:システム開発(Web・オープン系))
・現在庶務担当者がいないため、お茶出しや備品の管理などはすべて女性SEが行っている。お茶出しは誰でもできることなので、女性でなくてもよいと思う。
(23歳:ネットワーク設計・構築(LAN・Web系))
・「結婚して辞められるからいいよね。自分は家族を養わなきゃいけないから」と露骨に言われる。これはエンジニアうんぬんではなく、ただのセクハラだろうか?
(27歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)
仕事内容におけるIT業界のここが不満! 出産育児もしたいのに、手本となる人やキャリアパスがない!
 IT業界の根本的な問題として、残業が多い点が挙がった。これが出産・育児をしながら働く女性にとって大きな負担になっている。「夜中は働かない!という、一見当たり前の意見が異端視される」など、IT業界の現状はまだまだ厳しい。また「ヒマなときと忙しいときの差が激しすぎる」という男性エンジニアにも共通する悩みも回答に挙がった。残業が多いため、とりわけ短時間勤務中の女性エンジニアへの仕事の割り当てがうまくいかないようだ。短時間勤務者の不満も周囲の女性エンジニアの不満も、そこに集中する結果となった。とにかく「残業が多い」のが女性エンジニアのネックになってしまっている。

 女性の働き方にも大きく分けて、「バリバリ働きたい」派と「家庭重視」派の2種類あることが、男性側の混乱を招いているようだ。個々の女性がそれぞれに合った働き方を選択することが、現状このIT業界では困難となっている。それが既婚の女性エンジニアの働く環境を阻害しているという結果が、今回のアンケート結果からうかがえるだろう。
 最後に、女性への教育体制の不備という回答があった。育休後の女性のキャリアパスが開けていないのだという。「女性にはキャリアプランを考えない」上司に加え、手本となるような先輩女性エンジニアもいないという絶望的状況。「子供ができたらもう終わり」と考えている会社では、教育自体があまり行われていないようだ。
仕事の内容における女性エンジニア不満足度
女性エンジニア 代表的なコメント
・上司が異常な量の残業、休日出勤を無言の圧力で強要している。(27歳:システム開発(Web・オープン系))
・残業が多いので、結婚・出産すると働きづらいイメージがある。そのため、結婚・出産後に働き続けている人がとても少ない。(31歳:システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系))
・今の仕事が3年後5年後……につながっていくという気がしない。女性だけ、長期のキャリアプランを考えた仕事の割り振りをされていない気がする。(29歳:システム開発(Web・オープン系))
IT業界のここが満足! 女同士のしがらみがなく、評価に男女差別がないのがよい!
 今回のアンケートでは、この業界の満足点も回答してもらった。とにかく「女同士のしがらみがない」「女らしさが求められない」という女性ならではの回答が。これは男性エンジニアにはない、女性特有のケースといえるかもしれない。

 エンジニアならではの勤務形態として、在宅勤務が好評だった。働く時間や場所が拘束されないため、多様な働き方を求める女性にとって利点が大きいようだ。「今、不妊治療を受けていますが、私は在宅勤務なので問題なく病院に通えています」という声も挙がった。
 また、これまでのアンケート結果と多少矛盾するものの、多くの声が仕事内容・評価について及第点を挙げていた。いくつかの不満点はあるものの「結果主義でばさっと」していたり「言いたいことは主張」できたり、とにかく「仕事ができれば性別は関係ない」という点が女性エンジニアに大きく評価されたようだ。つまり制度面では女性は不利なことが多いが、作業面では男女差がないというところでポイントが高いということ。職場によって実際の状況は大きく違うようだが、このIT業界では男性も女性も待遇や仕事内容に大きく変わりはない、という意見が多数だった。

 最後に、「エンジニアとしての原点」の声を取り上げよう。「プログラミング自体が好きなので、(モノをつくっているという充実感)苦労も多いけど喜びもある」。女性・男性と区別せずとも、エンジニアとしての気持ちはみな同じなのだ。
IT業界に対して、何かしら満足している女性エンジニアの割合
女性エンジニア 代表的なコメント
・技術があれば、女性でも評価される。 (26歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)
・女性だらけの職場に比べ、嫌味な人がいない点はすごくいい。 (28歳:システム開発(Web・オープン系))
・結婚後も仕事を続けている女性の前例がほしい。 (26歳:システム開発(汎用機系))
その2 女性エンジニア座談会からみえてきた、IT業界ならではの問題と切なる要望
 続いて、20代の女性エンジニア2人にインタビューを行った。エンジニアになったきっかけから現状の不満&満足、そして今後の仕事のビジョンについて、お聞きした生の声をお送りする。
エンジニアになったきっかけと、入ってからの印象
――最初に、エンジニアになろうと思ったきっかけについて教えてください。
A: きっかけは、学生のときに何げなく取ったシスアドの資格ですね。それに、自分の身を立てていけるだけのものをちゃんと身につけられる仕事を探したいというのがあって。
B: 私が就職したときは、ITバブルぎりぎり最後で。IT業界だけはまだ景気もよくて、魅力的に見えたんでしょうね。
――実際に就職してみて、IT業界に対する印象は何か変わりましたか?
B: 以前は「IT系って本当にオタクばっかり」というイメージがあって。でも最初に研修とかで仲良くなって違うなと思ったんですけど。ずーっといると「やっぱりオタクじゃん」みたいな(笑)。外見的にオタクという人はいないけど、家に帰ってからもみんなパソコン触ってますよね(笑)。
A: 机に何飾ってもいいんですけど、本当にフィギュアが並んでいるんですよ。「これセクハラだよ」ていうようなフィギュアとかも普通に並んでたりとか。それがIT業界では普通なんで「あーおかしいなー」と。
――ちなみに職場内での女性比率はどのくらいでしょう?
A:

1割いないと思います。やっぱりやりにくいなと思うときはありますけどね。お昼どっか行くみたいな話になったときも、気を使ってくれる人は使ってくれる。だからたくさんはいらないけど、「もう一人女性がいたらな」と思うことはよくありますね。

B: 同じですね。仕事をするだけだったら、本当に何も問題がなくて。お昼ごはんのとき、みんな食べるのが早いんですよ、男の人たち(笑)。で、一人遅いと逆にすごく気を使われるので、もう必死に食べて(笑)。男の人たちだけで遊びに行くとかいうことがあると、疎外感じゃないですけど、ちょっと寂しく感じるときもあります。
Aさん
Aさん
最初は小さいSIベンダーにSEとして勤める。現在はある企業の社内SEに転職。SI業界7年目の中堅。
Bさん
Bさん
大学卒業後、主にプログラマとしてSIベンダーに5年勤める。最近SI業界に見切りをつけて転職したばかり。
女性エンジニアからみた、IT業界の不満
――IT業界の福利厚生などで不満点などはありますか。
A: 産休を取って復帰した人を見たことがないんですね。子供ができた時点で辞めてしまう人が多くて……。もし自分に子供がいたとしたら無理だろうな、とは思いますね。制度としては時短勤務があるんですけど、それをやっていたらたぶん仕事にならないので。
B: うち、時短使っている人もいたんですよ。でもやりづらそうです、その人も周りの人も。「子供がいるのはわかるけど、早く帰るのはどうなのよ」とちょっと白い目で見られちゃう。
――周囲の男性エンジニアの普段の言動や対応についてはいかがですか。
B: 「出産したら辞めるべき」って言われましたよ、私。男の人はSEで奥さんは専業主婦っていう人が多い。自分の奥さんが家にいてほしいって思うのは全然構わないんですけど、それを私にも押しつけるんですか、みたいな(笑)。
A: なんて言うんでしょう、デリカシーがないんですよね(笑)。しゃべる話題が「職場のそばにメイドカフェができたんで皆で行きましょう」とか。
B: うちも言ってたー!(笑)。
A: 携帯の最新機種とかの話になると止まらない人もいるんですよ。「もういいじゃん、何が入ってたって」とこっちは思ってるのに(笑)とか「なんですか、このサーバー名」と聞くと「なんとかのガンダムの名前をつけた」と(笑)。
B: みんな会話のネタが少ないんですよね。たぶん何をしゃべっていいのかわからないのでは。
女性エンジニアからみた、IT業界の不満
――不満が多く出てきましたが(笑)、IT業界で満足している点についてお聞かせください。
B: 評価・待遇で男女差別がないというのがいちばんいいところだったんじゃないかな。
A: そうですね。もちろん男女同じものを求められますので、頑張らないといけないですけど。
――これからのお仕事の展望はどうですか。
B: 仕事の中身自体はそれなりに面白みがあると思うんですよ。やりがいとお給料のバランスがあると思うんですけど、その辺この業界は真ん中くらい。この業界を選んだことは後悔していないけど、やりがいを感じてずーっと頑張れるかっていうと、ちょっと。
A: この業界を選んだのは間違ってはいなかったと思うんです。平等に評価されてきたし。自分のキャリアとして今この位置にいる、ということに対して後悔はないです。でもずっとエンジニアとしてやっていくかというと、別ですね。
B: 制度的には結構いいと思うんですよ、この業界は。でも制度が整って使えるかというと……。現場の感情的な理由でうまく回らないのかなと。
A: 時短じゃなくて「全員定時で帰ります」て決めちゃえばいい(笑)。
――では最後に、男性エンジニアにこれだけは言いたいことってありますか。
B: テンションが全体的にちょっと低いんで(笑)、せめて営業さんのノリに、少しでも近づいたらな、と。
A: 確かに女性エンジニアは自己主張の強い人が多いですけど、もっと普通に声をかけていただけると(笑)。
最後に 女性エンジニア300人の今後のキャリア展開について
 最後に、男性エンジニアも日ごろ考えているであろう「この業界でこのまま仕事を続けていくかどうか」について聞いてみた。「しばらくは今の仕事を続けるつもりだが、将来のことはわからない」との回答が約半数、「いずれ、(もしくは近いうちに)エンジニアを辞めるつもり(IT業界を離れる)」という回答は約32%にのぼった。
 今回のアンケート結果からは「この業界では働き続けることができないだろう」という意見が複数見られた。だが、短時間勤務などを含む働き方に幅ができたり、在宅勤務の一層の拡大などが進めば「これからもずっと」と思う女性エンジニアが今後きっと増えていくだろう。

 ただでさえ人手不足のIT業界、この先も男性女性問わず多くの人材が必要となっていく。アンケート結果では「自分の奥さん・彼女が働きやすい職場・仕事環境を考えてもらいたい」という声もあった。特にこれからIT業界に入ろうとする女性に、現場の男性エンジニアはどうアピールしていけるのだろうか?
コラム 女性エンジニアが活躍できるカギは、絶対数の増加とロールモデルの存在
 ここまで取り上げてきた女性エンジニアにとって、IT業界がよりよく変わるためには何が必要だろうか。そのひとつのヒントを得るために今回、日本女性技術者フォーラム(JWEF)委員長の菅原香代子さんにお話を伺った。
 問題点は、女性の役職者が少ないためロールモデルがいないこと。より生き生きと仕事をするためには、まずは「ロールモデルをつくる」「女性エンジニアの数を増やす」ことが何より必要です。
 COSMOS(下記注釈参照)もJWEFも「ロールモデルを見つける」ことを共に提案していて、先輩女性をパネルディスカッションなどを通して若手に紹介しています。またマッチングしたメンターをつけることもしています。女性で役職に就いている人は現実少ない。だからこそロールモデルをつくって見せていかなければならないし、それは経営側の責任でもあります。

 IT業界はまだまだ男性社会なので、女性エンジニアを増やすためにJWEFが特に力を入れているのは、女子大生や中・高生を対象としたセミナーです。少子化の現在、女性の有効活用が注目されていますが女性で理系、とくに工学系や大学院に進んでいる人はまだ少ないので、優秀な理系の女性はどの企業からも引っ張りだこなんです。また「手に職をつける」というのは女性にとって大きな武器になります。ところが女子学生は、エンジニアが何をしているのかさっぱりわからない。働きやすい進路として、もっと紹介していかなければいけないんです。

 今後は、在宅勤務も拡大するでしょう。働き方の選択肢として「家庭を大事にしたい」「キャリア志向」など男女問わずありますが、それを受け入れられるダイバーシティ(多様性)が職場にあるかどうか。例えば私の勤務する日本IBMでは、女性だけが取れるのは「産前産後休暇」のみで、それ以外は男性女性関係ありません。
 そして、この記事をご覧になっている男性エンジニアにお願いしたいのは、女性エンジニアにぜひ普通に接してください、ということですね。特別扱いが必要なのではなく、積極的にコミュニケーションしてください。女性も今だからこそ、活躍できるチャンスがあると思います。技術の強みがあれば、男女差別は関係ありません。
菅原香代子さん
菅原香代子さん
日本アイ・ビー・エム株式会社 技術理事。忙しい業務の傍ら、日本女性技術者フォーラム委員長、IBM社内の女性技術者コミュニティ「COSMOS」のリーダーを務める。
JWEFが出している著作物
JWEFが出している著作物
日本女性技術者フォーラム(JWEF)とは?
 IT業界のみならず、女性エンジニアという切り口での日本国内初のコミュニティ。女性技術者間の交流・情報発信の場所として1992年に発足した。アメリカには1950年発足のSWE(Society of Women Engineers)という女性技術者に対するコミュニティがあるがJWEFでも同様に、女性技術者の交流やさまざまな提言、イベントを行っている。近年は理系女子学生を対象にしたイベントに積極的に参加している。現在の個人会員は約200人、コーポレート会員として7社が参加している。
http://homepage3.nifty.com/jwef/
COSMOSとは?
 日本IBM社内の女性技術者コミュニティ。女性が能力を発揮できる環境づくりの一環として、また全社横断的な女性技術者の育成を目的として2005年に発足した。女性技術者の育成を積極的に支援している。具体的には、1)キャリアアップ、2)意識改革を助けるための活動、3)理系離れが進む女子学生への働きかけ、を主に提言している。
  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
あなたを求める企業がある!
まずはリクナビNEXTの「スカウト」でチャンスを掴もう!
スカウトに登録する
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
Techではなかなか取り上げる機会の少ない女性エンジニアの皆さんが普段、どんなことを考えているのか?という興味からこの企画が生まれましたが、私自身としては新しい発見が多くあり、今後の参考になりました。世の男性エンジニアの皆さん、このレポートをキッカケに、あなたの近くにいる女性エンジニアに一度、声をかけてみてはいかがでしょうか? きっと新たな発見と驚きが体験できるかもしれません。

このレポートを読んだあなたにオススメします

大手SIを出産退社後、再びエンジニアの道へ……

出産後の復帰を2度目の転職で成功させたM.Aさん

エンジニア☆マル秘転職活動記season.2生涯現役を望む女性エンジニアにとって、出産はキャリアプランを揺るがす一大事。近年は少子化対策もあり復職・育児支援制度などの広がり…

出産後の復帰を2度目の転職で成功させたM.Aさん

テックハニー“きゃんち”の突撃☆会社訪問

働き方に国境性別関係なし!仕事と家庭の両立する職場

テックハニー“きゃんち”の突撃☆会社訪問テックハニー初登場の女性エンジニアは中国出身のSE!とかく多忙と見られるSEとして活躍しながら、ゆとりをもって仕事と家庭をうまく…

働き方に国境性別関係なし!仕事と家庭の両立する職場

残業ゼロ、給料激減、部署廃止…歴史的経済危機にじっと耐え忍ぶ

ドS不況VSドMエンジニア 100年に一度の攻防戦

100年に一度といわれる世界的な経済危機の影響を今、モロに受けているというエンジニアたち。今回、その悲惨な現実の数々を紹介すると…

ドS不況VSドMエンジニア 100年に一度の攻防戦

納期ギリギリの仕事、お客の言いなり…自分も昔は現場だったのに

今はもう通わない心と心…部下から上司へ7通の手紙

上司も昔は熱いハートをもつエンジニアだったはず。それが今では、納期に間に合わない仕事ばかりをさせ、言うことはコロコロ変わり、お客…

今はもう通わない心と心…部下から上司へ7通の手紙

「年収にはこだわってない」「今すぐ転職する以外考えられない」

年収250万円未満で働く30代エンジニアの胸の内

これまでTech総研では、アンケート調査を元に職種別、地域別、年齢別などさまざまな観点で、給与データをご紹介してきた。しかしデー…

年収250万円未満で働く30代エンジニアの胸の内

こんな時代に人事が欲しがる

年収1000万円超プレイヤーの自己投資術

不景気だから年収が下がるのは当たり前、と思ってはいませんか? 世の中には、こんな時代でも年収が上がり続ける「不況知らず…

年収1000万円超プレイヤーの自己投資術

この記事どうだった?

あなたのメッセージがTech総研に載るかも

あなたの評価は?をクリック!(必須)

あなたのご意見お待ちしております

こちらもお答えください!(必須)

歳(半角数字)
(全角6文字まで)
  • RSS配信
  • twitter Tech総研公式アカウント
  • スカウト登録でオファーを待とう!
スマートグリッド、EV/HV、半導体、太陽電池、環境・エネルギー…電気・電子技術者向け特設サイト

PAGE TOP