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ユーザークレームから逃れたい一心で、転職先が決まらないうちに辞表を提出

退職が迫る中、ヘッドハントで開発職へ転職したH・Tさん(29歳)

H・Tさんがいた証券会社のトレーディング部門では、毎日の売買時間中のシステムトラブルが微塵たりとも許されず、少しでも障害が起これば激烈なクレームが飛ぶ。そんなプレッシャーの連続にH・Tさんは転職を意識し始めたのだが……。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田せいめい) 作成日:04.10.27

キッカケ編
ユーザーからプレッシャーのかかる毎日

毎日、朝がくるのが怖い

 今朝も常駐する証券会社のトレーダーから強い口調で叱咤された。「入力データが反映されない! これじゃ仕事にならんだろう!! 株の売買は1分1秒が勝負なんだ!!! 5分以内に直せ!!!!」。慌てて端末の前で状況を調べる。ホスト側か?ソフトのバグか?ネットワークの遅延?……やれやれ、入力設定が変えてあるだけじゃないか。前の晩にでも無意識にキーボードを誤操作したのだろう。あっと言う間に直す。ところが相手はあれだけ激昂したのに、さもシステムが悪いといった表情だ。でもお客様だけに反論もできない。本当にシステム側に重大な責任があったときは、どれほど罵倒されるのだろう。

このままではエンジニアとしても疲弊するだけ

 ちょっとしたトラブルでもキツイ苦情が押し寄せる毎日。しかも、そのほとんどがユーザーの勘違い。トレーダーの仕事は激務なのだろうが、こっちにストレスの矛先を向けられても……。とうとう円形脱毛症になってしまった。

 このままではいつか精神的に破綻を来すか、体を壊してしまう。それに、毎日がこのような業務ばかりでは、エンジニアとしてのスキルアップは望めそうもない。現に3年間、わき目も振らずに頑張ってきたのに、身についたスキルといえばUNIXの操作と運用ノウハウだけ。開発エンジニアたちのミーティングに参加させてもらえるが、技術的な会話についていけないのだ。システム開発やネットワーク構築の技術など、勉強する時間もなかった。このままではエンジニアとしてヤバイ。職を変えるしかないのか……。
PROFILE
Webシステム開発会社
ソフト開発エンジニア
H・Tさん(29歳)

1997年に私立大学教育学部を卒業。教員になったのはゼミで一人だけ。友人のほとんどはマスコミ業界に就職したが、H・Tさんは在学中にコンピュータ会社でアルバイトをしており、IT業界を指向。金融システムを手がけるベンチャーに就職した。
H・Tさんの転職活動DATA
前勤務先 金融システムの開発ベンチャー
ユーザーサポートエンジニア
転職した時期 2003年 6月
活動期間
(決意〜内定)
約4カ月
転職理由 プレッシャーのかかる仕事から逃れたい。開発がしたい。
会社選びで優先したこと 仕事内容、職域
実際に応募した社数 7社
内定社数 4社
落ちた社数 3社
辞退した社数 3社

応募からの日数
 B社:Web系ソフト開発会社
 C社:Webシステム開発会社
  B社 C社
書類選考 14日 ナシ
1次面接 21日 すぐ
(内定)
2次面接 28日  
3次面接 35日
(内定)
 

転職準備編
転職セミナーで人材紹介会社と出合う

人材紹介会社の担当者にすがりついた

 転職を決意すると、後先のことを考えずに動き始めた。まずは雑誌で見た転職セミナーに参加。求人誌や新聞の求人欄を見て応募するよりすぐに転職できると思ったからだ。そして、実際に出会ったコーディネーターに頼みこむように現状を訴えて転職先の斡旋をお願いした。ところが、ユーザーサポートから開発への転職コースはなかなかなく、普通は逆のコースだという。それでも何とかやってみましょうという言葉を取りつけた。
気がはやって転職先が決まらないまま辞意を伝えてしまう

 転職活動を開始すると同時に、スグに転職先が決まるような気がして、つい上司に退職の意思を漏らしてしまった。すると「なぜ?」「どうして?」と詰め寄られた。新人のころから育ててやったのにといった憤りのようだ。しまった、辞めたい気持ちが先走って、言い訳などまったく用意していない。それからしばらくは険悪な雰囲気が続いた。「引き継ぎはちゃんとしろよ!」とばかり、勢いで退職日が決定した。とうとう転職先が決まらないまま辞めなければならなくなった。不安が募る。
活動編
決まりかけていたところに知人からの誘い

開発をやらせてくれる企業がこれほど少ないとは

 例のコーディネーターと会話を重ねながら、応募先を絞っていった。採用の可能性からリストアップされた会社は約10社。この10社にプロフィールを送ってくれるそうだが、コーディネーターの表情は厳しそうだ。自分にもそれが伝わってきて、ハローワークにも足を運んだりした。そして、そこで転職がいかに難しいものかを知り、ブルーになった。

 コーディネーターから電話があり、6社と面接がセッティングできたそうだ。かすかな希望が出てきた。そして順番に面接に挑んだ。その結果は、内定3社! ところが喜ぶことはできない。3社中、2社は開発以外での採用枠だった。でも、もう運用はやりたくない。規模が小さく開発案件の内容を聞いて気が進まなかったが、残りの1社であるB社で決まりか……。
 しばらくフリーターをする経済的余裕などない。アルバイトを探すのも難しいかもしれない。ここは妥協するしかないか。こんなことなら、辞意を示さなければよかった。そうすれば、じっくりと転職活動できたのだ。
捨てる神あれば拾う神あり

 退職の日が迫りながら希望の会社に出合えず、半ば妥協でB社に入ろうと思っていたそんなある日、以前仕事で関係したことがある知人から電話がかかってきた。「独立開業することになったので、うちに来てくれないか」というものだった。ヘッドハンティングだと思ったら気分がよかった。誘ってくれたのは45歳のベテランPM。コーディネーターには悪いが、話を聞いてみることにした。
待遇交渉の末、決着

 さすがに新たに出発するC社には勢いがあった。B社と規模は変わらないが、成長の可能性がある。しかも知人も多く、こちらの要望でもある開発職を確約してくれた。内定だ。
 だが、最後に条件面だけが不満だった。B社より収入が低いのである。そこで思いきってB社のことを話し、待遇の交渉を始めた。年収にして1万円単位の詰めを行う。そしてB社以上の条件を勝ち取った。不安だらけの転職活動が、ようやく終わったのだ。もう、あのクレーム地獄から脱出できる!

転職活動考察

 現在、C社で念願の開発職に就いている。基本情報技術者の資格を取り、今はソフトウェア開発技術者に挑戦中。セキュリティアドミニストレーターも狙っている。この会社ではSEとしての基礎を固め、どんどん開発実績を積んで行こうと思う。そして、いずれもっと規模の大きなSIerにステップアップしようと考えている。元請けSIerか大手SIerとパートナー関係にある中堅SIerの方が、よりPMへの近道と考えているからだ。もう辞める気ばかりが先行して、焦ってバタバタとする退職はしたくない。今度は準備をしっかり整え、じっくりと腰を据えて転職活動に挑もうと思っている。
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エンジニア☆マル秘転職活動記

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