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エンジニアに勤務時間の自由度は必要か? フレックスタイム制度廃止に賛否☆大激論 エンジニアに勤務時間の自由度は必要か? フレックスタイム制度廃止に賛否☆大激論
エンジニアに勤務時間の自由度は必要か? フレックスタイム制度廃止に賛否☆大激論
エンジニアに勤務時間の自由度は必要か? フレックスタイム制度廃止に賛否☆大激論

(CGイラスト/花山 由理)
エンジニアに勤務時間の自由度は必要か? フレックスタイム制度廃止に賛否☆大激論

大手企業が続々とフレックスタイム制度を廃止したというニュースが新聞の紙面をにぎわしたのは、まだ記憶に新しい。今まで当然のようにあった、小さな「特権」がある日突然奪われるかも――そんな状況に対してエンジニアは何を思うのか? 賛否両論、モノ申す!
(取材・文/入倉由理子 総研スタッフ/宮みゆき) 作成日:04.01.28
Part1 相次ぐフレックスタイム制度の廃止をどう思う?
1998年以降、確実に導入企業が減少している
 現在、あなたの会社では、フレックスタイム制度を採用しているだろうか?
 この制度は、バブル期以降、個人個人のライフスタイル、仕事の進め方に合わせた時間設定により、創造性や生産性を高めようと企業に広がっていったもの。しかしここにきて、フレックスタイム制度を廃止する企業が目立ってきた。
 厚生労働省の平成14年賃金事情等総合調査(速報)によれば、フレックスタイム制度を採用している企業は、平成10年の68.4%をピークに、平成14年は67.3%と下降し、制度廃止はデータにも確実に現れている。(データ1)

 オフィスのIT化が進めば進むほど、社員同士が顔を合わせなくても、メールやイントラネットを使用することでスムーズに情報が伝達できるようになる。だから、ITの浸透の度合いを見れば、フレックスタイム制度はより拡大しても不思議ではない。
データ1 フレックスタイム制度の実施状況
出典:厚生労働省 平成14年賃金事情等総合調査(速報)
 しかし、「実際には情報伝達はフェイス・トゥ・フェイスのほうがスムーズであり、全員が顔をそろえる時間が少なければ少ないほど、作業効率が落ちる、ノウハウや知識の共有がうまくいかなくなり、ひいては顧客満足が低下する」という判断が、廃止する企業の主な理由となっている。
より高い成果を挙げるために必要な制度という声が多数派
 この相次ぐ制度廃止を、エンジニアたちはどのように見ているのか。制度廃止に「よいことだと思う」と賛成するのは25%で、やはり少数派。(データ2参照)

 また、「フレックスタイムはあった方がいいか」という設問に対しても、「あった方がいい」とするのが79%、「なくてもいい」というのは21%にとどまった。
データ2 賛成?反対? フレックスタイム勤務制度の廃止
 フレックスタイム制度「賛成派」が多い理由は、「通勤ラッシュに合わない」「朝遅くまで寝ていられる」といった「ラク」なことを志向した回答だけではない。より効率よく仕事を進め、高い成果を挙げるために欠かせない制度であるととらえている人が多いことが、次のコメントから見て取れる。

 一方「反対派」は、フレックスタイム制度を廃止する企業が挙げる理由とほぼ一致している。顔を合わせる時間が短いことで、コミュニケーションロスなどの発生を訴え、自己管理できない人々を批判する向きもある。
フレックスタイム制度「賛成」派
○管理する側がやりにくいというだけ。今の時代、全員が顔をそろえて会議をするのはムダだし、意思の疎通はメールでも十分
(セールスエンジニア・33歳)


○最低限の時間拘束はチームプレーである以上必要。ただし、開発のように一人でじっくり考えたい時間が必要で、家で仕事をするほうが効率的な場合も多い。不都合は部署単位で、解決法を考えるべきで、会社が決めることではない(半導体設計・32歳)


○「日本人に合わない」制度などの意見を聞くことがあるが、自己管理に「慣れていない」のであって、「合わない」わけではない。慣れていないなら、自己管理法を教えてあげればいい。ただ廃止するのは愚の骨頂(システム開発・34歳)


○会社が成果主義を主張するのであれば、勤務時間を拘束することにこだわるべきではない。フレックスが廃止され始業時間が早くなっても帰る時間は結局同じ。労働時間が延びるだけ
(研究開発・33歳)


○最近制度を廃止されたが、確実に仕事の効率は落ちている。ノウハウの共有ができないというのは、時間がそろわないからではなく、ITを使いこなせない人に問題がある。「朝9時から会議」といわれて、「コアタイム外だから嫌」といって顔を出さない社員はいなかった(生産技術・28歳)


○「できるヤツ」は理不尽なことを押し付けたら、自由に力を発揮できる場所を求めて会社を辞めてしまう。勤務時間も仕事の忙しさの変化に応じて、柔軟に変更すべき(回路設計・39歳)
フレックスタイム制度「反対」派
○フレックスタイム制度は「きれいごと」。定時に出社しないと仕事の効率は下がる。ブームに乗って一時は勢いよく登場したが、会社の利益の向上に貢献できない制度なので、消えていく運命にある
(社内SE・32歳)


○自己管理ができない社員が多く、フレックスタイム制度は時間に対してルーズさが許されるもの、とカン違いしている人がたくさんいる
(研究・特許・39歳)


○朝一番に会議はできず、コアタイムに会議が集中するなど、弊害も多い。全員そろうのが昼の間だけでは、会議などの時間も決めにくく、意思の疎通が取りにくい(SE・35歳)


遅い出勤の人の業務につき合わされて、早く出社している自分まで遅くなってしまうことがあり、「効率アップ」にはほど遠い(半導体設計・28歳)


会社が必要ないと正しく説明できて、時間にとらわれず、成果で評価するならば、廃止になっても問題ない(生産技術・30歳)

Part2 実際、フレックスタイム制度は活用できているのか?
導入されていても、業務上使いづらい場合も
 エンジニアには賛成派の多いフレックスタイム制度だが、実際は活用できているのだろうか。アンケートの結果は「活用している(していた)」人が68%。「活用していない」人の2倍以上と、大きく上回った。属性別に集計したデータ3をみると、導入から活用まではある程度、時間がかかることがわかり、また、廃止された会社では、活用されていなかった、活用できなかったことが、廃止の原因になったとも考えられそうだ。
データ3 フレックスタイム制度活用の実態
「活用していない」人のコメントをみると、「実際には使いづらい」「業務の特性上難しい」など、「使いたいけど使えない」という人が多く見られる。一方、効率や生活のスタイルを考え合わせ、自分には使いづらいと自ら判断している人も決して少数派ではない。
体調管理のため、リフレッシュのためなど使い方も多様
フレックスタイム制度「活用している」派の理由 フレックスタイム制度「活用してない」派の理由
フレックスというよりは「時差出勤」。午前中にメンバーが試作を行い、私は午後出勤して判断することが多い(コンサルタント・32歳)


納得のいくアウトプットができるまで残業し、翌日はリフレッシュのため遅く出社している。残業と疲労をできるだけ減らすために有効だし、自分のリズムで仕事ができる
(システム開発・30歳)


○自分のライフスタイルに合わせて活用。朝は苦手なので遅めに出社。自分が働きたくない時間に働いても、生産性は上がらない
(パッケージソフト・30歳)


○研究の進捗状況に応じて、出勤・退社時刻を決めている。朝、遅く出社するときには、秋葉原や書店に立ち寄って、最新の情報を収集することが多い
(研究・特許・30歳)
○顧客とのやり取りのために、顧客の勤務時間に合わせなければならないので活用できない
(コンサルタント・33歳)


上司の承認なくフレックス出社時間を定時のように使用する人が増えたため、使用に規制がかかった(回路設計・36歳)


必要なときに必要な人員がそろわず、非効率だと思う。チームでプロジェクトを進めている以上、出勤時間がそろわないのは開発効率が落ちる
(品質管理・36歳)


○定時に出社・退社できたほうが、生活のリズムができて、自分にとってはラク(研究・特許・30歳)
「廃止」ではなく、運用方法の模索が必要
 このように、「活用している」「活用していない」にかかわらず、その背景や思いはさまざまであり、「エンジニアにとってフレックスタイム制度は欠かせない」とひと言では言い切れない。しかし、アンケート結果にもあるように、エンジニアにとって自由な働き方の選択肢が一つなくなってしまうことに不安、不満を感じている人も多い。

 コミュニケーションロスやノウハウの浸透を妨げるといった運用上の問題がたくさんあることも事実である。しかし、「仕事の効率が悪い」からすぐに廃止することは、根本的な解決になるだろうか?もちろん導入されていても顧客や業務の特性上、活用できない状況もあるのはこれまで見てきたとおりだが、同時に、自らの責任の遂行を第一に考え「それもやむを得ない」と納得している姿も見えてきた。

 フレックスタイム制度という「選択権」を残したまま、個人、部署、会社の業務効率を下げず、成果を最大価しながら、「会社に時間を縛られることへのメリット・デメリット」を模索することを、エンジニアたちは求めているのではないだろうか。
体内時計とうまくつき合って仕事の効率アップを図る
 人は、1日を24時間より長い周期とする体内時計を持っており、そのサイクルに則って生活している。その体内時計と仕事の効率アップには生理学的に何か関係があるのではないか。その仮説をもとに、山口大学 時間研究所 所長 井上愼一教授に取材をした。


「人の集中力、注意力を測る実験によれば、朝から徐々に集中力が高まり、昼12時過ぎから午後3時、4時にピークが訪れます。その後は、どんどん集中力が下降し、徹夜をすれば、当然効率は悪くなります。交通事故はもとより、チェルノブイリやスリーマイル島などの大事故も深夜から朝方に発生しており、これらはこうした時間に注意力が散漫になりやすい裏付けといえるでしょう。
 とはいえ長年、朝10時、11時から働き始め、深夜まで仕事を続けている人は、すでにそれが習慣化しており、朝早く仕事をしようと思っても、なかなか集中力は上がりません。また、朝が得意な人は朝から体温がぐんぐん上昇し、夜型といわれる人はなかなか体温が上がらないという傾向もあります。これは遺伝的な問題なのか、体内時計に個人差があるのも事実なのです。

 つまり、自分の体内時計がどんなリズムで動いているのか知ることがとても大切です。リズムを知らずに、ときには朝型、ときには夜型と不規則な生活をすると、胃腸障害を起こす確率が高いというデータもあります。

 もちろん会社生活を営むうえでは、上司や、同僚、顧客とも時間を合わせなければなりませんから、自分のリズムばかりを重視するわけにはいきません。自分と他者のリズムの折り合いをつけながら、規則性を持った生活をすることが、健康を守り、仕事を効率よく進める秘訣ではないでしょうか。」

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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
 私は完全な夜型タイプ。寝つきも悪いので毎日必ずマンガをベッドにしのばせ、読みながら寝ています。気づいたら家の中には2000冊近くのマンガが…。美容によくないと思いつつ、毎日夜更かししてしまいます。今度は体内時計と仕事効率の関係について研究してみたいです。みなさんは夜型、昼型どっちのタイプですか?

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