Power Over Ethernet／次世代通信網のコアテクノロジ

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VoIPによる次世代電話網の構築に欠かせない、Power Over Ethernet（PoE）。
ネットワーク関連では、無線LAN以来の大型イノベーションと話題だ。
腕に覚えのあるネットワークエンジニア諸君、このエキサイティングかつ魅力的な技術を見逃すな。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.01.07

　ネットワーク業界で最近、とみに話題になっているテクノロジーがある。端末をネットワークに接続するLANケーブルから電源を供給する、PoE（パワー・オーバー・イーサネット）だ。単なる電源供給の問題と考えてはいけない。PoEは新世代の通信インフラを構成するためのコアテクノロジーともいえるのだ。

　PoEの規格はIEEE802.3af-2003。現在のLANケーブルをそのまま流用する形で、ハブ側から機器に最大12W強の電力を供給する。この給電能力では、ピーク時に100Wを軽々とオーバーしてしまうようなノートPCなどを駆動するのは無理。最大の目的は、VoIPによるIP電話機を、LANに差し込んだだけで使えるようにしてしまうことだ。

　IP電話は今後の爆発的な普及が見込まれているが、PoEを導入すれば、例えば企業内で複雑な電話配線を行わずとも、LANだけで通信網を組むことができるようになる。そんなPoE接続のための機器も、早くも登場し始めた。次世代通信網のコアテクノロジー開発や、PoEを前提としたネットワーク構築に携わることは、特にネットワークエンジニアにとっては技術者冥利に尽きるだろう。

　リクナビＮＥＸＴで「Power Over Ethernet」や「PoE」をキーワードに検索しても、直接ヒットする企業はない（12月17日現在）。だが、これをもってPoE業界は敷居が高いと考えるのは早計だ。なぜなら、PoEは今後、ネットワーク構築を行ううえでの必須スキルになる可能性が高いからだ。

　その意味では、LAN、通信キャリア、広域イーサネットの導入が始まっているISPなど、多くの業界が転職のターゲットになり得る。ネットワークエンジニアはIEEE802.3afを理解しておくと、こうした新規ネットワーク構築への参入が容易になるだろう。

　一方で、PoE用の給電システム付きハブなどの、機器開発のエンジニア求人も十分に考えられる。こちらはトランスや電流安定化のための回路設計、組み込みファームウェア、無線技術などが主たるスキルとなるだろう。また、PoE対応は機器側でも行う必要がある。そのため、家電メーカーでも、PoE対応のエンジニア採用に動き出すことが予想される。
　無線LAN以来の大型技術であるPoE。ネットワークエンジニアにとって、チャレンジし甲斐のあるテクノロジーの登場だ。