Webマーケティングという仕事に就いている以上、Webに関する知識は少しでも多く持っていたいもの。しかし、普段業務で触れるWebマーケティングの知識は持っていても、Webの仕組みの知識については、実はあまり詳しくない、という方、いらっしゃいませんか?
そこで今回は、「Web」というプラットフォームで仕事をしている以上、「技術的なことはわからない」では済まされない、超基本の知識をご紹介します。
サーバ
Webマーケティングに関わる人で「サーバ」という言葉を聞いたことのない人はいないでしょう。そもそもWebというのは、この「サーバ」と呼ばれるものをつなぎ合わせてできているもので、人々が「Web上で見ている」Webサイトは、どこかのサーバに置いてある情報を見に行っている、ということになります。いわば情報が詰まった家のような存在です。
家にも賃貸や新築、戸建やマンションがあるように、サーバにもレンタルサーバや専用サーバ、クラウドサーバなど、サーバ会社との契約の仕方によってそれぞれ呼び名が変わります。
新たなサイトを立ち上げるときの、サーバの選び方も一応知っておきましょう。まず前提として使いたい技術(PHPのバージョンなど)が使えるかどうかがあり、その上でどれくらいの負荷に備えるのか(ロードバランサーを入れて負荷分散をするかどうかも含め)と、どれくらいのコストがかかるのかのバランスを見る必要があります。
特に最近は、負荷に応じて柔軟に容量を増設できるクラウドサーバを利用する企業が増えています。クラウドサーバの中でも月額固定の料金形態もあれば、利用した分だけ(上限なく)費用が発生するものもあるので、注意が必要です。
サーバについては制作会社や別部署に任せてしまうことも多いかと思いますが、Webの基礎知識として持っておきましょう。
ドメイン
ドメインはドメイン名に「.com / .co.jp」などのTLD(トップ・レベル・ドメイン)を組み合わせた形で作られ、「aaa.com」をルートドメイン、「bbb.aaa.com」をサブドメインと言います。TLDの中には、「.co.jp」のようなエリアを示すccTLDと「.com」のようなエリアを示さないgTLDが存在し、それぞれ内容によって取得できる・できないがあったり、取得時の価格が違ったりすることは覚えておきましょう。
また、新しいサービスについてのサイトを立ち上げるときなどは、新しいドメインを取得するか、既存サービスのサブドメインを利用するという選択があるかと思いますが、この部分を「何となく」決めてしまっている方はいらっしゃいませんか?
この影響を受けるのがSEO(検索エンジン最適化)です。詳細な説明はここでは避けますが、既存のドメインのサブドメインやサブディレクトリを使用すると、既存のドメインがもっていたパワーを享受でき、完全に新規のドメインを取得してサイトを展開する場合と比べ、順位が上がりやすくなることがあります。SEOでの流入を期待するのであれば、「なんとなく新規ドメイン」という選択をせず、どういうドメイン展開をすべきかについてもしっかりと考える必要があります。
静的 / 動的
Webサイト(ページ)の作りとして「静的(static)」と呼ばれる作り方と「動的(dynamic)」と呼ばれる作り方が存在します。たとえばGoogleの検索結果を思い浮かべていただきたいのですが、Googleの検索結果というのは「検索キーワード」をきっかけとして、それに適したサイトが表示されるような仕組みになっています。このように何かのリクエストによって表示されるページが変化するものを「動的サイト(ページ)」と呼びます。一方そう言った部分のない、単純なhtml等で直接書かれているものを「静的サイト(ページ)」と呼びます。
動的サイトを作る場合はphpなどのプログラムが書ける開発担当の方をアサインする必要が出てきます。静的サイトを作る場合は、htmlコーダーがいれば制作可能です。
自分のWebサイトの仕組み、どこが静的でどこが動的かといった部分を把握していないと、ちょっとの改修のつもりが実はかなり工数がかかってしまった、ということにもなり得るので注意が必要です。
スマートフォン対応
スマートフォンが普及したことに伴い、今やほとんどのWebサイトがスマートフォン用のレイアウト画面を持つようになりました。この「スマートフォン用サイト」を持つにあたっては、大きく3つの方法があります。
1つは「レスポンシブウェブデザイン」と呼ばれ、1つのhtml・1つのURLで運用されるもの。全く同じファイルを、CSSで制御することで、画面サイズによってレイアウトを変更しているものです。2つめが「ダイナミック・サービング」と呼ばれる、2つのhtmlを同一URLで運用するもの。UA(User Agent)によってPCかスマートフォン化を判断し、最適なhtmlを選択します。3つめが、htmlもURLもそれぞれ別で運用する方法。片方のURLにのみ「/sp」といった文言が入るのは、このパターンです。
この運用方法の違いによって変わるのが、「静的 / 動的」と同様、改修の影響範囲です。後者の2つであればhtmlソースは別なので、スマートフォンだけに何かの改修を入れようと思っても問題ないのですが、前者の「レスポンシブウェブデザイン」の場合は1つの改修が両デバイスに影響を与えることになります。
サイトによってはコンテンツによっても対応方法が異なるケースがあるため、自サイトのどの部分がどのような対応になっているかは把握しておきましょう。
Cookie
最後に挙げるのがCookieです。Cookieはブラウザごとに発行される、固有の識別子のようなもので、リターゲティング等の施策においてユーザーが同一かどうかを見極めるために使用されるものです。ここで重要なのがCookieというのは「ブラウザ」によって異なる、という点です。たとえば同じスマートフォンからの閲覧であっても、Safariで見ている履歴とChromeで見ている履歴、さらにはFacebookやGunosyなどで見ている履歴を紐づけることは難しいということになります。
Cookieの取り扱いについては今後変化していくことが考えられ、一部のモダンブラウザを中心に今後Cookieが使用できなくなる可能性もあります。特にリターゲティング施策に関わる方は、このCookieに関する情報には注目していった方がよいかと思います。
Webマーケティングを行っていく以上、Webの仕組みがどうなっているかという知識は、施策を考えるときに少なからず影響を与えます。「技術的なことはわからない」としてしまうのではなく、「なぜそうなっているのか」「どういう仕組みになっているのか」という点も、ぜひ探ってみてください。
監修:リクナビネクストジャーナル