催促メールの効果的な書き方とは?返信率を高めるポイントと例文紹介

ビジネスにおいては、「催促メール」を送る機会は意外に多いものです。例えば、契約書などの送付遅れ、納期の遅れ、入金の遅れ…など。一刻も早く対応してほしいとき、どのようなメールを送れば角を立てることなく、スムーズに対応してもらえるのでしょうか?『「仕事がしやすい」と言われる人のメール術』著者で、ビジネスメールの書き方に詳しい中川路亜紀さんに伺いました。

催促メールの作成に悩むビジネスパーソン_イメージカット
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催促メールの基本的な考え方

ビジネスを進めるうえで、決められた期日を守るのは基本中の基本。仕事でやり取りしている相手が期日を守らない場合は、催促メールを送る必要があります。
ただ、催促メールを送る際にはいくつかのポイントがあります。以下の基本的な考え方を参考にしましょう。

相手からメールが届いていないか、今一度確認を

催促メールを送る前に、本当に相手からメールが来ていないか、今一度確認しましょう。受信ボックスを検索し、迷惑フォルダなども必ずチェックを。実は思わぬ場所に格納されていた…ということは意外にあるものです。

また、相手と最後にやり取りしたメール内容も見ておくことをお勧めします。こちら側が期日を誤認しているかもしれませんし、相手が誤認するような書き方をしている可能性もゼロではないはずです。

いきなり催促するのではなく、まずは状況を伺う

どんなに困っていても、いきなり「遅れていますよ」「どうなっているんですか」と上から目線の責めるような書き方はしないこと。相手がなぜ期日に遅れているか、まだ状況がわからない段階だからです。単にうっかりしていたのかもしれないし、体調不良なのかもしれないし、急なトラブルが発生しているのかもしれません。

したがって、まずは相手の状況を伺うのが基本。「〇日までにお願いしていましたが、お送りいただいていますでしょうか?」「進捗状況はいかがでしょうか?」などと切り出すといいでしょう。

期日を過ぎたらすぐに催促メールを出す

催促メールを出すタイミングに悩む人は多いようです。数日は待つべきだろうか、1週間ぐらいは待ったほうがいいだろうか…などという声を聞きますが、期日を過ぎたらすぐに送ったほうがいいでしょう。

相手がうっかりしている場合、早くプッシュしてもらえたほうがすぐリカバリーに動けるので、相手も助かります。「期日を1日過ぎたぐらいで催促すると気を悪くするだろうか」などと思う必要はありません。どうにもならなくなってから催促すると、相手が対応しきれなくなる恐れもあります。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

返信率が高まる!催促メールの基本構成

催促メールの基本構成をご紹介します。

基本構成

  1.  件名
  2.  状況を伺う
  3.  遅れると困る理由
  4.  催促の言葉と期日の明示
  5.  相手を気遣う言葉

1. 件名は内容が一目でわかるように

ビジネスメールのやりとりは、返信メールを起こして件名を継続するのが基本ですので、催促メールも「RE:月刊○○原稿のお願い」などとなるのが普通です。このため、依頼のときからわかりやすい件名をつけておくことが重要です。

前にメールのやりとりがない場合は、「△△のご回答をお待ちしております」「○○のお支払い期日について」など一目でわかるようなタイトルをつけるといいでしょう。返信忘れが予測される場合は【再送信】などと入れるのも一つの方法です。

2. リマインド程度の書き方で状況を伺う

相手がうっかりしていることも想定して、まずは状況を伺いましょう。例えば、「昨日までのお約束でしたが、お進み具合はいかがでしょうか」「○月○日に契約書の案文をお送りいたしましたが、届いておりますでしょうか」「申込用紙をいただけるとのことでしたが、お送りいただいておりますでしょうか」など。

このように、1回目の催促メールはリマインド程度の書き方で送るのがいいでしょう。もしもこれで反応がなく、2回目の催促をする場合は、もう少し強い書き方にします。

3. 困る理由を説明して相手に事情を理解してもらう

例えば社内のちょっとしたビジネス文書のやり取りなど、簡単な事柄であればこの部分は省いてもいいですが、スケジュールが押していてこれ以上遅れると困る場合や、相手が多忙で後回しにされている可能性がある場合などは、「遅れると困る理由」を説明してこちらの事情を相手に理解してもらいましょう。

例えば「今月末の会議で承認を得る必要があるため」「〇〇を手配する関係上」「次の工程が〇日に迫っているため」などと具体的に伝えましょう。2回目以降の催促である場合は、ここを強めに書くことをお勧めします。

4. いつまでに対応してほしいのか具体的に伝える

期限を示しながら催促する言葉を入れましょう。この部分が催促メールの「本題」になります。

例えば「できれば今週中にはいただけますと助かります」「2、3日中にお送りいただけるとありがたいです」など。状況が切迫しているならば、「この後の進行もありますので、できるだけお急ぎいただきたくお願いいたします」「これ以上延期ができませんので、〇日までには何とかお送りくださいますようお願い申し上げます」などと強めに伝えましょう。

5. 相手を気遣う言葉を入れる

仕事の催促の場合は、相手に無理をしてもらわなくてはならないので「ご多忙のこととは存じますが、よろしくお願いいたします」など、多忙を気遣う言葉を添えるといいでしょう。

入金の催促の場合は、入れ違いで入金される場合を想定して、念のため、「本メールと行き違いにご入金いただいている場合はご容赦ください」などのフレーズを入れるのが一般的です。

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【送り先別】催促メールの例文3つ

送る相手別の催促メール例文を紹介します。催促対象となるもの緊急度合いなどによって変わりますが、基本的な考え方やポイントなどを参考に、ご自身の催促メールをまとめてみてください。

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取引先、関係会社への催促メール

納品や発注などで日常的にやり取りしている相手であれば、丁寧にアプローチしつつも要件を端的に伝えるのが一般的。基本のフォーマットを押さえつつ、いつまでに対応してほしい旨をわかりやすくシンプルに伝えましょう。以前のやり取りを引用するのも一つの方法です。

件名:○○のご納品について

本文:
△△株式会社
三浦様

いつもお世話になっております。
株式会社□□の小田です。

○○について、昨日5日までに納品いただけるというお約束でしたが、進捗状況はいかがでしょうか?
この後のスケジュールを考えると、できれば今週中にはいただきたいと考えております。

ご多忙のところ、無理をお願いしてたいへん恐縮ですが、なんとか間に合わせていただけますと助かります。

なにとぞよろしくお願いいたします。

顧客への催促メール

顧客に対しては、正しい敬語でより丁寧な言葉遣いを心がけましょう。特に個人のお客様に対しては、最大限の敬語で対応するのが日本の商習慣。「ですます体」ではなく、「でございます体」で書きましょう。
法人顧客の担当者相手には、そこまで堅苦しくしすぎず、丁寧な言葉ながら端的に用件を伝えるといいでしょう。

件名:○○利用料6月分のお支払いについて

本文:
△△株式会社
山田様

株式会社□□の渡辺です。
日頃より当社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

さて、早速ですが○○利用料のお支払いについてご連絡申し上げます。

各月10日までに前月分のお支払いをお願いしておりますが、20日時点でまだ6月分のご入金をいただけていないようです。
ご確認いただき、未納の場合は月末までにお振込みくださいますよう、お願いいたします。

なお、行き違いでご入金いただいていた場合は、なにとぞご容赦ください。

ご不明な点等ございましたら、渡辺までお問い合わせください。
お忙しい中、お手数をおかけし誠に恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

社内向けの催促メール

社内の場合は、要件を端的に伝えるのが基本。必要以上にかしこまった言葉遣いをする必要はなく、要点を簡潔に伝えましょう。
件名も「○○の件、ご対応お願いします」など一目で対応すべきことがわかるようなものにすると◎。頭に【業務連絡】【至急対応】【要返信】などと入れるのも効果的です。

件名:【本日中】交通費の入力をお願いします

本文:
田中様

営業事務の山本です。
お忙しいところ、失礼します。

営業部門の9月分の交通費入力は昨日まででした。
精算ができなくなりますので、急ぎご入力ください。

ご多忙のところ、たいへん申し訳ありませんが、
本日中に対応をお願いできれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

こんな時はどうする?催促メールに関する素朴な疑問

催促メールに関する「こういう時はどうする?」についてご説明します。

催促メールを出しても返信がない場合は?

一刻も早い返信を促すために、件名の頭に【至急】【急ぎ返信願います】などと入れるのは一つの方法。メール文面では「ご連絡がいただけないので心配しております」など、何度も連絡していることを伝えつつ、切迫感を示すといいでしょう。いよいよ状況が差し迫っている場合は、「これ以上遅れるとこんな事態に陥ってしまう」など、厳しい現状を具体的に伝えることも大切です。

なお、納品の遅れや支払いの遅れは、契約違反にもなりかねない問題です。返信がない場合は、即刻上司に相談し判断を仰ぐべきです。

催促メールへの返信をもらったら?

まずは返信をくれたことに対してお礼の気持ちを伝えましょう。「ご返信ありがとうございます」「お忙しい中、無理なお願いをして申し訳ありません」など、相手に配慮する言葉を使うといいでしょう。

「まずは催促メールへの返信だけで、納品や入金などはこれから」という場合は、改めて「いつまでにいただきたい」と具体的な期日を伝えましょう。相手が「とりあえずメールを返信したから…」と安心してしまわないよう、再度「これ以上遅れると困る理由」も添えて釘を刺しておくことをお勧めします。

自分が催促メールを受け取った場合は?

すぐに返信し、期日に遅れてしまったことを詫びましょう。そのうえで、遅れてしまった理由、そしていつまでに対応できるのか現実的な期日を伝えましょう。

言い訳から書き始める人が意外に多いのですが、「まずは詫びる」がお詫びメールの鉄則。どんなに事情があっても、お詫びの後で伝えるべきです。

そのうえで、できれば具体的に「〇日までにお送りします」などと約束すること。「もうしばらくお時間をください」などといった不確かなスケジュール設定では、相手が不安を募らせてしまいますし、自分自身もズルズル先延ばしにしてしまう恐れがあるので避けましょう。

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コミュニケーション・ファクトリー代表 中川路亜紀さん中川路亜紀さん
コミュニケーション・ファクトリー代表

神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経て1998年、コミュニケーション・ファクトリーを設立。ビジネス文書やメールなどビジネスコミュニケーション関連の著述・講演活動を行っている。最新刊『「仕事がしやすい」と言われる人のメール術』(青春出版社)が話題に。その他、著書に『ビジネスメール文章術』『気のきいた短いメールが書ける本』(ダイヤモンド社)、『ビジネスメール即効お役立ち表現』(集英社)、『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』(光文社)、『段取り上手のメール』(文藝春秋)などがある。

EDIT&WRITING:伊藤理子
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