マインドマップとは?専門家が仕事・日常生活での活用のコツを紹介!

『マインドマップ』ってよく耳にするけれど、どのように作成し、どんな効果があるのかはわからないという方は少なくないようです。そこで今回は、マインドマップの目的や書き方、作成するメリット、仕事・日常生活での活用法などについて、Tony Buzan公認マインドマップシニアインストラクターの藤川とも子さんに解説いただきました。

マインドマップ作成イメージ画像
Photo by Adobe Stock

マインドマップとは?

マインドマップとは、英国の教育者トニー・ブザン(Tony Buzan)が開発した「思考整理術」。頭の中で起きていることを紙の上に表現して「見える化」し、脳の力を引き出すものです。情報が溢れている今の時代、思考が複雑になってしまい、考えるのをストップしてしまう。その結果、行動や決断に結び付かなくなってしまう──そんなことがよく起きています。

脳は本来、複雑なものを嫌い、シンプルなものを好む特性を持っています。そこで、マインドマップを使って思考をシンプルにすることにより、次のような効果を生み出します。

  • 迷ったときに混乱せず、迅速に決断できる
  • 思考のスピードが速くなり、すみやかに行動に移せる
  • 思考や行動することが楽しくなり、何事も継続できるようになる

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マインドマップの作り方とポイント

マインドマップの作成はどのように始めればいいのか、ツールや書き方のポイント、注意点などをご紹介します。

マインドマップを作るツール

マインドマップ作成は「手書き」で手軽にできます。1枚の紙と複数の色ペンを用意すればすぐに始められます。マインドマップ作成アプリを活用し、PCやスマートフォンで作成することも可能です。トニー・ブザンが監修・公認した「iMind Map (現在:AYOA)」のほか、複数のアプリがあります。

マインドマップの作り方

マインドマップの作成を始めるには、まず表現したいテーマをイメージし、紙の中央部に書きます。そこからブランチ(枝)を伸ばし、発想したキーワードやイメージを放射線状に、ブランチの上に乗せるように書き出していきます。

ブランチの伸ばし方は個人の自由。左側に現在の状況、右側に未来の理想の状況を書く人もいれば、「人生」「仕事」「行動」「心の中」などの領域に分けて4方向へブランチを伸ばすように書く人もいます。

ポイントは、イラストやカラーを取り入れて「五感を活用する」こと。例えば「時間」の概念を表現するなら「時計の絵を描く」といったように、イメージで捉えることをお勧めしています。

また、記憶に残すにはカラーにメリハリをつけるといいでしょう。自身がそれぞれの色に持つイメージを踏まえ、暖色・寒色を交互に使い分けると、テーマの識別がしやすくなります。

こうしてブランチを広げていくことで思考が整理され、記憶力が高まり、発想力が広がります。発想を広げる「拡散思考」と、論理的に結論を導き出す「収束思考」を同時に一枚の紙に上で実現することが可能になるのです。

マインドマップを作る際の注意点

マインドマップを作る際に注意したいのは「文章にしない」ことです。基本は「1ブランチ・1ワード」。「キーワード」をいかに発想するかが重要です。端的なキーワードからは、次の発想が広がりやすくなります。

また、マインドマップ風に考えを書き出したものには、線を引いた先に○の囲みを書き、○の中に言葉を書いたものが見受けられます。この形はマインドマップとはいえません。

書いた内容が○で囲まれていると「完結」のイメージを持つのではないでしょうか。そこから先の発想が広がらなくなります。以下図のように、必ず「線」の上に「キーワード」だけを書くことが基本です。

藤川さん提供のマインドマップ例
※藤川さん提供のマインドマップ例

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マインドマップを作成するメリット

マインドマップを作成するメリットは、「考えを見える化できる」「全体を見渡せる」ところにあります。人は常に何かを考えていますが、「見える化」しなければ流れていってしまいます。

そして、マインドマップでは見える化した事柄を1枚の紙に収めるため、「木ではなく森を見る」ことができます。1つの考えについて、どんなことから想起されたものなのか、つながりを把握することが可能になります。

その作業が短時間でできるし、どこででもできる。電車での移動中などに手帳に書いたりスマホに入力したりと、スキマ時間に手軽にできることもメリットといえるでしょう。

目的別には、次のような効果を期待できます。

自由な発想・アイデアが浮かびやすくなる

マインドマップを書いていくうちに、情報の結び付き・関連性が自由に生まれます。

「KJ法」という手法があります。これは文化人類学者である川喜田二郎氏が情報や考えをとりまとめるために考案したもの。近年は会議やワークショップにおいて、参加メンバーそれぞれが思いついたことを付せんに書き出して掲示し、位置を移動させながら整理していく方法がよく使われています。

マインドマップもこの手法に似ています。ただ、付せんに書かれたことはバラバラになり、どのような流れで出てきた考え方なのかがわからなくなるのに対し、マインドマップは最初のアイデアからどんなアイデアが派生していったのかがわかるため、さらに拡散しやすくなるといえます。

潜在意識の自覚・開発ができる

マインドマップは、潜在意識に自動的にアクセスできるよう設計されています。キーワードを書き出していくうちに、これまで意識していなかったワードが出てくることもあります。自身の意識に気付くことにより、可能性を広げたり、次のステップに進んだりしやすくなります。

行動のマネジメントがしやすくなる

やったこと・やり残したことを瞬時に把握でき、タイムマネジメントがしやすくなります。これからやるべきことに優先順位をつけるにも、全体を見渡した上で判断できます。

マインドマップを活用できるシーン

マインドマップを作成する際は、時間軸を「1日」「1週間」「1カ月」「1年」「一生」など、目的に応じて自由に設定できます。具体的にどのようなシーンで活用できるのか、一例をご紹介しましょう。

マインドマップイメージ画像
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企画・プランニング

企業では、新規事業企画などにおけるアイデア出し、意見交換の場でよく使われています。企画会議などで、メンバーが1つのマインドマップを見ながらアイデアを出していくことで、発想が広がりやすくなります。

イメージは「池に投げ込まれる石」。1つの石が投げ込まれたのをきっかけに波紋が広がったり、複数の石の投げ込みでできた複数の輪から重複するポイントが見えてきたりします。

行動計画

例えば、営業の仕事をしている方が行動計画を立てるために使うケースがあります。「次の1週間」「次の1カ月」などの単位で、どの顧客を訪問するか、どの順番で回るかなど、マインドマップで整理することで効率化を図っています。

レポート・プレゼン書などの作成

先にも述べたとおり、マインドマップでは発想を広げる「拡散思考」と、論理的に結論を導き出す「収束思考」が同時にできます。レポートやプレゼン書などを作成する際、自身の中にあるキーワードを書き出し、どのように組み立てるかを考える作業に活用できます。相手にも伝わりやすい書類に仕上げられるでしょう。

資格試験などの学習

受験に向けて活用するケースもよくあります。覚えなくてはならないことをキーワードで書き出すことで記憶に残りやすくなります。論文作成にあたり、マインドマップでキーワードを関連付けて書き出す学習法を実践し、難関資格である「技術士」に合格した方もいます。

読書

「ビジネス書やハウツー本などを読んだものの、記憶に残らず実践につながらない」という人にも、マインドマップの活用はお勧めです。本を読みながら得た知識をマインドマップ上にキーワードで書き出すことにより、1冊の本の内容が1枚の紙の上にまとまるため、記憶にとどまりやすくなります。

キャリアプラン・ライフプラン

中長期視点でのキャリアプランニング、ライフプランニングにも活用できます。中央に「目的」「目標」を置き、その達成に向けて何をすればいいのかを書き出していきます。「見える化」して整理することで、目標への到達がスピードアップ。プロセスも把握できるので、途中で見直して軌道修正もしやすいといえます。

まだ目標が定まっていなくても、漠然とでもキーワードを思いつくまま挙げていくことで自分の興味や志向性が明確になっていきます。

マインドマップの活用で、自分の進化のプロセスが見える

マインドマップ作成時には、書いた日付も記載しておくことをお勧めしています。振り返ることで、自身の発想や考え方にどのような進化があったのかがわかるからです。自身の「成長」を実感でき、今後の成長にもつながっていくでしょう。

マインドマップの実例を見ると、イラストが上手だったりカラフルだったりで「自分には書けない」と思う人もいるようです。しかし、マインドマップは人に見せることを前提したものではありません。自由に、自分の発想が広がりやすい書き方で、気軽に始めてみてください。

藤川とも子氏プロフィール画像Tony Buzan公認シニアインストラクター
藤川 とも子氏

マインドマップの開発者(トニー・ブザン)から直接認定された Tony Buzan公認シニアインストラクター 。産業カウンセラー/キャリアコンサルタント 。米国NLP協会認定トレーナー&NEWコードNLPトレーナー/米国ソサエティオブNLP認定プロビジョナルトレーナー/米国NLP™協会認定NLPコーチ&NEWコードNLPコーチ/臨床美術士etc.

取材・文:青木典子 編集:馬場美由紀
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