「プレゼンの神」澤円さんが伝授!オンラインでも伝わるプレゼンテーションのコツ

コロナ禍の影響により、オンラインでプレゼンを行う機会が増えています。しかし、リアルの場でのプレゼンに比べて、聞き手の反応や場の空気が読みにくい、スライド・資料の見せ方や伝え方が難しい…など、苦手意識を持つ人が少なくないようです。そこで、年間300回近くのプレゼンテーションを行う“プレゼンの神”澤円さんに、オンラインならではのプレゼン術を教えていただきました。

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株式会社圓窓代表取締役 澤 円(さわ まどか)氏

澤円氏立教大学経済学部卒業後、生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。2011年7月、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長に就任。業務執行役員を経て、2020年退社。
著書に『「やめる」という選択()』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。 これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉()』(アスコム)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術()』(ダイヤモンド社)など。

プレゼンで重要なのは、「ビジョン」を明確にすること

プレゼンとは、人数・環境にかかわらず「誰かに何かを伝えること」。そして、プレゼンのゴールは「人を動かすこと」です。人を動かすプレゼンには「ビジョン」が不可欠です。私の定義する「ビジョン」は、以下の二つが言語化されていることです。

「プレゼンの後、聴いた人がどういう状態になっていれば成功なのか」
「プレゼンの後、どのように行動してほしいのか」

「プレゼンが得意!」という人は少数派です。「人前で話すのは怖い」という感情は日本人特有のものでもなく、人間の基本構成。大前提として、苦手であってもそれを気にしすぎる必要はありません。

ただ、コロナ禍でオンラインでのプレゼン機会が増え、「リアルな場でのプレゼンはできても、オンラインだと途端にうまくいかなくなる」という声をよく耳にするようになりました。主な原因は、リアルな場でのプレゼンと同じことを、オンラインでも行っているから。オンラインにはオンラインの特徴があり、それを考慮したプレゼンに変える必要があります。

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オンラインプレゼンの特徴を理解しよう

プレゼンのコツをお伝えする前に、まずはオンラインならではの特徴を挙げたいと思います。

パソコンの画面で情報を伝える

リアルな場でのプレゼンでは、会場全体を見渡しながら話すことができますが、オンラインでは、パソコン画面のサイズでしか見ることができず、全体像はつかめません。

参加者の温度感や空気がつかみにくい

参加者を立体ではなく、平面でしか見ることができません。離れた場所にいるため、参加者の温度感や場の空気感などをつかみづらいのも特徴です。

参加者全員に均等に情報を伝えられる

最も特徴的なのが、「参加者全員が、最前列で自分を見ている状態」であること。これは、リアルな場のプレゼンではあり得ないことです。参加者が多ければ多いほど、最前列の人と後ろのほうの席では距離ができてしまい、「声が届きづらい」「スライドが見にくい」など、伝わり方にも影響が出ますが、オンラインでは参加者全員に、均等に情報を伝えることができます。

もちろん、対面であろうとオンラインであろうと、プレゼンの本質は変わりません。ただ、オンラインならではの特徴を理解し、それを活かせる工夫をすることで、オンラインプレゼンのクオリティはぐんと上がります。

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プレゼンに対する苦手意識、どう解消すればいい?

まずは、オンラインプレゼンの何に苦手意識を持っているのか、洗い出してみましょう。その内容によって、対処方法は異なります。

音声が途切れる

プレゼン中、画面がプツプツ途切れたり、音声が乱れたりするのは、聞き手に大きなストレスを与えます。結果、伝えたいことがうまく伝わらず、聞き手の反応も悪くなります。この問題を解消するのは簡単で、投資すればいいだけの話。投資すればするほど確実にオンラインプレゼンの質が上がるので、投資効率は高いと言えます。

まずは、ネット接続を安定させるため、ケーブルを使った有線接続に切り替えましょう。リモートワークでは無線Wi-Fiを使っている人が多いですが、無線だとどうしてもほかの電波の影響を受けてしまい、音声が途切れたり乱れたりしがち。有線にするだけで、音声の問題はおおよそ解決します。

そしてPC内蔵のマイクとスピーカーは、音が反響したり割れたりしやすいうえ、キータッチ音がノイズになりがちなので、外付けのものを購入し有線でつなぐことをお勧めします。数千円~数万円の投資になりますが、音質がぐんと上がることで言葉が聞き取りやすくなり、双方のストレス軽減につながります。

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カメラ映りが悪い

画面が暗く、死神のような顔で映ってしまう、上から目線で魔王のように参加者を威圧しているように見えてしまうなど、カメラ映りの悪さからオンラインに苦手意識を持つ人は少なくありません。

顔映りが悪いと、聞き手のほうも画像が気になってしまい、話が全然頭に入らない…という残念な結果になりがちです。オンラインプレゼンは、参加者全員が最前列で話を聞いている状態なので、顔映りが与える影響は予想以上に大きいのです。

●窓を背にするのはNG。照明を活用

例えば、天気のいい昼間に、窓を背にしてPCに向かってしまうと、逆光になり顔が暗く怖く映ってしまうのでNG。逆光にならない位置に座り、できれば照明を活用しましょう。PCの上部に取り付けられるリングライトは1000円台からあり、比較的安価ですが、これだけで顔映りがパッと明るくなります。

澤さんのプレゼン配信デスク画像
▲澤さんのオンライン配信環境(照明・カメラ・マイクなど)

●カメラの位置と角度

カメラはPC内蔵のものでも構いませんが、場所や角度に気を配りましょう。それだけで、顔映りがガラリと変わります。

目線にも注意しましょう。机の上にノートPCを置き、そのままの姿勢でプレゼンを行うと、PCの位置が顔より下に来てしまうため、聞き手を見下すように映ってしまいます。パソコンスタンドを使用してPCに高さを出し、カメラが顔の正面に来るよう調整すると、威圧感が出ません。

ちなみに私は、PC内蔵カメラではなく、ミラーレスの一眼カメラをつないで使用しています。金額は張りますが、内蔵カメラより格段に高画質なので、プレゼンの機会が多い人にはお勧めです。

参加者の反応がつかめない

「反応がわからなくてやりづらい」という声をよく聞きますが、反応を気にしなくていいと前向きに捉えることもできます。聞き手の反応なんて、たとえリアルな場でもコントロールできないのですから、割り切って考えるのも一つの手です。

もちろん、オンラインでも反応をつかむ方法はいろいろあります。例えば、Zoomには「反応ボタン」があり、聞き手が自身の感情表現をアイコンで表示することができます。「手を挙げる」機能をうまく使うのも効果的。「ここまでの話は理解いただけましたか?」などと投げかけ、反応ボタンや手を挙げるボタンでリアクションしてもらうようにすれば、聞き手の温度感がつかめるうえ、オンラインでも一体感も醸成しやすいでしょう。

チャット機能を活用するのも有効。聞き手に質問を投げかけ、チャットで回答してもらったり、わからない点はチャットに書き込んでもらったりするなど、双方向のコミュニケーションが可能になります。プレゼンの冒頭に、「どんな質問も歓迎します!」などとメッセージングしておけば、より書き込みやすい雰囲気を作れるでしょう。

プレゼンチャット機能の活用イメージ画像
▲チャット機能の活用例(澤さんのプレゼン資料より引用)

プレゼンスライドの見せ方が難しい

オンラインのメリットの一つ、スライドが見せやすくなる点。繰り返しになりますが、「参加者全員が最前列で」見ている状態なので、スライドを映すだけでパッと内容が伝わるのが利点です。

そのため、リアルな場に比べると、スライドの情報量を若干増やしても伝わるのですが、ついつい情報を盛り過ぎてしまう人が少なくありません。その加減がわからず、苦手意識を持つ人もいるようです。

スライドの情報量を増やし過ぎると、読むことに一生懸命になって話が耳に入ってこなくなったり、視線誘導ができなくなり皆がバラバラのところを見てしまったりする恐れがあります。ちなみに私は普段、画像1枚にフレーズ1本だけでスライドを作り、あとは話で補足しています。参加者の目線に立って「文字はできるだけ少なく、簡潔に」を心がけてみてください。

プレゼンスライドの情報量イメージ
▲スライドの情報量について(澤さんのプレゼン資料より引用)

私はプレゼンの際にスイッチャーを使って、画面を切り替えています。スライドから画像へ、そして動画へ…と画面を切り替える際、手動でいちいちケーブルを差し替えるなどしてもたもたやるのではなく、ボタン1つでサクっと切り替えられるのでお勧めです。

なお、社内向けのプレゼンや会議の場では、わざわざスライドを作るのではなく、普段使っている業務アプリケーションやダッシュボードを直接投影するのがお勧め。そのほうが最新のデータをもとに会話ができるし、普段見慣れている画面なので話も伝わりやすく、本質的な会話がしやすくなるでしょう。

プレゼンが対面に比べて話が伝わらない

ここまでに上がったポイントがクリアできているのに、伝わらないとしたら、それは本質の問題です。プレゼンの内容に心から納得できているかどうか、改めて自分に問うてみてください。

心から納得できているならば、音声や画像、スライドなどの問題は些末事。思いが言葉に乗るから、多少構成や組み立てが甘くても伝えたいことが的確に伝わりますし、もしプレゼンの途中でテンパってしまっても、言いたいことにすぐ立ち返ることができます。

納得できていないならば、最初から成功は難しいし、失敗しても仕方ありません。プレゼンは相手の時間を借りて行い、何らかの贈り物(=聞き手にとって有益な情報)をお返しする場ですから、準備不足、腹落ち不足は最大の敗因です。自身が納得できるまでとことん調べ、準備し、万全を尽くしてプレゼンに臨むべきですことが成功には不可欠です。

プレゼンが上達する、簡単なトレーニング方法とは?

プレゼンはとにかく実践が大事。経験値を上げるために、プライベートを含め普段のちょっとした機会も実践の場であると心得ましょう。

よく「澤さんはいつプレゼンの練習しているのですか?」と聞かれるのですが、「目が開いている間はずっと訓練している」と答えています。

私の仕事は「伝えること」なので、プレゼンのトレーニングは常に脳内に「常駐タスク」としていつも存在しています。タスクであると意識することで、街を歩いていても目に入ったものを「自分ならばどうプレゼンテーションするか」と考えてみたり、ショーウインドウに映った自分を見て「背中は曲がっていないか」など姿勢をチェックしたりと、ちょっとした瞬間にトレーニングできるようになります。

皆さんも、「日常がトレーニングである」と意識するだけで、脳の使い方が変わります。例えば、友達とビデオチャットで話すのも立派なトレーニングの場。伝え方を意識して話したり、画面の見え方や音声の具合を確認したりしてみましょう。ちょっとした場を活かし、実戦経験を積み上げることで、プレゼンスキルはどんどん磨かれます。

プレゼンの神、澤円さん

まとめ:「伝えること」に長けた人が、時代を動かす

人類の歴史はプレゼンで作られたと言っても過言ではありません。太古の昔から、誰かが誰かに、何かを伝えることで、世の中は動いてきました。そして「伝えること」に長けた人が、大きな力を持ってきたのです。

「歴史は武力で動いてきたのでは?」と思われるかもしれませんが、武力を行使するにしても、まずは人を動かす必要があるため「伝える」が前提にあります。今の世の中を見渡してみても、世の中を面白くする人は、押しなべてプレゼンが上手です。

とはいえ、プレゼンは一握りの天才だけに与えられている権利ではなく、誰もが取り組めるものです。せっかく権利を行使できるのですから、磨き上げたプレゼンで周りを動かし、世の中をもっと面白くしてみませんか?

今現在はプレゼンが苦手でも、意識して実践を積めば、昨日より今日、今日より明日…と確実にステップアップできます。ぜひ日常の中に、気軽にできるトレーニングを組み入れてみてほしいですね。

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取材・文:伊藤理子 編集:馬場美由紀
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