転職後の「理想と現実のギャップ」を解消するのに役立つコツとは?

「聞いていた仕事と何か違う」
「会社の雰囲気が合わない」
「思っていたよりレベルが低い」

転職後の「理想と現実ギャップ」は、どうして起こるのでしょうか。それは、自分の描く理想が、実は中途半端になっていたから、あるいは理想を詰め込みすぎていたから、というケースが少なくありません。それでは、このようなギャップを起こさないためにはどうすればよいのでしょうか。

今回は、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの「仕事への向き合い方」を研究している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんに、転職後の「理想と現実のギャップ」対策についてお話を伺いました。

在宅で調べものをする女性

転職後の理想と現実ギャップを防ぐには「情報収集」がカギ

転職先で「理想と現実のギャップ」に直面し、後悔しないためには、事前に十分な情報収集をしておく必要があります。
なかでも外せない情報は、大きく分けて、

◆転職先の企業についての情報
◆自分について(どんな転職軸を設定しているのか)の情報

の2つになるでしょう。

「そんなの当たり前」と思われる話かもしれませんが、転職先の情報収集は熱心にやっていても、自分自身の情報については精査していない人は案外います。転職後に理想と現実のギャップを感じるのは、そういう人に多い傾向があるのです。

転職先については、「企業の公式サイトでIR情報を調べる」「実際に務めている社員と会話する」「(利用していれば)転職エージェントにヒヤリングする」などを行い、情報を集めておくのが一般的。実際、応募先の企業ともなると慎重に調べる人は多いと思います。

ところが「自分の転職軸について」は、しっかり検討したつもりでも絞りきれていないことがあります。特にはじめての転職活動の場合には、転職軸を設定するにあたって必要な「自分自身の分析を客観的に行う力」が不足しているために、ここが中途半端になりがちです。

転職においては、転職軸=理想、ともいえます。

もし転職後に「理想と現実のギャップ」に直面してしまったら、それは「自分自身への調査が不十分」なことからくる「自分の理想のあいまいさ」や「理想の詰め込みすぎ」が原因かもしれません。

そもそも転職後のギャップとは、具体的に言うと、「企業があなたに期待すること」と「自分のやりたいこと」にミスマッチが生じ、起こりうるものです。

そこで転職前の情報収集では、相手の期待という現実を割り出すだけでなく、自分についても丁寧かつ客観的に情報収集(取材)を行い、ミスマッチをできるだけ減らす工夫が必要です。

例えば、

「新しい職場で何を実現できたら成功なのか?」
「今後のキャリアをどうして行きたいのか?」
「どこまでのギャップなら許せるのか?」
「成長のためにあえて〇〇のギャップには積極的に向き合う」

などの視点で自ら自分の心に「徹底的に」取材を行い、転職軸すなわち自分の理想を明確にする。そして企業側の期待とすり合わせておく
これがミスマッチを防ぐ対策のひとつになります。

ちなみに、私が交流してきたVIPは、実によく自分自身を知っています。彼らは転職に限らず大きな変化を伴う意思決定を行うとき、必ず相手と自分という両方の視点から情報収集を行い、一方的な気持ちのミスマッチをなくすことを、常に心掛けているからです。

結果、大きなギャップは生じません。仮に違和感が生じた場合には、軌道修正して、再度、情報収集や自分自身への取材を行い、ギャップを生まないための工夫を次から次に、仕掛けていくからです。

とはいえ、自分の気持ちや理想はなかなか自分では把握しにくいという人もいるでしょう。そこで今回は、「自分自身を取材する際のポイント」についてお話しします。ぜひ試してみてください。

自分への取材ポイント【1】 自分の理想を洗い出す

まずは自分の理想を洗い出すことから始めましょう。先述したとおり、あなたが不満に感じるギャップは、あなたの理想と相手のあなたへの期待(現実)のミスマッチから生じることがあります。

そこに良い悪いは実は存在せず、あるのはあなた自身についての情報収集不足だと考えてみてください。

転職においてギャップが生まれやすい部分は、「社風や風土」「給料や昇給制度」「教育体制」「仕事のおける裁量」などがあると思います。

そこで、あなたの理想としてこれらはどうあるべきかを書き出してみましょう。そして、それぞれの譲れる範囲を検討してみてください。ここをぼんやりとしたまま転職して、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人は案外多いものです。

きちんと洗い出すだけで、「なるほど、相手は私にこういう期待を持っていて、自分の理想とはこういう部分が異なる。だから意見の相違が生じたんだ」などと納得できる場面が増え、初歩的なギャップは回避できるかもしれません。ぜひやってみてください。

自分への取材ポイント【2】 自分の強みを知る

ギャップは人間関係の不安定さからも生まれます。そこで取り組みたいのが「自分の強みで周囲に貢献し、円満な人間関係を築くこと」です。

とはいえ、自分の強みは自分では見えにくいもの。そこでオススメなのが「他人は苦労するかもしれないけど、自分には簡単にできること」を探すことです。

強みというと、営業スキルや経理スキルなど、専門性の高い難しいスキルを思い浮かべがちですが、もっと身近なレベルまで細分化するのがコツです。

例えば営業スキルではなく、「初対面の会話に困らない」「エクセルの中でも特に図表スキルの作成が上手い」などでOK。

また、他人から「〇〇が得意だよね」とほめられることや、気づくと〇〇ばかりしていることなどもあなたの強みである可能性が高いものです。

これらの自分の強みを事前に把握しておけば、新しい職場で予め「〇〇が得意なのでぜひ手伝わせてください」とアピールして、周囲に貢献することができます。「もらう前に与える」と、良い人間関係が回り出し、多少のギャップは気にならなくなります

自分への取材ポイント【3】 前向きなギャップならあえて設定する

これまでギャップを回避するための話をしてきましたが、実はすべてのギャップが悪いわけではありません。ギャップには「成長のためのギャップ」と「後ろ向きのギャップ」の2種類があります。

筋トレすると筋肉痛になるのと同様、ビジネスのスキルもギャップと向き合い、痛みを伴いながら克服する過程で磨かれていくものです。

そこで、「前の会社では個人スキルを伸ばしたので、転職先ではチームワークのスキルを伸ばしたい」「今まで総務系の仕事だったが、営業スキルも磨きたい」など、今の自分の状況と将来像とのギャップをあえて設定し、そこに向かって取り組んでみる。これが自己成長を促すひとつの手段になります。

今までの得意分野とは異なるスキルの成長を目指すため、当然ギャップの連続に直面することとなりますが、この場合のギャップをすべて「成長の糧」という前向きなものとして捉えてしまえばいいのです。

あなたが考える前向きなギャップとは何ですか?それを決め、積極的に取り組むか否かで、その後のキャリア形成に天と地ほどの差が開く可能性があります。

まとめ

転職後に理想と現実のギャップで後悔しないためにも、転職活動中の「転職先(応募先)」と「自分」に関する情報収集、そして双方のすり合わせは丹念に行いましょう。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という兵法で有名な孫子の言葉もあります。事前に対策を講じておくことで、成長に必要な前向きギャップを自ら生む余裕も出てきます。そのギャップをものにしながら、あなたの思い描く理想のキャリアを構築していってください。

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プロフィール

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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