「自分を責める必要なし!」入社1年半での退職を経験し迷える25歳にベテランキャリアアドバイザーが伝えたこと

入社1年半での退職を経験し、それを「失敗」ととらえてしまい、転職活動が思うように進められない若者が少なからずいます。
今回はその中で、今も「もともと就活に向き合う意識が甘かったのではないか…」と思い悩むTさん(25歳)を迎え、ベテランのキャリアアドバイザーによるアドバイスを伝えます。

ビジネスマンの手クローズアップ

入社1年半での退職は、自分の価値観を見つめなおすチャンス。自分を責めず、前に進もう

今回の相談者Tさんは大学を卒業し大手企業に就職。ところが、入社3カ月で「何か違う」と感じ、迷ったものの1年半で退職し、現在は転職活動中です。

とはいうものの、就職活動は順調だっただけに、「もともと就活に向き合う意識が甘かったのかも」「やりたい仕事があるわけでもない」「どうしたらいいかわからない」とモチベーションはダウン。

そんな迷える転職希望者がいると聞きつけ、勤務20余年のキャリアアドバイザー、通称のりおさんが「オレでよければざっくばらんに相談にのるよ」と登場、今回のweb上キャリア相談が実現しました。そこには、第2新卒として転職を目指す人へのヒントがいっぱいありました。

のりおさんは「キャリアの考え方は、もちろん十人十色、ひとりとして同じケースはないけれど、退職を決意したものの悩んでいる人にぜひ伝えたい、共通のアドバイスがあるんです」といいます。

「入社1年半での退職を挫折経験と捉えて自分を責めたりモチベーションが低下する人は少なくありません。でも、実は、自分の価値観を見つめなおすチャンスなんです」。

のりおさんのアドバイスは、入社1年半での退職した(したい)けれど、次の一手が踏み出せなかったり迷っている人に、きっと役立ちます。

プロフィール

キャリアアドバイザー のりおさん

人材紹介会社にて勤務20余年のキャリアアドバイザー。「キャリアアドバイザーはあくまで裏方の仕事だから」という理由でニックネームで活動中。モットーは「来るもの拒まず」。「自分の経験が役に立つなら、喜んで相談に応じたい。連絡ください。ひとりでも多くの人に、イキイキと働いている世の中になってほしいと思っています」

【お悩み】入社前に聞いていた話とのギャップが大きく、成長できていないと感じて1年半で退社したが…

Tさんから、あらためて当時の事情を詳しく聞きました。

《Tさんの経験とお悩みまとめ》

首都圏の私立大学を卒業し、ビル管理会社のA社に就職して1年半で退職しました。いま25歳です。A社を選んだ理由は、業績が安定している企業であることと、社会の資産でもあるビルやマンションの安全性を支えることは、社会貢献できる仕事だと思ったからです。

配属されたのは新設された部署で、20代前半の若手が数人と25歳ほど年が離れたベテランが数名でした。3カ月ほどで、業務内容が採用のときに聞いて思い描いていたものとは「かなり違う」と感じて、人事に相談したのですが将来のキャリアプランについても、明確な答えはありませんでした。
そのときのやりとりから、社内でも大した仕事じゃないと思われていると感じたのです。

実際、仕事は担当エリア制で直行直帰、半月ごとに進捗状況を報告する会議があるだけです。ベテラン社員も担当エリアが違うだけで全く同じ業務内容で、20年後もこの仕事をしているのかと思ったら、成長できない気がしました。

今、思えば新卒のときに就活がスムースだったせいもあり、就職に対する考えが浅かったのだと思います。今度こそ、きちんと職種や業種を絞って・・・と思っていますが、期待して入社したこともあって、正直、凹んでます。

このあと、転職活動をどう展開したらいいのでしょう。

業種で絞る?職種で絞る?まずは視点を切り替えてみよう

《キャリアアドバイザー・のりおさんからのメッセージ》

“転職活動をどこから始めていいか─”
転職というと、業種や職種を絞らなきゃと思いがちですが、難しいですよね。もともと、世の中には本当にさまざまな業種や職種があって、知っているのは限られた範囲です。

やりたい仕事が具体的にあって、自分の仕事としてイメージができているのであれば、業界や職種を絞るのは大賛成ですが、もしそうでないなら、視点を切り替えてみたらどうでしょうか。

仕事としてお金をもらう以上、会社からの期待にこたえなくてはなりません。仮に話が違ってもやり遂げなければいけないこともあります。そういう社会の仕組みの中で、意に沿わないことがあったとしても「どんな状態なら続けられるか」、「どんな場面があれば気が晴れるか」という発想で考えてみてください。

「何が好き?」「気になることは何?」「死ぬまでにしておきたいことは?」
逆に、「これだけはしたくないこと」を考えてもいいでしょう。

例えばTさんはさっき、(まとめには入っていませんが)「対戦ゲームが好きだけれど、それは友達と一緒に遊べるから楽しいのであって、ゲームでなくてもいいのかもしれません」と話してくれました。

また前職での仕事については、「巡回先でクレームを言われることもありましたが、お客さんとのやりとりは苦ではなかったです」とのこと。とすると、Tさんにとって人とのコミュニケーションは、仕事を続けられる要素の1つかもしれません。

夜、寝るときに、「ああ良かった」と思える日の積み重ねで未来はできていきます。業界や職種を絞ることは目的ではなく、良かったと思える日々にしていくための手段です。

焦ってしまうことがあるかもしれませんが、転職活動の今は、好きで続けられることを選ぶことができる、何をあきらめて何を手に入れるかを選択できる貴重な時間だと考えてください。

「なぜ、あの人は働き続けられるのか」を知ろう

この機会に、ぜひやってほしいのが、人の話を聞いてみることです。兄弟や親、親戚のおじさんでもいいですし、なじみの店の店員さんや居酒屋で隣り合わせた人でもいい。その人が最近気になっていること、好きなもの、悩み、何でも構いません。自分にない感覚に触れてみてほしいのです。

例えば、Tさんの前職も、人によっては直行直帰で通勤ラッシュはないし、不要な飲み会の誘いも、無駄な会議も避けられていいと思うかもしれません。ものの見方や感じること、価値観はそれぞれ違い、正解は一つではありません。

何かを大事にするために、何かをあきらめている、いろいろな人の生き方を知ることで、自分がこだわりたいことと、こだわらなくてもよかったけれどプライドがあって気にしていたことの切り分けができるようになるかもしれません。

職種を全部理解することはできませんし、気になる会社のすべてを訪れてみることもできませんが、自分の知らない世界、知らなかった仕事に就いている人が、なぜ続けられているのか、理由を知ることできっと世界が広がります。

トーナメントゲームで自分の優先順位を探す

自分の優先順位を探す方法として、今回は2つの方法を紹介しましょう。

1つは一般的な論理的思考で導き出す方法。
どんな仕事がいいのか、どんな働き方をしたいのか、好きなことや惹かれるもの、したくないことを、思いつく限り書き出していき、優先順位をつけていく方法です。

ただし、この方法の問題点は、頭でかっこいい答えを作り上げがちなことです。「安定性」や「社会貢献できる」など、無意識のうちに周囲が納得できる条件、もっと言えば面接官に答えられる理由を探してしまうこともあるからです。

そこで、おすすめするのは、もう1つのトーナメントゲーム。
やり方はかんたんです。世の中に出ている求人で気になるものを片端から100職種ぐらい集めてプリントアウトします。その中から2枚を取り出して、どちらで働きたいか対戦させて勝ち抜き戦をするのです。

100種のトーナメントを勝ち残った仕事は、やりたい仕事、あるいはあなたにとってやり続けられる仕事かもしれません。

トーナメントゲームでぜひ実行してほしいのが、どうしてそちらがいいと思ったのか、理由をメモすることです。

例えばT社のSE対人事、給料が高いからSEの勝ち。T社のSEとB社の営業では、家から近いB社の営業の勝ちとか。99回対戦すると理由はある程度固まってきます。普段、口にしていることと自分の気持ちが違うこともあります。

トーナメントをしてみると、実は気づいていなかった自分のこだわりや傾向も見えてくるのではないでしょうか。

第2のステップに向けて、面接対策より重要なこと

これからTさんは第2のステップに向けて、転職活動を始めるわけですが、面接で離職の理由を聞かれることは多いでしょう。

Tさんの場合、採用時に言われていた内容と違う、先が見えない、成長がなさそう、大した仕事じゃないと職場内でも見られているなどの理由がありました。

もし自分が採用担当なら、それらの理由をどう判断するかを考えてみましょう。聞く人によっては、周囲や状況に責任があると、とがめている他責に聞こえかねません。

それよりも、Tさんがご自分でも言っている通り、「就職や仕事に対する自分の考えが浅かった。その反省があるからこそ、今度はやり抜きます」と言ってくれたほうが、経験を活かして、次は頑張ってくれそうだなと相手に伝わっていく。仕事を託したい、一緒に働いてほしいと思われるのではないでしょうか。

ただし、それを面接用のテクニックとして言うのであれば一時的には通用しても、演じることは長続きはしません。肝心なことは本当にそう思えるかどうかです。

口から出まかせをいって面接を通過して採用されたとしても、本心でなければ、その先ずっと、自分にうそをつき続けていくのは大変なことです。だから、ここは自分のホンネと、十分向き合ってください。

好きで続けられること、あるいは自分にとって重要なことを優先して志望先を選んだら、給料をもらう以上は会社に対して貢献する、やってと言われたことはやり続ける。この当たり前の構図を続けるぞ、という覚悟を決める。その思いはきっと相手にも伝わります。

転職活動に悩んでいるときは、ネガティブになりがちですが、離職を決めた自分を責める必要はありません。自分の価値観を見直す機会を得たのですから。

そして、前職を経験したことで、お客さんの話をきちんと聞く、相手の要望を聞き出す、対応する、その声を次に活かす…持ち出し可能なスキルも得ています。

どうぞ自信を持ってください。

インタビュー・文:中城邦子
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