プレゼンツールや質問対策はどうすればいい?──澤円のプレゼン失敗克服法【後編】

「プレゼンは成功より失敗のほうが圧倒的に多い」とか「常に失敗にビクビクしてしまうので、できればプレゼンはしたくない」とか思う人の方は、かなりの多数派かもしれません。前回に引き続き、今回の記事ではどうすれば「失敗の罠」を避けられるのか、いろいろな角度でお話ししたいと思います。

技その3:プレゼンツールに振り回されない

前の章でもちょっと触れましたが、プレゼン中にアニメーションが予想外の動きをしたり、当日に解像度がうまく合わずにあたふたしたり、クリッカーの操作に手間取ったり

プレゼンの最中に、聴衆ではなくプレゼンテーションソフトとひたすら対話する羽目に陥った経験はありますか?澤も昔そんな経験があります(笑)。

PowerPointを作っている会社の人間が言うのもアレですが、プレゼンの最中にソフトがいうこと聞かなくなって振り回されるのほどいやなことはありませんね。

もちろん、事前にしっかり準備して、スライドの動きも頭に入れて、解像度もしっかりチェックするのは、失敗を避けるうえで不可欠なことです。これは「技その1」で書いた準備の大切さそのものですね。

とはいえ、急にプレゼンの依頼が来たり、機材が突然入れ替えられたり、PCにコーヒーかけちゃったり、いろんなことが起きるのが人生です。

そんな時はどうすればいいか。

究極の方法として、「プレゼンツールなしで、声だけで話せるように準備しておく」です。

これができるくらいにストーリーがしっかり頭に入っていれば、もう大抵のことは「恐るるに足りず」となります。

これは、スライドを全部頭に入れておきましょうということではありません。あくまでも「ビジョン」と「核」をしっかり頭に入れておいて、それだけはしっかり伝えられるようになっておきましょうということです。

確かにスライドが使えないのはかなりしんどい状況ですが、PowerPointやKeynoteと戦ってる間に時間が過ぎてしまうくらいなら、スライドを使わずに話した方が潔いですし、結果として聴衆の満足度もよくなるはずです。

もちろん、完全にすべてスライドなしにしなくとも、しばらく話しながらPCの再起動をしたり、スタッフに調整を依頼したりもできるでしょう。とにかく、時間を無為に過ごさせないようにするために、できる限り「聴衆にプレゼントを渡す」ための時間を増やすことに集中しましょう。

ちなみに、とても有名な人が行う講演会などでは、スライド一切なしで話だけってこともよくあります。ご自身でそれを再現すればいいわけです。ビジョンと核がしっかりあれば大丈夫です。もしスライドなしだと伝えられないと思ったら、それはビジョンと核が甘いのかもしれません。もう一度しっかりプレゼンテーションの内容を吟味することをお勧めします。

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技その4:質問を恐れすぎない

プレゼンテーションをすると、質問が来ることがあります。日本ではプレゼン中に質問が飛んでくることは稀ですが、海外では当たり前の光景です。日本では、プレゼンテーション最後に質問を受ける形が一般的かと思います。

日本人は、一般的に質問をするのも受けるのも慣れていない印象があります。なんでも海外と比べればいいわけではありませんが、グローバル企業に勤務していると、どうしてもその違いが目立って感じられます。

その結果として何が起きるかというと、「質問者が妙に攻撃的」だったり「極端に細かい質問を投げてくる」だったりします。

これは、質問する側の経験不足もあるので、責められない部分もありますが、受ける側は大変ですよね。

でも、大丈夫です。魔法のキーワードがあります(笑)。

それは「質問はすべて回答する必要はない」をモットーにすることです。

「え?」ってお思いの方もいるかもしれませんが、これは事実なんです。

プレゼンテーションをする人がその場で行わなくてはならないことは、「聴衆に次の行動を促す」ことであって、「聴衆のいうことを何でもきく」ことではありません

もちろん、かっこよくスマートに質問に答えられればそれに越したことはありませんが、自分が質問の回答を持ち合わせてないのであれば、答えようがないですよね。

それならいっそ「スマートに質問を断ち切る」という技を磨いた方が建設的です。

刺激的な質問ありがとうございます。それはぜひ、ここではなく別途機会を作らせていただきたく思います

弊社の担当営業はご存知ですか?そこからサポート窓口に伝えていただくと、より正しい回答が得られます

それは現時点で答えられる人間はこの世に存在していないと思われます。ぜひ弊社ホームページを継続的にチェックしていただき、最新の情報を入手してください

こんな回答をさっと提示して、流れを自分のペースに戻してしまいましょう。

プレゼンテーションの場所と時間は「共有物」です。質問者と回答者だけで意味のない迷路をさまようわけにはいきません。

答えられないなら答えられないなりの「次のステップ」を明示することによって、質問者に恥をかかせることなく、そして自分も必要以上に傷つくことなく、プレゼンテーションを終わらせることにしましょう。

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著者プロフィール

澤 円(さわ まどか)氏

大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術
Twitter:@madoka510

(撮影:栗原克己)

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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