「仕事を任される人」の特徴とは?「任されない人」との7つの違い

同じ職場で働いているのに、「あの人はなぜか大きな仕事を次々と任されている」と思うことはありませんか?

どうせ働くならばより重要でやりがいある仕事を任されたいと思う人が多いと思います。

そこでこの記事では、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らが選ばれ続けてきた理由を研究している「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに、「重要な仕事を任せる人と任されない人の違い」について伺いました。

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仕事を任されることによるメリットとは?

仕事を任されるようになると、ビジネスパーソンとしてさまざまなメリットが得られるようになります。代表的なものを3つ、ご紹介しましょう。

成長スピードが速まる

ビジネスパーソンとしての成長は「仕事の量」に比例すると言われています。仕事量をある程度こなすことで、コツがつかめるようになり、それによって仕事の質が上がり、スキルとして自身に装着されます。

たとえ重要な仕事ではなく、雑務だったとしても量をこなすことで効率化できるようになり、ビジネスパーソンとしてのスキルアップにつながります。

視野が広がる、視座が上がる

多くの場合、「仕事を任せる側」は上司やクライアントなど、自分より上位レイヤーだと思われます。
任せる側と、任される側が見ている風景、目指すゴールは異なるケースがほとんど。任された仕事のクオリティーを上げるには、「任せる側」の目線に立って物事を考え、実行することが大切です。その過程で、上司あるいはクライアントの視野に立ち、視座を上げて仕事に臨めるのは、特に若手ビジネスパーソンにとっては有益です。

自分にはない視野で仕事に臨む過程で視野が広がり、経験値が上がるうえ、将来的に自分が上司の側に立つ際の、大きなアドバンテージになります。

より大きく、面白い仕事が回ってくるようになる

面白い仕事は、仕事ができる人にどんどん集中する傾向にあります。仕事そのものの質が高いというのもありますが、背景には「あの人に任せれば安心だ」という信用・信頼があります。

信用・信頼は、日々の仕事の積み重ねによって蓄積されます。任された仕事がどんなものであっても、真剣にコツコツ臨み、相手の期待に応え続ければ、信頼が得られるようになり、より大きな仕事、面白みのある仕事を任されるようになり、やりがいも増していくでしょう。
人からの信頼はポイントカードのようなもので、コツコツ貯めればいつかランクが上がり、大きなリターンが得られるようになるのです。

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仕事を任される人の7つの特徴

重要な仕事を任されるようになるには、自分を鳥の目で見ることが重要です。
鳥の目とは、つまり俯瞰で自分を判断するということです。

「仕事を任される」という言葉のとおり、仕事は「誰かがあなたに任せること」により生まれます。つまり自分だけが「仕事ができる」と思っているだけではだめで、任せる相手が「この人は仕事ができる人だ」と思っていなくては成立しないのです。

その際、大切なのは相手目線で「何をすれば仕事ができると思われるか」ということを理解し、それに取り組む姿勢です。

たとえば上司が「売上額より利益額」を求めているとします。そんな状況にも関わらず、大きな売上になるからと低利益率の仕事ばかり受注している営業パーソンがいたら、どんなに忙しく働いていても残念な人と思われてしまいますよね。仕事ができる・できないの前に、相手や会社が求める正しいゴールに向けて動かなければ評価されないのです。

それは正にキャッチボールと同じです。どんなに速い球が投げられても、相手がきちんと受け取れなければそのボールは無意味。キャッチボールは成立しません。相手が取りやすい位置・速さ・角度などを計算し、相手目線で受け取りやすいボールを投げる人の方がキャッチボールの相手としては優秀なのです。

では次から、仕事を任せる人目線の「仕事を任される人の特徴」について具体的に解説します。

特徴1:ゴールを最初に確認する

「仕事はキャッチボールと同じ」とお話ししましたが、仕事を任される人は、まず相手が求めるグラブの位置(ゴール)を確認しています。ここが間違っていたらすべてが台無しだからです。

  • 営業なら…
    売上額UPなのか?利益額UPなのか?
  • 企画のアイデアなら…
    新規提案なのか?今までの改良案なのか?
  • 構造改革なら…
    今すぐの短期の改革なのか?3年後の改革なのか?

など、きちんと仕事を振る相手が求めているものを確認しましょう。

このひと手間を省き、独りよがりに行動して「良かれと思ってやったのに」と後で嘆いてもそれは無意味。仕事は相手が求めるものにきちんと取り組まなければ正しく評価されません。

特徴2:すぐに動く

仕事を任される人は、最初にゴールを確認したからといって安心しません。「善は急げ」ということわざがあるように、ゴールを正しく把握したらすぐにその仕事に取り組んでいます。たとえ仕事を任せた人が「手が空いているときでいいよ」と言っても、「すぐに」動くのがポイントです。「お手すきの際に」というのはただの遠慮です。あなたに仕事を頼む上司やクライアントは、本当は自分の仕事を第一優先にして欲しいと内心思っています。

レストランで同じAランチを注文したのに、同じときに来た別の客に先に出されたらムッとしますよね。あれと同じ感覚で、人は誰でも自分の注文にすぐに対応して欲しいものなのです。

特徴3:逆算してスケジュールを組み立てる

すぐに行動することに加えて、相手に安心感を与えるのも重要な仕事を任せられる人の特徴です。その最適な方法は、最初に確認したゴールから逆算して、今何をすべきかを計算し、その逆算スケジュールを相手と共有することです。

一生懸命仕事に取り組むことは大切ですが、その一生懸命さに中身が伴っていなければ残念な評価になってしまいます。そうならないためにも「ゴールから逆算した結果、今は〇〇に取り組みます。だから安心してください」と伝える必要があるのです。逆算するというひと手間だけで、相手の評価が180度変わることは多々ありますので、使わないのはもったいないと思います。

特徴4:能動的に報連相する

「ビジネスは報連相が大切」と昔から言われるように、仕事を任せた人に報連相をきちんとするのは基本です。ただしその仕方に工夫が必要です。相手から「どうなっている?」と聞かれてから報連相するのは最悪なパターン。相手が聞く時点ですでに「何をグズグズやっているんだ」と内心思われています。

仕事を任される人は、「そんなことまで」と思うことでも自分から能動的に報連相しています。上司は何も聞かれないと不安に思いますが、特に相談されると嬉しくなる生き物です。勝手に遠慮せず、どんどん相談を仕掛けてください。

ただし、報連相のタイミングには注意しましょう。嬉しい相談であってもバタバタしているときに「時間をください」と言われると、こちらの状況を判断する能力がないのかと思われてしまいます。相手が出社してパソコンを立ち上げているアイドリング時間や、ランチでリラックスしたとき、はたまたトイレ休憩などに立ち上がったときなどに、「少しだけ相談したいのですが」と声掛けするのがうまいやり方です。

特徴5:発見したこと、気づいたことを伝える

任された仕事に臨む過程で、新たな発見や気づきが得られることがあります。たとえば「この仕事には、こんな可能性(もしくは課題)があるのでは?」と思えたり、「もっと別のやり方で進めたほうが効率的ではないか」と気づけたり。これらは、その仕事を実際に手掛けている「任された側」ならではの発見です。

このような「やってみたからこそわかったこと」をこまめに報告すると、たとえそれがマイナスの情報であっても業務のブラッシュアップにつながるので、任せた側からすればありがたい情報。評価や信頼も得られやすくなるでしょう。

任された仕事を、ただこなすだけでは当たり前。
そこにひと手間を加えることで、信用・信頼が高まり、より面白い仕事が回ってきやすくなるのです。

特徴6:相手と言葉使いを合わせる

仕事を任される人は、言葉使いがうまいのも特徴です。「口がうまい」というわけではなく、相手に合わせるのがうまいのです。

たとえば、難しい専門用語を多用する相手には、自分も専門用語を交えながら対応する、平易な言葉を意識して使っている人に対しては、自分もわかりやすい言葉でのやり取りを心掛ける、など。これにより、会話のリズムが良くなり、相手とのコミュニケーションがより円滑になるというメリットがあります。

これは文章やメールでも同じで、堅い文章を好む人には真面目に、やわらかくテンポのいい会話を好む人には多少くだけて…などを心掛けると、ぐっと距離が縮まり、信頼感にもつながるでしょう。

特徴7:相手を主語にして考え、行動する

仕事を任せた人、任された人の関係の中で言えば、この仕事の主役はあくまで「任せた人」です。その人が期待しているイメージがあり、描いているゴールがあります。

重要な仕事を任される人は常に、「主役=仕事を任せてくれた相手」を主語にして考えています。任された仕事について、どのような成果を挙げれば喜んでくれるのか、どのようにまとめればその後の業務がスムーズに進むのかなどを考え、より良い方法を選択しています。

細かい雑務でも同様で、たとえば「議事録をまとめておいて」という業務一つとっても、どのファイル形式でまとめればいいのか…ほかのファイルと合わせてExcelにすればいいか、それともすぐにプリントアウトするならPDF化したほうがいいのか、などまで考え実行します。

せっかくやるならば、相手の気持ちに立って寄り添い、もうひと手間加えることを心がけましょう。このひと手間が、信用・信頼のポイントカードへの加点になります。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事を任されないままだとこの先どうなる?「任される人」になるために必要な姿勢とは?

前述のように、仕事はできる人のところにどんどん集まるという習性があります。したがって、仕事を任されないままだと、この後も仕事が回ってきにくい状況が続き、経験が詰みにくくなることで「できる人」との格差がどんどん広がってしまいます。

そして、仕事ができる人は信用・信頼があるのでより大きな責任ある仕事、面白い仕事が回ってくるようになりますが、任されない人はいつまで経っても雑務やルーティン業務ばかりになる可能性が高く、やりがいも得られにくいでしょう。
なかには「そのほうが楽でいいよ」と思う人もいるかもしれませんが、たとえ若手時代は良くても、30代、40代になっても本当にそれでいいのか、考えてみてください。

もしも「自分なりに頑張っているのに、なかなか仕事が回ってこない」と感じているのであれば、自分から「やらせてください!」と手を挙げたり、「何か手伝えることはありませんか?」などと声を掛けたりする姿勢が大切です。

こんな仕事がしてみたい、こんな役割を担ってみたいと思っていても、自分から伝えなければ相手は把握できません。普段から上司にやりたいこと、挑戦してみたいこと、将来なりたい姿などを共有しておくと、何か新しい業務が発生したときに「○○さんに任せてみようか」と思い出してもらえるでしょう。

若手ビジネスパーソンにとって会社は、いわば「お金がもらえるスポーツジム」のようなものです。「仕事なんて面倒くさいな」ではなく、「仕事に臨むほどビジネスパーソンとして鍛えられ、スキルが身に付きレベルアップできるのに、お金までもらえるなんて、こんなにおいしいシステムはない!」と捉え直せば、目の前の仕事がどんどん楽しく感じられるようになるでしょう。

まとめ

重要な仕事を任せられるのは単にスキルが高いからという理由ではありません。相手が取りやすい位置・速さ・角度などを計算し、相手目線で受け取りやすいボールを投げるキャッチボールの工夫がうまい人が選ばれているのです。

そのキーワードは相手目線の安心感。

これがある人こそが、真の仕事ができる優秀な人なのです。

前述のような方法で、ちょっとした安心感を相手に与え続けることで「この人に仕事を任せたい」との印象につながるでしょう。その印象の積み重ねが、あなたのキャリアを輝かせてくれます。

ぜひキャッチボールの工夫を仕掛け、あなたの人生を変えてみませんか?

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

「昭和の仕事術」表紙

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)、『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。最新刊『今こそ使える昭和の仕事術~ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)も話題。

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