この「勉強法」は、やってはいけない~暗記編~

「資格の大原」でおなじみ、大原学園で講師を務めた経験をお持ちで、『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』著者でもある石川和男さんに、失敗しない社会人の勉強法、特に「やってはいけない暗記法」について教えていただきます。

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前回、綺麗すぎるノートは不要というお話をしましたが、引き続き「非効率的な勉強方法」をお伝えします。今回のやってはいけない勉強方法は、綺麗な暗記です。

多くの人が苦手な暗記。多くの人が間違った暗記の仕方をしている

ドラえもんのポケットから出てくる道具に「暗記パン」があります。暗記パンは「どこでもドア」「タイムマシン」「タケコプター」などと並ぶ人気のアイテムです。

あなたも一度は欲しいと思った時期がありませんでしたか? 小中高の試験時期や大学受験。この数式は食べておきたい、この年号は詰め込んでおきたい。

「試験の前の日なら何も食べないで暗記パン食べまくるのにな~」とか「俺だったらパン1枚に物凄く小さい字で書き写すだろうな~」とか、絶対ありえない空想に無駄な知恵を絞ったことがある方も多いと思います。

大人の階段をのぼるときに必ず通る暗記パン。永遠に手に入らないけど一度は食べたい暗記パン。いかに多くの人が暗記を苦手にしているか、または、面倒がっているかが分かります。

そんな苦手意識の高い暗記なのに、さらに間違った暗記をしている人がいます。それが、次に挙げる綺麗な暗記の3項目です。

1.目で見るだけの暗記

自習室や図書館など公共の場で、声に出して暗記することはマナー違反なのでできませんが、書斎など1人で勉強できる環境なら、目で見るだけでなく、声に出したり、書いたり、五感をフルに使って暗記することをおすすめします。

脳科学の専門家である林成之教授。北京オリンピックの日本代表競泳チームにアドバイザーとして参加し、 北島康介選手を世界一に導いたことでも有名です。林教授の講演に行ったとき「ものを覚えようとするとき、文字を追うだけでなく声に出して読んでみるなど、意識的に複数の情報を重ねることが有効なのです」とおっしゃっていました。

2つ以上の動作を行うことが記憶の定着に有効です。さらに、目で見ながら、手で書き、声に出し、耳で聞く、つまり全身全霊を使うことで、目の前にある勉強に集中することもできるのです。

2.同じ科目だけを続けて暗記

授業のカリキュラムで、月曜日は最初から最後まで国語だけ、火曜日は数学だけというように続けて授業を行うことはありません。人は「飽き」という現象があるので、単位ごとに違う科目を勉強するようにカリキュラムは組まれています。

しかし独学で勉強をしている人の中には、月曜日は憲法、火曜日は刑法というように1日1科目の勉強を行っている人もいます。

あなたの勉強が、刑法、行政法、民法というように分かれているなら、時間を決めてローテーションを組んで順番に暗記をする。1科目で分けることができない場合、たとえば英語などの語学なら文法、単語、長文などに分けて暗記をするなど「飽き」がくる前に、別の分野に移るようにしてみてください。

3.繰り返さない暗記

「全然覚えられない」と言う人がいます。これは言ってはいけない言葉のナンバーワンです。頭の中で思っているだけでも負の感情なのに、言葉に出してしまうと、自分の口から言ったことが自分の耳に入り、やっぱり自分は覚えられないのだと負の暗示をかけてしまいます。自分は覚えられないという根拠のない不安が、自分から発信することによって自己暗示にかかり確信へと変わるのです。

暗記が苦手という人は多いですが、覚えられなくて当たり前なのです。忘れて当たり前なのです。

エビングハウスの忘却曲線というグラフがあります。心理学者のヘルマン・エビングハウスによって作られたグラフです。これによると、たった1時間で56%のことを忘れ、1日たったら74%のことを忘れると定義づけられています(初めて聞く言葉や記号のときです)。

1日で約8割忘れてしまうのですから、あなたが忘れてしまうことは当たり前なのです。 誰もが覚えられないのに、あなただけが挫折する必要はありません。忘れるたびに繰り返して何度も何度も覚えれば良いだけなのです。

忘れて当たり前。あなただけではないのです。みんな一緒です。10回やって駄目なら20回。それでも駄目なら100回やれば良いだけなのです。何度でも納得いくまで復習してください。東京大学出身でカリスマ家庭教師の吉永賢一さんは、わからなければ300回は繰り返すと言っています。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

暗記できずに自信を失うことはない

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今回はやってはいけない暗記の方法をお伝えしました。私が税理士の勉強をしている時や講師をしている時、暗記に苦手をしている受講生が非常に多くいました。しかし間違った暗記方法を改め、覚えられなくて当たり前ということを認識するだけでも暗記能力は各段を上がります。

綺麗に暗記しても覚えられないなら意味がありません。

汚くても良い。ガムシャラでも良い。勉強に必要なのは、覚えて理解して自分のものにし唯一最大の目的である合格をすることなのです。

もう一度おさらい!<やってはいけない暗記の方法>

1.目で見るだけの暗記

2.同じ科目だけを続けて暗記

3.繰り返さない暗記

f:id:asukodaiary:20170309141602j:plain【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)

建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。
『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)は16刷中ほか、勉強法、時間術など3冊のビジネス書を出版している。
石川和男 公式サイト http://ishikawa-kazuo.com

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