AIDMA・AISAS・SIPS|マーケティングにおける購買行動モデルをおさらい

マーケティングの世界では、消費者が実際に商品を認知してから購入するまでの行動をモデル化した考え方があります。それが購買行動モデルです。

購買行動モデルにはいくつかの種類がありますが、今回はその中からAIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)・SIPS(シップス)の3つの購買行動モデルについてまとめました。これらのモデルを押さえておくことで、「消費者のどのポイントにどう接し、どうやって自社の商品を使ってもらうか?」といった広告・販売戦略を立てやすくなります。

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「AIDMA」とは?消費者の購買行動モデルのひな型

まず1つ目はAIDMA(アイドマ)です。AIDMAは、1920年代にアメリカ合衆国で販売や広告に関する実務書を執筆していた、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された購買行動モデルです。その後さまざまな購買行動モデルが登場したあとも、消費者の購買行動モデルのひな型として用いられることが多く、汎用的なモデルといえるでしょう。AIDMAは次の5つのプロセスから構成されています。

 A…認知・注意(Attention)

 I…興味・関心(Interest)

 D…欲求(Desire)

 M…記憶(Memory)

 A…行動(Action)

例えば、消費者は各種広告を見て、ある商品の存在を「認知」することになります。

その後、商品が自分の「興味・関心」の対象となるものであれば、実際に手に入れたいという「欲求」が起こるでしょう。その欲求、欲しい商品が「記憶」に残り、実際に商品を買うという「行動」に繋がるという流れです。

AIDMAは大きく3つのプロセスにまとめることもできます。第1プロセスは「認知段階」で「認知・注意(Attention)」がこれに該当します。第2プロセスは「感情段階」。「興味・関心(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」が含まれます。最後の第3プロセスは「行動段階」で実際に購買行動である「行動(Action)」がこれにあたります。

なお、米国では「記憶(Memory)」を抜いた「AIDA(アイダ)」の方が一般的とされています。

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「AISAS」とは?インターネット普及時代の購買行動モデル

AIDMAが登場したのは1920年代ですが、そこから70年以上が経過して新たなプロセスが誕生します。それがAISAS(アイサス)です。AISASは日本の広告会社である電通によって提唱されたモデルで、AIDMAをインターネットが普及した時代に適用できるよう発展させたモデルといわれています。こちらも全5段階のプロセスによって構成されてはいるものの、後半の3つがAIDMAと異なることが特徴です。

 A…認知・注意(Attention)

 I…興味・関心(Interest)

 S…検索(Search)

 A…行動(Action)

 S…共有(Share)

このプロセスを見てもわかる通り、インターネット時代に対応した検索と共有の行動が考慮されています。消費者が商品を認知して興味関心を示すところまではAIDMAと同様ですが、その後は自ら商品情報をインターネットで「検索」し、その結果をもとに「行動(購入)」。さらに購入によって得られた体験や知識をSNSなどで「共有」するまでが考慮されています。

検索エンジンを使って商品を検索し、その特徴や価格を踏まえたうえで購入、さらに実際の使用感や評価をTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)にアップするという流れは、現在の日本でも日常的に見られる行為です。あらゆる人とモノがインターネットで繋がりつつある時代になり、AISASはより実情に近い購買行動モデルとして評価されています。

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「SIPS」とは?ソーシャルメディアの影響を考慮した購買行動モデル

最後に紹介する購買行動モデルはSIPS(シップス)です。SIPSは2011年に登場した購買行動モデルで、電通コミュニケーションデザインセンターの社内ユニットが提唱しました。インターネット時代に対応した購買行動モデルという点ではAISASと共通しているものの、SIPSはより深くソーシャルメディアの影響を考慮しているという違いがあります。AIDMAやAISASなどの後継とは考えられておらず、あくまでもSNSを頻繁に利用する層の購買行動を説明したものですので、広告・販売戦略を考えるにあたっては、前述のAIDMAやAISASとの併用前提で考えておくと良いでしょう。

 S…共感する(Sympathize)

 I…確認する(Identify)

 P…参加する(Participate)

 S…共有 & 拡散する(Share & Spread)

購買の出発点が広告やCMによる認知からではなく、SNSなどからの「共感」ではじまっていることが大きな特徴です。また、消費者参加型であるのもこのモデルの特徴です。最後に共有・拡散(Share & Spread)された情報は、新たな消費者の共感(Sympathize)を呼ぶのです。消費者の購買行動が単なる行動(Action)ではなく参加(Participate)になっているのもこのためです。

まとめ

ここまで、よく使われる消費者の購買行動モデルを3つご紹介しました。これ以外にも「AIDCA(アイドカ)」「AISCEAS(アイシーズ)」などのモデルもありますが、まずは3つだけ覚えておきましょう。

「AIDMA」・・・消費者の購買行動モデルのひな型

「AISAS」・・・インターネット普及時代の購買行動モデル

「SIPS」・・・ソーシャルメディアの影響を考慮した購買行動モデル

なお、初めに書いたように、ご紹介した購買行動モデルはいずれも消費者の感情や行動の流れを構造化したもの。AIDMA・AISAS・SIPSといった言葉を覚えるだけではなく、自社の商材特性や事業状況を鑑みた上で、「消費者に対して自社はどのように、どんなコミュニケーションを行うべきなのか?」「それに即した販売・広告戦略は何か?」を考えていく必要があります。

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