始末書を書くと減給になるのか?

 人間誰しもミスはするもの。今では企業内で欠かせない役割を担っているあの人も、大なり小なり失敗をして、当時の上司に怒られていたものです。そんな誰しもが一度は犯すミスですが、その程度によっては叱責だけでは済まないこともあります。始末書を書くことになるのは決して小さくはないミスを犯したとき。それ自体は仕方がないことですが、問題は始末書を書いた場合、その後にどれくらいの影響があるのか?ではないでしょうか。始末書をめぐるあれこれを今一度確認してみましょう。

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大きなミスをしたから始末書を書いていることを受け入れよう

 よく、「始末書を書くと処分が下る(減給される)から書きたくない」と言う人がいます。ですがそもそもなぜ始末書を書く必要になったのか、冷静になって考える必要があるでしょう。始末書は仕事でミス(それも決して小からぬ)をしたから書くもので、原因は自分自身にあります。にもかかわらず「書きたくない」と突っぱねるのは、子供が駄々をこねているのと同じであり、そちらのほうがむしろ人事や上司の心象を悪くすることは間違いありません。まずは始末書を書く羽目になってしまった自分自身のミスをきちんと振り返ること。そのミスによって社内外に生じた損害や不利益は、始末書を書くことで補えるものではありません。始末書は「書かされる」ものではなく、自分自身が反省の意味を込めて、二度と同じミスを犯さないと誓う宣言書のようなものと捉えるべきではないでしょうか。

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始末書の目的とは

 始末書を書く上での心構えを理解したところで、次に始末書の目的を確認しておきます。そもそも始末書はなんのために書くものなのでしょうか?これにはミスを犯した本人と雇用主である企業側と両方に理由がありますから、きちんと確かめておきましょう。

 まずはミスを犯した張本人の理由から。これは先ほども述べた通り「反省の意を示す」という目的があります。車内の場合この意味は薄れがちかもしれませんが、ミスの影響が社外にまで及ぶ場合、始末書の対象も社外にまで広がります。自分のミスを認め、きちんと謝罪することは今後の人間関係のためにも非常に重要なことです。それ以外にも反省の弁やお詫びを述べる機会として機能したり、二度と同じことを繰り返さないという決意表明の場でもあります。始末書には懲罰的な意味合いだけでなく、本人の決意表明の意味合いも強く持っていることを覚えておきましょう。

 次に企業側にとっての理油を見てみます。こちらはやはりと言いましょうか、かなり懲罰的な意味合いが強くなっています。企業の側にとって始末書を書くのは、「社員の指導」「不祥事の再発防止」「職場秩序の回復」といった意味合いがあります。これらはそのひとつひとつにはさほど大きな意味があるようには見えないかもしれません。ですが、積み重なることで大きな意味を持つことになるのが、始末書の特徴といえます。もっとも効力を発揮するのが、企業側による懲戒解雇のケースでしょう。突然の懲戒解雇は裁判で争われた場合不当とされることも多いものですが、始末書という事実を書き残しておくことで、「何度も指導や教育を繰り返したにもかかわらず、本人が行いを改める気持ちがみられなかった」という既成事実を作ることが可能になります。

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始末書の処分レベルを理解しよう

 同じ始末書を書くのでも、その処分のレベルはさまざまです。始末書を書いたから必ずしも減給処分が下されるとも限りません。企業によって多少のばらつきがありますが、基本的には処分のレベルは一定です。制裁の種類と程度にはどのような段階があるのでしょうか。

 制裁の第一段階は「訓戒」です。この段階では口頭もしくは文書によって厳重注意をし、将来を戒めることとなります。この段階では始末書ではなく、反省文や報告書といった形をとることもあるでしょう。

 第二段階は「譴責」で、この段階から始末書が登場します。ただしこの第二段階では始末書を書くのみで終わることがほとんどです。

 第三段階は「減給」処分になります。この段階になると始末書を書くだけでは済まず、なんらかの減給処分を受けることになるでしょう。とはいえ、よほど大きな事故やミスでもない限りいきなりこの処分が下されることは少ないようです。まず「訓戒」や「譴責」といった段階を経て、それでも改められなかった場合や同じようなミスが続いた場合には減給処分が下されることになります。

 第四段階以降は非常に重たい処分です。一定期間の出勤の停止を命じ、その期間の賃金を支払わない「出勤停止」、等級の引き下げや役職を解く「降格降職」。さらに上の段階としては退職届を提出するように勧告する「論旨解雇」や、解雇予告期間を設けず即時解雇をする「懲戒解雇」などがあります。いずれにしても即座に処分を下すのは刑法に触れたケースなどを除けばごく稀で、それまでに上記の段階を踏むことになります。始末書を書くこと自体はそれほど重い処分ではないのですが、積み重なっていくとより大きな処分につながっていることがわかるでしょう。始末書を書く羽目になったときには決して軽んじることなく我が身を反省し、同じミスを繰り返さないよう肝に銘じておきたいものですね。

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