こんなにもらえるの?!あまり知られていない不動産鑑定士の年収

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 不動産鑑定士の代表的な仕事は、対象となる不動産の周辺の経済や交通状況など環境的な側面や、不動産として市場価値などの条件をもとに、その不動産の経済価値の鑑定評価を行い、適正価格を決定することができる国家資格を有する人です。決定された適正価格が反映されたものが、国や地方自治体から定期的に公表される地価公示です。では不動産鑑定士の平均年収はいくらくらいなのでしょうか。リクナビNEXTの会員登録者のデータ(2010年12月~2015年11月)をもとに調査してみました。

不動産鑑定士の平均年収は679.1万円

不動産鑑定士の平均年収はいくらくらいになるでしょうか。リクナビNEXTの新規登録者のデータによると、679.1万円となっています。国税庁が発表した民間給与実態調査によると、2014年の給与所得者の平均給与は415.0万円(*1)となっており、不動産鑑定士の収入のほうが約260万円も高くなっています。同じ不動産関連の資格である土地家屋調査士の平均年収486.8万円と比較しても、約190万円も差が出ています。500万円以上の年収の割合が多く、1,000万円を超える人も多数見られるので、高収入の資格と言えます。

 年代別に見ますと、最も高くなっているのが60代で785.0万円、次いで40代の784.5万円、50代の754.2万円となっています。40代以上の差は少なく、それぞれ約700万円以上の収入を得ていることがわかりました。特に、60代が高額であるのは、実績と経験、安定した顧客という条件が備わっているためと考えられます。また、30代の平均年収は599.0万円となっており、こちらも500万円を超える収入となり、平均年収としては行政書士や司法書士より高収入となっています。20代の平均年収は471.3万円ですが、こちらも土地家屋調査士や行政書士、司法書士などの全体を通した平均年収と同等であることからも、不動産鑑定士の年収は比較的高くなっているようです。

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そもそも不動産鑑定士の仕事とは

 不動産鑑定士は、弁護士や公認会計士と並ぶ「三大国家資格」のひとつです。弁護士や公認会計士に比べ、人数も少なく、その仕事内容はあまり知られていませんが、「適正な地価」等を判断することができる唯一の専門家です。分かりやすいところでは、国や地方自治体から定期的に公表される「地価公示」や「都道府県地価調査」にその仕事が反映されています。

 不動産鑑定士の仕事は、対象となる不動産の周辺地域の経済状況や交通などの環境面や諸条件、または、土地・建物に関連する法律などの理論に基づいて、市場価値を求め、鑑定評価額を判定します。それらの数値が地価公示に反映され公表されているのです。この鑑定評価額は、一般的な不動産の査定で算出される査定額とは異なるものです。

 不動産鑑定評価は、不動産売買だけでなく、不動産を担保にするときや不動産を賃貸借するとき、不動産の相続、資産の評価など、さまざまな不動産の動きに対して必要となります。適正な鑑定評価がなされていると、不要なトラブルを避けられるためです。個人の不動産ばかりでなく、ビルなどの建築物についても同様です。

 そのほかにも、不動産に関するコンサルティング、不動産の運用など、その活躍の場は、さらに広がっています。

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不動産鑑定士の資格がありアセットマネジメントや投資部門に所属者は高年収傾向あり

 不動産鑑定士は、不動産鑑定事務所や不動産会社の鑑定部門に勤務するか、独立開業して不動産鑑定事務所を開設するかのいずれかが代表的ですが、会計事務所やコンサルティング会社に所属する場合もあります。ほかにも、銀行の信託部門や担保評価部門に所属する人も増えています。

 不動産鑑定士の有資格者が銀行や証券会社、あるいは保険会社などの金融関係の会社に勤務する場合は、アセットマネジメントや投資部門の所属になります。そこでの不動産鑑定士の仕事は、投資の対象となる不動産の価値やリスクの評価、または、M&A(企業の合併・買収)の際、対象となる企業の財務、人材などの価値やリスクを精査します。そのうえで、投資・運用の判断材料となるものを作成します。これを「デュー デリジェンス」と言い、これをもとに、アセットマネジメントなどを行っていきます。預かった不動産の運用を行う信託業務においても、不動産鑑定士のような高い知識を持つ人が必要とされます。

 また、世界110カ国以上で採用されている「IFRS(国際財務報告基準)」の国際的な会計基準での、不動産の時価評価を行うのも不動産鑑定士になります。世界的に活躍の場を広げている会社では、必須部門になります。

 以上のように、不動産鑑定士は、アセットマネジメントや投資部門において重要な資格であり、ますます必要とされる職種です。収入の面でも、金融系の会社に所属する人の年収は総じて高く、ますます需要が増す仕事になっています。リクナビNEXTのデータによると、銀行や投資信託銀行に所属する不動産鑑定士の有資格者も多く、投資部門やM&A業務に携わる人の多くが年収約1,000万円代となっています。アセットマネジメントなどの部門に所属する有資格者は高収入の傾向があると言えます。

不動産鑑定士の仕事の将来性

 不動産鑑定士として登録する人は、2014年1月1日現在、日本全国で7,767人(*2)です。これは決して多い数字とは言えず、不動産鑑定士の資格を持つ人は希少価値の存在といえるでしょう。

 前述しましたが、不動産鑑定士の有資格者の活躍の場となるのは、不動産鑑定事務所ばかりでなく、銀行や信託銀行などの金融系に所属すると、国際的な仕事や資産運用に関わる部門であることから、専門職として重要な職種であるということです。しかも、高収入が期待できる資格です。

 独立開業によって自分の力量を発揮するもよし、金融系に所属して専門職として活躍するもよしと、将来性の高い仕事です。

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