教職には高等学校教諭、中学校教諭、小学校教諭のほか、養護教諭などの種類があります。教師になるには、短大や大学で教員免許を取得するために必要な科目を履修して、都道府県ごとに行われる教員採用試験あるいは私立学校の教員採用試験に合格しなければなりません。
教師と言っても、公立学校と私立学校の教師や、正規雇用と非正規雇用の講師など働き方もさまざまです。小・中・高の教師の年収はどれくらいなのか、2014年12月~2015年11月にリクナビNEXTに登録した会員のデータからまとめてみました。
教員の平均年収は337.4万円
教師になるために必須の教諭免許。高等学校・中学校・小学校の教諭は、それぞれ高等学校教諭免許、中学校教諭免許、小学校教諭免許が必要です。中学校と高等学校の場合は教科ごとの免許状を取得します。
教師になるにはそれなりの勉強を重ね教諭免許を取ったうえで、教員採用試験に合格しなければなりません。教師の仕事は子どもたちに勉強を教えるだけでなく、学級をまとめたり部活動の指導をしたり、子どもたちの心のケアに加え保護者への対応や雑用、研修など多岐にわたります。世界一忙しいとも言われる日本の教師ですが、この仕事のやりがいは何よりも子どもたちの成長の手助けができること。安定していて人から信頼される職業であると同時に、福利厚生が充実しているのも魅力です。
気になる教師の平均年収はデータによると337.4万円。この平均年収には公立学校・私立学校の教師や、非正規雇用の講師、臨時教員、校長や副校長などの管理職も含まれます。公立学校の先生は公務員であるため給与体系も公務員に準じ、残業代も支給されないことに加え、非正規雇用で働く教師も多いため、平均年収が低めに出ていると考えられます。
高校の教師と小学校の教師の平均年収には約24万円の開きが
小学校、中学校、高校の教員免許取得者の平均年収は異なるのでしょうか?非正規やアルバイトも含めた小学校教諭免許取得者で教師の仕事についている人の平均年収は、リクナビNEXTのデータによると356.4万円、中学校では335.9万円。一方、高校では平均年収は332.2万円と、小学校の教師と高校の教師では平均年収に約24万円の開きがあることが分かりました。
この数字は、非正規雇用の臨時講師や産休などで休職中の教師の代わりを務める代理教員、補助教員など短期間、短時間の勤務も含んだもの。小学校はすべての教科を担任の先生が教える場合がほとんどですが、中学校や高校では教科によっては講師が教える科目もあり、雇用形態も異なるため平均年収にも差が生じると考えられます。
一方、正規で働く文部科学省の平成25年度学校教員統計調査によると、全国の小学校教師の平均月収は、平均勤続年数19年で約33.2万円。中学校教員では平均勤続年数18.4年で平均月収約34.0万円、高等学校教員では平均勤続年数19年で約35.8万円となり、正規雇用の学校教師の場合は月収だけで比べると高校教師のほうが年間で約24万円多くなっています。
20代と50代では、年収が倍近く異なる
教師は経験を積むほど年収も上がる職業です。特に公立学校の教師の場合は、勤続年数などに応じて給与も上がるためその差は顕著。また、50代になると校長や教頭といった役職につく人も増えてくるため、平均年収も引き上げられます。
教師の平均年収を見てみると、高校教師の場合、20代の平均年収は278.9万円、30代で370.0万円、40代では435.0万円、50代になると568.6万円。小学校の教師では、20代で298.4万円、30代で403万円、40代では479万円、50代は653万円となり、20代と50代の差は2倍以上。
正規雇用に限って見てみると、小学校教師の平均年収は20代で約333万円、30代で約445万円、40代で約589万円、50代では約770万円になっています。教員生活が長くなるほど平均年収が高くなることがわかりますね。
正規雇用と非正規雇用の年収には、大きな開きが
教師の場合、正規雇用と非正規雇用の平均年収には大きな開きがあることがわかります。小学校の教師として働いている場合の年収は284.1万円ですが、正規雇用では400.6万円。高校の教師では非正規雇用の平均年収が257.4万円なのに対し、正規雇用では409.5万円。中学校の教師では非正規雇用の場合は262.8万円、正規雇用で406.4万円と、正規雇用と非正規雇用の年収の差は100万円以上になります。
非正規で働く教師の中には、家庭との両立のために補助教員として働く人なども含まれ、一概に正規雇用が良いとは限りませんが、正規雇用のほうが年収や福利厚生の面でも恵まれているのは確実です。
教師の職業というのは勉強を教えるだけでなく、人を育てるやりがいのある仕事。経験を積んで自分自身が教師として成長していく喜びもあるのではないでしょうか。近年、少子化で子どもの数が減っているのに対し、教員採用数は増加傾向にあります。これは団塊世代の一斉退職で教員が不足しているのが原因です。政策面でも少人数学級の導入などが進めば、今後も安定した採用があるのではないかと考えられます。
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