コミュニケーション力を上げたいと思ったら、まずは自分と相手を知ることから。
以前の記事では、そのための便利な4タイプ診断法、「ソーシャルスタイル理論」をご紹介しました。
ソーシャルスタイル理論とは、外から見えるその人の態度を観察して、4つのタイプに分類したもの。自己主張の強弱と、感情表出の強弱の縦横2軸で分類します。感情というと「喜怒哀楽」と思いがちですが、「怒」の感情は、自己主張として考えた方がしっくり来ます。自分のタイプを知りたい方は、前回の記事にあるチェックシートでご確認くださいね。
「各タイプ別対応法」を4回に分けてお伝えする本連載、第2回目は「エクスプレッシブタイプ」をご紹介します。
ムードメーカー的ポジションに多いこのタイプ、基本的対応とあなたのタイプ別注意点をしっかり理解して、対応力を上げて行きましょう。
エクスプレッシブタイプはノリ重視。盛り上っていこう!
エクスプレッシブタイプの見分け方
- テンポよくしゃべる
- 擬音語や擬態語を多用する(「どーんと行きましょう!」など)
- 表情が豊か
- 話が大げさになりがち
- 子どもっぽい表情や行動を取る
エクスプレッシブタイプはお調子者で元気よく、その場を明るく変化させるムードメーカー的存在です。「はじめまして」の瞬間から、フレンドリーで距離が近いのが特徴のひとつ。どうせなら楽しく盛り上がるべしと思っていますから、真面目な固い場は苦手です。
ノリとイキオイが身上で、「なんとかなるさ」と楽観的です。自分のアイデアや想いを実現させようと行動的な方も多いので、起業家の集まりや、サービス系、ベンチャー関連の人が多く集まる場に行くと、たくさん出会えます。
そんなエクスプレッシブタイプへの対応のコツは、「一緒になって盛り上がること」。相手のノリとテンポに上手に合わせ、テンション高く盛り上れると良い感じに仲良くなれます。「いいヤツだなー!」と思われたらシメタもの。エクスプレッシブタイプは、相手の肩書きや資格などの「スペック」よりも、自分との相性重視な社交型です。
「そういうノリ、苦手なんです・・・」と思う方におススメなのは、相手の話を聞く時に、いつもよりも少しだけオーバーに反応すること。相手が笑ったらこちらも微笑む「笑いのミラーリング」も効果的です。基本自分がしゃべりたい、聞くのが苦手なエクスプレッシブタイプには【聞き上手なインタビュワー的存在】で対応しましょう。
エクスプレッシブタイプへの効果的な対応
- 多少大げさな相づちを意識しながら、会話を楽しむ
- 一緒にいられる時間をあらかじめ伝える
会話を楽しむこと、これに尽きます。「それで、それで?」「うんうん!」「ヘェ~!!」など、大げさな反応を喜び、どんどん話が弾みます。調子に乗ると、ついつい話が長引く傾向があるので、一緒にいられる時間をあらかじめ伝えておくと安心です。その場合も、「めちゃめちゃ残念なんだけど、2時間しか時間なくて・・・」と本当はもっと一緒にいたい、という気持ちを伝えると効果的。特別扱いされることも大好きです。
エクスプレッシブタイプへの声かけ例
「どう思いますか?」
「何かアイデアありません?」
自分の考えをどんどんしゃべりたいエクスプレッシブタイプには、話を促すシンプルな質問が効果的です。誰かに口火を切ってもらいたい会議やミーティングの場で、最初に指名する相手としても最適です。
もしもエクスプレッシブタイプを褒めるなら……
○「すごいですね!」「さすがです」
◎「○○さんといると楽しいです!」
褒められ好きなエクスプレッシブタイプは、褒められると単純に喜ぶ傾向が強いので、どんどん褒めましょう。 特に、「あなたといると楽しい」とか、「盛り上がる」といったポジティブな影響力を発揮していることを伝えられると、とても喜びます。
あなたのタイプ別ワンポイント
エクスプレッシブへの一般的対応を心得たら、今度は自分のタイプに応じた注意点を押さえておきましょう。
ドライビングなあなたは……
褒められるのがキライで苦手なドライビングは、あまり人を褒めません。しかし、だからこそ、たまに伝える「いいね」な一言が相手に嬉しく響きます。特にエクスプレッシブには、ポジティブな声かけを意識するのがおススメです。
エクスプレッシブなあなたは……
相性が合えばひたすら楽しく盛り上る、そんな仲間にすぐになれます。ただし双方忘れっぽいのが玉にキズ。次に何かをつなげたいなら、しっかりマネージメントしてくれるサポートメンバーも一緒に巻き込んでおきましょう。
エミアブルなあなたは……
ニコニコ天然聞き上手なエミアブルは、エクスプレッシブにとって頼みやすい相手。エクスプレッシブな人は時々無茶ブリをしてきますから、出来ないときは「ごめんね」と断る勇気も必要です。振り回され過ぎないようにする、自己管理の修行相手と心得ましょう。
アナリティカルなあなたは……
相手のアイデアの抽象的なところが気になって、ついつい指摘したくなりますが、指摘するならダラダラは禁物。長くなればなるほど、相手はヤル気を失います。要点を1つ、多くても3つくらいに絞った上で、短くシンプルに伝えましょう。
エクスプレッシブタイプへの対応法、いかがでしたか?次回は「エミアブルタイプの処方箋」をお伝えします。どうぞ、お楽しみに!
著者:谷 益美さん
1974年香川県生まれ。株式会社ONDO代表取締役。専門はビジネスコーチング及びファシリテーション。企業、大学、官公庁などで年間約300本の対話を通じた実践的学びの場作りを行う。2015年&2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学Teaching Award」を受賞。雑誌やウェブサイトへの記事寄稿、取材依頼等多数。