Yahoo!検索のSSL化、iOS9から導入されたコンテンツブロック機能に伴うアクセス解析ツールの機能不全など、アクセス解析における状況は日々変化し、これまで取れていたはずのデータが取れなくなってしまったり、別の流入元として扱われてしまったりするケースがあります。
それは、アクセス解析を元にデータを分析し、打ち手を考案しようと日々奮闘しているWebマーケターにとって由々しき事態。前提としていたデータに変化が訪れてしまっては、誤った見解を導きかねません。データが取れる、取れないは、自分では如何ともしがたい部分が多いのですが、少なくとも今どんなデータがどのように扱われているのかは知っておくべきでしょう。
目次
【おさらい】そもそもリファラーって?
リファラーとは、Webサーバのアクセスログ上に残される、「どこから来たのか」を示すもので、「参照元」と呼ばれることもあります。
検索エンジン、ソーシャルメディアなどもリファラーのひとつですが、Google Analyticsの参照元分類(チャネル)においては、検索エンジンからの流入(自然検索)は「Organic」、ソーシャルメディアからの流入は「Social」、そして他サイトからの流入のみは「
もう流入キーワードはわからない?「not provided」の現状
検索結果のURLを「https」にする、SSL化をGoogleが行って以降、自然検索経由の検索キーワードを取得することができなくなりました。その場合にGoogle Analyticsでは「not provided」と表示されるようになります。
当初はGoogleアカウントにログインしているユーザーにのみ適用されていたSSL化も、やがてすべてのユーザーに適用され、Googleから訪れたユーザーの検索キーワードは今はもう見ることができません。
それでも日本のPCにおける検索エンジンシェアの過半数はYahoo!経由。Yahoo!から来た検索キーワードは取得できていたため、そのデータから全体を類推する、といった分析がこれまではできていました。
しかし、そのYahoo!もついにSSL化の導入を発表。2015年9月現在、まだその導入範囲は非常に限定的で、大きな影響は見られませんが、Googleがそうだったように、いずれはすべてがSSL化されていくことでしょう。
そうなった場合、アクセス解析ツールの「検索キーワード」はほぼ「not provided」になることに。どのキーワードからきたユーザーが何件コンバージョンしたのか、といった解析は今後できなくなっていくことを覚悟しなければいけません。
スマートフォンにおいて伸びを見せる「ノーリファラー」
とはいえnot providedは、少なくとも検索エンジンからの流入であることはわかります。アクセス解析を行うWebマーケターが最も困るのはノーリファラー(※)からのアクセスです。どこから来たのかがわからないノーリファラーは、その値が変動したところで、それだけでは手の打ちようがありません。
※Google Analytics上では「Direct」と表示される参照元です。
特にスマートフォンにおいてはノーリファラーの比率が高くなりやすい傾向にあり、PCでは全体の流入に対するノーリファラーの比率が4%程度でも、スマートフォンにおいては22%もノーリファラーだった、というケースが実際にあります。
比率はそのサイトの集客状況によっても大きく変わるため一概には言えませんが、少なくともスマートフォンの方がノーリファラーからの流入が多い傾向にあるのは事実です。
それでは、どんなアクセスが「ノーリファラー」扱いになるのでしょか。
スマートフォンにおいてノーリファラー扱いになる流入の代表例
- ブックマークからの流入
- URLを直接入力してアクセス
- メーラーからの流入(メールマガジンなど)
- スマートフォンアプリからの流入
- HTTPSページからの流入(自サイトがHTTPの場合)
- 一部のブラウザからのアクセス
上記がスマートフォンにおいてノーリファラー扱いになる代表的な流入元の例です。
その内いくつかの流入元には注意が必要です。
URLを直接入力してアクセス
ブラウザのアドレスバーにURLを直接入力してアクセスされた場合はノーリファラーになりますが、それ以外にも注意が必要なのがChromeブラウザです。これはPCでも言えることですが、Chromeのアドレスバーに文字を入力すると、そこから予測された候補が下に表示される形になります。
上記のURLが表示されている部分をクリックしてアクセスした場合もノーリファラーとなることは認識しておいた方がよいでしょう。
スマートフォンアプリからの流入
スマートフォンアプリ内のブラウザからの流入もノーリファラーとなります。しかし、一部のアプリはアプリからの遷移先を別のURLに設定し、そこからリダイレクトしてWebページを表示させることでリファラーを引き渡しているアプリもあります。
代表例でいうとfacebook、Twitterなどのソーシャルメディアや、Gunosy、Lineニュースなどのキュレーションメディア、Google検索アプリもリファラーを渡しているアプリです。アプリからだからといって、必ずしもノーリファラーになるわけではない、ということも認識しておきましょう。
HTTPSページからの流入(自サイトがHTTPの場合)
自サイトがHTTPの場合、HTTPSのサイトからの遷移は、相手が特殊な設定をしていない限りノーリファラーとなってしまいます。GoogleがSSLを推奨し、順位を決める要素のひとつとして以降、徐々にHTTPSを採用するサイトが増えてきています。
一部のブラウザからのアクセス
Android標準ブラウザの一部のバージョンなど、スマートフォンにおける一部のブラウザは、リファラー情報を送信しないものがあります。また単にブラウザだけでなく、OSのバージョンによってもその状況は変わります。一時期iOS6のSafariブラウザがリファラー情報を送信しないことがあり、特定の時期だけにノーリファラーが増加した、ということがありました。
ノーリファラーの増減も推測できる
上記理由などによりスマートフォンのノーリファラー率はPCより高く、スマートフォンの普及率が上がるにつれて、ノーリファラーの数は増えていきました。その結果、ノーリファラーの増減が、流入全体にインパクトを与える可能性も出てきています。
しかし、ノーリファラーの内訳を特定する事はできませんし、ノーリファラーにならないようにコントロールすることもできません。
しかし、どのような流入がノーリファラーになるかを知っていれば、他の参照元の流入状況の変化やプロモーション状況から、その理由を推測できることができそうです。
例えば、ノーリファラーの増減と同じトレンドを示している参照元があれば、それはブラウザ等の理由でリファラ情報ーが落ちてしまっただけで、実態はその参照元からの流入変化によるものである可能性が高いでしょうし、何かのアプリとタイアップをしていれば、そこからの流入が増えたのでは、と推測することができます。
どこからの流入がどのように扱われるのか、リファラーの現状を把握しておけば、たとえノーリファラーの変化であってもお手上げにならずに済むのです。
監修:リクナビネクストジャーナル