安藤俊介・澤円・野呂エイシロウがアドバイス!仕事に活かせるアンガーマネジメント

「怒り」を上手くコントロールすることで、エネルギーやモチベーションに変えることができる「アンガ―マネジメント」。日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんによる講義・前編に続き、後編は日本マイクロソフト澤円さん、放送作家・PRコンサルタントの野呂エイシロウさんを加え、セミナー参加者からの悩みや疑問にアドバイスや経験談で答えるかたちで進められました。

f:id:pinq4387:20151013082319j:plain▲本セミナーは、IT関連だけにとどまらず、ビジネス全般を学ぶコミュニティWindows女子部主催で開催

Q1.アンガーマネジメントを始めたきっかけは?

安藤:私はもともと怒りっぽい性格だったのですが、事業を始めるときに自分の感情をマネジメントできたら、何にも縛られず自由に何でも決められると考えて始めました。

安藤俊介▲日本アンガーマネジメント協会代表理事 安藤俊介さん

野呂:僕はあまり怒ることも、怒られることもなく、言いなり人生を歩んでますが(笑)。それでもイラッとすることはあって、アンガーマネジメントを知ってからは、怒りをコントロールすることを学んで仕事に活かしています。

野呂エイシロウ▲放送作家・PRコンサルタント 野呂エイシロウさん

澤:私の家族は全員が短気で働き者。怒りがパワーになる典型的な家族だったので、怒るという感情がごく普通のことでした。さらに私はプレゼンテーションが得意なほうで、人より口が立つので、短い時間で効率的に怒ったり、相手を徹底的にたたきのめすことができる人だったんです。しかし、マネージメントをするようになり、結婚したことで怒りをコントロールすべきと考えていたときに、野呂さんにアンガーマネジメントを紹介してもらいました。最近では、日本アンガーマネジメント協会・公認ファシリテーターとして講習会も開催しています。

澤円▲日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 澤円(さわまどか)さん

Q2.怒りをエネルギーにして、何かを成し遂げたことは?

澤:私は誰に一番怒りを感じるかといえば、自分自身。小学生の時の夢は、リレーの選手になることだったんですが、足が遅くてそれはかないませんでした。スポーツが苦手なことがコンプレックスで、自己嫌悪を感じていたんです。でも、しつこく練習すれば上手くなれるスキーや空手は、指導員の資格を持つまでに上達した。昨日できなかったことを今日できるように、今日できないことは明日はできるようにと努力してきたことが、上達につながってきたと思います。

安藤:私は先ほども言いましたが、事業を立ち上げることですね。何かを成し遂げるには強い怒りやモチベーションがないとできない。これからも怒りを誰かにぶつけるのではなく、事業や組織を大きくすることにエネルギーを使っていきたいと考えています。

野呂:僕は面と向かっては怒らないけど、イラッとすることはある。道が混んでたらイライラするし、レストランで自分より高いコースを頼んでる人や、高そうな車に乗っている人がいたらイライラします。男の髪は短い「べき」って思っているのに、伸ばしている澤さんにもイライラしちゃう。

澤:それを言うなら、野呂さんも痩せるべきなんじゃないの?

f:id:pinq4387:20150924132154j:plain▲言い合いをしながら、胸倉をつかみ合う即興の寸劇を披露する澤さん・野呂さん。

安藤:はい、そこで6秒数えましょう!1、2、3、4、5、6…。

野呂:安藤さん、こんなかんじでよろしいでしょうか?(会場爆笑)

Q3.車を運転していると怒りやすくなるのですが…

安藤:車を運転しているときにキレやすいのをロード・レージ (Road Rage)と言います。アンガーマネジメントで教わったのは「RUN(走る)」、逃げろという意味です。車というよろいがあると人は気が大きくなる。70%の人は車を運転しているときにメンタルが通常と違う状態になるという研究結果もあります。割り込んだ車を気にかけない、追いかけない。クラクション慣らされたら逃げる、それだけですね。

澤:車の中はプライベートスペースなので、悪態つこうと何を言っても大丈夫という勘違いがある。私もイライラすることが多かったのですが、押さえられるようになったのは空手の黒帯を持つようになってから。ケンカして手を出すと「業務上過失傷害」や「業務上過失致死」ではなく「傷害罪」や「殺人罪」になるんです。これはものすごく抑止力になる。生かしてやってる、許してやるという気分になれば、平和な生活を送ることができます(笑)。

野呂:クラクション鳴らされたときは、僕の車がもっと高級車だったら鳴らされないのに…と気をまぎらわすことを考えますね。以前、歩行者にクラクションを鳴らしたらいけないという法律を盾に、その場で110番して、クラクション鳴らした車を通報したことがあるんです。運転手は厳重注意されてましたね。でも、別に得することもないので、もうしません(笑)。

f:id:pinq4387:20151013125355j:plain▲ファシリテーターを務めるWindows女子部の初代部長・椎野磨美さん(一番右)

Q4.怒りの持続を短くする方法は?

野呂:基本的に食べて寝たら忘れるので、怒っても仕方ないと思ってます。アンガーマネジメントは自分をコントロールすることだし、向こうのほうが偉いとかイケメンだと思ったら許せます(笑)。

澤:僕の奥さんは、アンガーマネジメントがまったく必要のない人で、怒るのはエネルギーの無駄だと言って、まったく怒らないんです。自分が怒ってることを話すと、理解しつつも、ちゃかしてくれる。過去と他人は変えられない、とアンガーマネジメントでは原理原則として教わるのですが、それを前提に笑い話やネタにしちゃうっていうのもアリなんじゃないかな。

安藤:持続性のある人は愚痴を言うことが多いけど、基本的に愚痴はいわないほうがいいですね。英単語を覚えるのと一緒で、同じことを繰り返し言うのは記憶に定着させるだけ。持続性に繋がります。なるべくよけいなことを考えないようにするために、利き手と違うほうを使ってみるなどして、頭の中によけいなことを考えるスペースを作らなくなるといいですよ。1日5分くらいでもOKです。

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Q5.わざと怒ることはありますか?

澤:若手に対して、マウンティングの意味でわざと怒ることはありますね。あきらかにマナー違反しているときなどがそうです。あと武道を教えるときは、命に関わる真剣勝負なので、間違ったやり方や気を抜いた態度を見せたときは、あえて怒るという手法をとります。ただ、それをうまく維持したり、演じるのは難しいですね。

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Q6.相手を変えたいと思う習慣をなくすテクニックは?

安藤:アンガーマネジメントには、24時間アクトカームというエクササイズがあります。忙しい日にわざと穏やかに過ごしてみるというもので、自分が変わると世界が変わるということが体験できます。

澤:相手に何かを教える立場になってみることですね。できれば、趣味や自分の得意なことで、お金をもらうことを体験してみるといいと思います。おそらく最初は相手は自分の思う通りにならなくて、自分にイライラします。でも限られた時間で結果を出さないというけないので、怒ってる時間がない。思考のパターンが変わるし、自分が理解できていないことは言語化して伝えることもできないので、明確になります。どうやったら相手に伝えられるか分析して、訓練するとプレゼンのスキルも上がりますよ。

野呂:僕は自分のことで精一杯だし、人のことには興味がないし、分かり合う努力もそれほどしません。親や兄弟姉妹でも理解できないことがあるのに、他人だったらもっとわからない。こうしろと言われたら、すぐいうことを聞いてしまうほうですが、澤さんの相手に教えるというのはとてもいいと思います。

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Q7.怒りを伝えるタイミングをどうすればいい?

安藤:基本的にはそのときに怒らないといけないときに怒るのが、ベストです。「前から怒ってたんだけど…」はNG。その場で言えなかったときは、次に同じことがあったらこう言ってみるというのを決めておくといいと思います。

澤:シチュエーションにもよると思いますが、日本人は発言を極端に恐れる傾向があります。授業中に「お前はどう考える?」などと聞かれる経験が、海外に比べると圧倒的に少ないことに起因しています。正解にたどり着くために討論するという方法論をとる教育を受けておらず、「私はこう思う」という発言がしにくい。発言することをおそれず、強い意志を持っている(怒っている)という意志を持って伝えるといいのではないでしょうか。

野呂:「怒っている」ということを、気軽に口に出すことに慣れたらいい。「言いにくいことを言うんですけど」「怒らないで聞いてほしいんですが」などと、最初に言うと意外とすんなりと聞いてくれること多いですよ。

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Q8.怒りが原因で人間関係が上手くいかなくなったら?

澤:怒ってダメになった人間関係が、そもそも重要なのかってことですよね。合わない相手と付き合う時間が空いてよかったという考え方もあると思います。大事な取引先だったら、もっと相性のいい担当に代わってもらうという選択肢もあります。怒りで壊れた関係は「修復すべき」というべきは、なくすべきなんじゃないでしょうか。

ただし、この先ずっと付き合っていきたい相手を怒らせたんだとしたら、話は別です。相手の溜飲を下げて、お互い気持ちよくなるように誠心誠意、最高の謝罪を見せましょう。

野呂:僕は以前、双子がけんかしているのを見て、血液型も生年月日も育った環境も家族が同じでもわかり合えないことがあるんだなと驚いたことがあるんです。双子ですらそんなんだから、他人がわかり合えないのは当たり前。世界には70億人以上いるんだから、100人くらい絶交しても関係ない。気にしないことが一番じゃないかと。

安藤:残念ながらテクニックはないんです。謝るしかない。人生はうまくいくことばかりではありません。自分がどうしたいかということを見極めて、動くしかないんじゃないかと思います。

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達人たちのアンガーマネジメント術はいかがでしたか?無駄な怒りは抑え、仕事へのエネルギーやモチベーションにつなげるアンガーマネジメント。興味を持った人はぜひ、試してみてくださいね。

>>「怒り」をモチベーションにできるアンガーマネジメントを学ぼう 【前編】 はこちら

取材・文:馬場美由紀 撮影:刑部友康

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