マンガ『宇宙兄弟』に学ぶ、失敗の仕方――大事なことは全部マンガが教えてくれた

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©小山宙哉/講談社

突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?

普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー

今回は、ビジネスパーソンからも圧倒的な人気を誇るマンガ『宇宙兄弟』(講談社)より、失敗の意味・意義を説く言葉をご紹介します。


「失敗」という結果には2つの種類が存在する

「失敗は成功のもと」ということわざがあります。どんな失敗も、その原因を研究し、改善することで成功に近づくことができるという意味ですが、みなさんは最近、新たなことにチャレンジして失敗した経験から、何か学んだことがありましたか?

失敗には2つの種類があります。

ひとつは、失敗しないためにしっかりと準備をして、本気で取り組んだ結果、それでも失敗した場合。もうひとつは、成功のための準備を怠った結果、失敗した場合。前者も後者も、「失敗」という結果には変わりはありませんが、失敗によって得られる経験値は、両者で大きく変わってくるのです。

そんな失敗の仕方について教えてくれる1フレーズがこちら!

“本気でやった場合に限るよ。本気の失敗には価値がある”

©小山宙哉/講談社

宇宙飛行士を目指す主人公・南波ムッタは、NASAの訓練プログラムの一環として、”カムバックコンペティション’26″という宇宙開発に必要な技術を競い合うコンペに参加することになります。

コンペで使用するマシンの開発を限られた予算の中で行わなければいけない中で、ムッタのチームのメンバーは、その予算内で選択可能な最高の素材選びを行おうとします。

しかしムッタは、「失敗して壊れることを前提として、最低でも2機作れる余裕を持つべきだ」と主張します。いい素材をつかってもいいモノになるとは限らないが、失敗を知って乗り越えたモノはいいモノである、と。

アドバイザーとしてムッタのチームに参加した技術者のピコは、そんなムッタを「失敗に前向きだ」と表現します。それを受けてムッタが、「本気でやった場合に限るよ。本気の失敗には価値がある」と答えました。


8,568通り、あなたはどのタイプ?

失敗の「本気度」が、経験の「精度」を左右する

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「本気の失敗」とはどういったものを指すのでしょうか?

どんなチャレンジであっても、成功を目指すのは当たり前のこと。しかし一回のチャレンジで成功する方が稀で、トライ&エラーを繰り返しながら成功確率を高めていくケースがほとんどだと思います。

成功への道筋を描く過程においては、過去の成功パターンにもとづいて「こうすれば成功するのでは」という仮説を立てていく必要がありますが、同時に重要になってくるのが「こうすると失敗するのでは」という仮説を元に、選択肢を絞っていく作業。それを行うのに必要なのが「失敗経験」です。

そして失敗経験の「精度」に関わるのが、どれだけ本気で取り組んだ上での失敗かということになり、本気で取り組んでいればいるほど失敗から学べることが多い。そして学んだものが多ければ、それは価値のある失敗ということができます。

逆に、本気で取り組まずにやった失敗では、「本気で取り組まなかったから」という言い訳にも似た理由が生まれてしまうことになり、それでは学びを得ることができません。

本気の失敗から得られた経験であればこそ、いつか成功へとつながっていき、その時に「失敗の価値」を実感することができるはずです。

ムッタが失敗に「前向き」になれたのは、過去の自動車開発の課程で何度も失敗を繰り返し、それでもそこから得た知識を成功へとつなげてきた経験があったからなのでしょう。


8,568通り、あなたはどのタイプ?

どこに原因があったのかを検証できるようにしておく

また、当たり前のことですが、何故失敗したのかをしっかりと分析することは非常に大切なことです。

そのためには、事前に「分析できる状態」にしておくことが必要。つまり、事前に重要なポイントとなる指標を決め、仮説をしっかり立て、どこがズレたのか、なぜズレたのかを検証できるようにしておく、ということです。これは大切な「準備」のひとつです。失敗の原因となったものが何かわかれば、次のチャレンジの成功確率を上げることができます。「価値ある失敗」とは、次の成功への糧になるものであるべきです。

実際に宇宙兄弟の中でも、何度もトライをし、その都度うまくいかなかった原因を見つけ、改善を繰り返しています。

失敗は、「成功のもと」にして初めて価値のあるものとなります。成功することを諦めてしまっては「成功のもと」にすることができず、本当の意味での失敗となってしまいます。その「成功のもと」である、トライ&エラーの過程で生まれた失敗は、しっかりと分析し、改善につなぐことで価値が生まれ、財産になる。だからこそ、事前に分析・検証できる状態にしておく、準備しておくことは本当に重要なポイントなのです。

最終的に「価値のある失敗」にできるかどうかは、その後の自分の行動にかかっています。もちろん1回で成功することに越したことはありませんが、チャレンジには大なり小なり失敗がつきもの。最終的には成功させる、ということを前提とし、事前の準備を怠らずに行った上で、仮に失敗してしまったとしてもそれを「価値ある失敗」にできるようする。その大切さを教えてくれる言葉ではないでしょうか。

>>『大事なことは全部マンガが教えてくれた』シリーズ 大事なことは全部マンガが教えてくれた

監修:リクナビネクストジャーナル

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