自分のキャリアプランを描き、悩んで考え抜いた結果、転職という道を選択。
いくつかの会社を受けて、お互いの希望がマッチした会社に入社。
さぁ、これから即戦力として一気に活躍するぞ!
と、意気込んで中途入社をされた方、多いのではないでしょうか。
ですが実際には、必ずしも前職で華々しい成果を残した人が転職先でも即戦力としてすぐに活躍する、といったわけではないようです。
なぜ思ったほど活躍できないのか
本来の能力やそのポテンシャルは間違いなく高い。前職での実績も申し分ない。
そんな中途入社の人が、転職直後に苦労する原因として以下の3つのケースが考えられます。
- 「即戦力」になることを意識し過ぎて、自分で自分を追い込んでしまう
- 経験を活かそうとするあまり、過去のやり方に捉われてしまう
- 文化の違いに戸惑いを覚え、悩みを抱えてしまう
即戦力になろうとする意識も、経験を活かそうとする意識も、それぞれ大切なことです。ただ「過ぎたるは猶及ばざるが如し」というように、何事も過剰に考えてしまうと、かえって悪い方向に働くことがあります。
また会社の文化というのは会社ごとに違うものです。入社前にすべてが把握できればいいのですが、なかなかそうはいかず、入社前に気付かなかった文化の違いに戸惑い、いつしか仕事へのコミットメントが薄れてしまう、といったこともあるようです。
中途入社で活躍するために持っておきたい3つの心構え
入社前に思い描いていたほどの活躍を示せない中で、「こんなはずじゃなかった」と落ち込んでしまう前に、中途社員が活躍するために持っておきたい心構えをご紹介します。
1. 違うのは「戦力化までのスピード」
転職の仕方にはよりますが、中途入社だからといって「即戦力としてすぐに結果を出さなきゃ!」と自分を追い詰めすぎることには注意が必要です。
もちろんすぐに結果が出せれば言うことなしですが、業界や取り扱う商品が違えば、過去のやり方が通用しないことも多く、なかなか結果が出ないことも十分にありえること。そんな中で「なぜ自分は結果を出せないのか」と自分に自分でプレッシャーをかけてしまうと悪循環にはまってしまうことにもつながります。
これまでの経験は「戦力化するまでのスピードが少し早まる」くらいに捉え、焦らず着実に、一から学んでいくくらいの姿勢でいた方がよいかもしれません。
2. 「経験」は活かすものではなく、生きるもの
前職で結果を残してきた人ほど、成功体験から「自分のやり方」をもっているもの。ただ、その成功体験に縛られてしまい、「過去の経験」に無理やり当てはめて考えてしまう悪い面もあることも認識した方がよいでしょう。
「経験を活かそう!」と、なんでも過去のやり方に当てはめるのではなく、まずは謙虚にその会社のやり方について学んでいきましょう。その過程で、過去の経験が活かせる場面では、自然とこれまでの経験が生きていることに気付くはず。経験は、無理やりに活かそうとするものではなく、勝手に生きてくれるものだ、くらいの心構えでいましょう。
3. 多様性を会社に求める前に、自分の中に持ってみる
コミュニケーションの取り方や、飲み会などのプライベートに関わる時間の拘束など、文化ともいうべき部分は会社によって大きく異なるものです。入社前にその文化が十分にわかっていればいいですが、なかなかそういうわけにもいきません。入社してから、その文化が自分に合わず、マイノリティになってしまうこともあるでしょう。
その際「多様性のない会社だ」と切り捨ててしまっては、せっかくの転職もふいになってしまいます。会社に多様性を求める前に、まずは自分がマジョリティを理解しようとする努力をしてみてはいかがでしょうか。
どんな文化にも良い面、悪い面はあります。そして、そういう文化が培われた背景や理由があります。良い面や、その会社の成り立ちともいえる文化の背景を理解した上で、変に楯突かず、否定せず、理解を示しながら「うまくかわす」くらいの心構えを持っておくとよいでしょう。
どんなに前職で華々しい実績を残していようとも、どんなに期待されて入社していようとも、新しく入った会社では自分はあくまで「新人」。変に自分のやり方に固執せず、謙虚に学ぶ姿勢を忘れないことが大切です。
その上で、自分自身の価値をどう会社に提供していくか、という発想で業務に取り組むと、新しい会社でもいつしか活躍するようになるのではないでしょうか。
文:霧沢加奈