部下が疲へいするのは●●が原因だった!?属人的なタスクを減らす「仕組み化」のポイント

 デキるビジネスパーソンほど自分の仕事を次々と「仕組み化」し、生産性を向上させることが得意というのはもはや定説。特に経営者やトップリーダーたちにとって、「仕組み化」は会社の売り上げをあげるための大きな鍵だ。

 その一方で、運用する側がその仕組みを拒絶したり、ルーティンワークに飽きてしまったりと、「仕組み化」が生産性を低下させてしまうケースがある。

 うまくまわる「仕組み」と、そうでない「仕組み」とでは何が違うのか。ビジネスバンクグループ社が運営する「社長の学校」プレジデントアカデミーにて、日本全国の経営者向けに「経営の12分野」をレクチャーする黄塚 森(こうづか しん)氏に話を伺った。

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「仕組み化」の定義

 「仕組み化」とは、「属人的にならずに仕事を進める方法を構築すること」です。別の表現をすれば「いつ、どこで、誰がやっても同じ成果を出せる方法にすること」とも言えます。一時的な成功ではなく、成功し続けている会社には、多くの仕組みがあるのです。「ある特定の人物でないと実行できない」という要素をでき得る限り排除し、会社を永続させていくことが「仕組み化」の最終ゴールとなります。

こんな悩みのある方にオススメ!

・部下のモチベーションによって成果が大きく変動してしまうビジネスをしている
・繰り返し発生する仕事を毎回同じ時間をかけてやっている
・忙しくて重要な仕事に取り組めていない
・社内にノウハウの蓄積ができていない

リーダーにとって仕組み化が必要な理由

 ビジネスシーンにおいて「仕組み化」が不可欠な理由は、大きく分けて2つあります。

1.属人的である限り、リスクを負い続ける

ビジネスにおいては「重要なもの」であるほど「仕組み化」しなければなりません。たとえば、あなたの会社に十分な売上があり、一見すると業績が好調に思える状態にあるとします。そういった状態でも、その売上をたった一人の営業マンが属人的につくっているのであれば、実は会社は「その人がいなくなった場合にその売り上げがそっくり無くなる」というリスクを背負っているのです。そういったリスクをでき得る限り減らすために、「それがなくなったら仕事や事業が成り立たなくなる」という重要な部分であればあるほど「仕組み化」することが必要となります。

2.どんなに優秀な人であっても、人間は不安定である

「属人的」である限り、仕事は不安定であり続けます。どんなに優秀なビジネスパーソンであっても、人は安定していないもの。誰しも多かれ少なかれ精神状態にも、仕事のアウトプットにも波があります。そういった「不安定」な人が、仕事を「安定的」にするために「仕組み」の存在が必要なのです。

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仕組みをつくるための3ステップ

仕事の「仕組み化」は、単純に考えると3つのステップで実現することができます。その3つのステップを順番に見ていきましょう。

ステップ1.仕分け

 最初に、自分が取り組んでいる仕事や、忙しいと感じている仕事について、その仕事は「属人でないと成り立たないもの」なのか、それとも「仕組み化できるもの」なのかを分類します。次に実行するのが、「属人的な仕事」として振り分けたものの中から、もう一度「仕組み化できるものがないか?」を考えることです。その作業を繰り返し、でき得る限り「属人的」に分類される仕事を減らしましょう。

 続いて「仕組み化できるもの」に分類した仕事の中で、「どの仕事から仕組み化すべきか」を考えます。最初に「仕組み化」に取り組むべき仕事は「自分が多くの時間を取られてしまっているもの」です。具体的には「重要度」「頻度」「緊急性」の3つの軸で、それぞれの仕事を評価し、どの仕事に時間を取られてしまっているかを探っていきましょう。「仕組み化」すべき仕事は「重要度」も「緊急性」も共に低いものや、「重要度」が低く「頻度」が多いものになる場合が多いです。なぜ、そのような「時間を取られている」仕事から「仕組み化」を進めるのかといえば、リーダーは「自分自身の時間を生み出すこと」が重要だからです。自分自身に時間が生まれれば、その時間をつかって更に「仕組み化」を進め、事業を安定させていくことができます。自分の仕事内容を分析し、仕組み化すべきものを決めたら、次は実際に仕組みをつくっていきます。

ステップ2.仕組みをつくり、運用する

 ステップ1で「仕組み化すべきである」と判断した仕事について、実際に仕組みを考え、運用していきます。「仕組み化」の定義は「いつ、どこで、誰がやっても同じ成果を出せる方法」をつくることですから、「特殊なスキルがないとできない」ものや、「経験豊富な人でないとできない」ものは理想的ではありません。チームメンバーの誰が実行しても、同じ成果が出せる仕組みを目指しましょう。

 また、良い仕組みづくりにはポイントがあります。それは「入口」と「出口」の部分に強制力を持たせることです。どういった状況になったらその「仕組み」が動き始めるのか?そして、どういう状況になったら終了し、仕事の出来をチェックするのか?という部分に強制力を持たせましょう。チャイムが鳴ったり、リマインドメールが来たり、ポップアップで何か表示されたり…。実際に仕組みを実行するチームメンバーが、自分の意思に頼ることなく「仕組み」が動き始め、そして、無事に終了していることを確認できるようなものをつくるのが、良い仕組みづくりのコツです。そのような仕組みが出来たら、実際に運用を開始します。

ステップ3.メンテナンスをする

 仕組みの運用を始めたら「放っておくこと」だけは絶対にやめましょう。つくった最初の時点で「良い仕組み」であることは、ほとんどありません。運用をしながら改良を重ねていくことで初めて、きちんと動く、効果的な仕組みをつくることができるのです。また、「仕組みはつくったものの、運用されていない」ということも、よくあることです。こういった事態を防ぐためにも、定期的に仕組みを振り返って評価し、改善していくプロセスが必要です。

 具体的には、仕組みを運用してみて「1周したタイミング」で、フィードバックやメンテナンスをする時間を設けます。実際に運用して仕組みがきちんと一周すれば(仕組みが動き初め、終了すれば)、良い点も、改善点も、どちらも必ず見えるはずです。「仕組み」はつくっただけでは意味がなく、機能してこそ意味をなすもの。メンテナンスし続けて、より良い仕組みをつくっていきましょう。

仕組みを長続きさせる秘訣はゴールを共有すること

 せっかくリーダーが「仕組み」をつくっても、メンバーに受け入れられないというケースが多くあります。デキるリーダーほど「仕組み化」思考が強いので、どんどんと社内の「仕組み化」を推し進めたくなるもの。その気持ちは良くわかりますが、運用する人の感情には配慮を欠かさないようにしましょう。

 メンバーが「仕組み」を拒絶したり、途中で使うのをやめてしまったりするのは「その作業をしなければならない理由」が分からないことが原因であることが多いもの。たとえば、リーダーが業務全体について解説することなく、一部分だけを取り出して、「これが君のタスクだから」とメンバーに仕事を渡したとします。そうするとメンバーは、パズルの1ピースだけを渡されたような気分になり「何のためにその仕事をしなければならないのか」が、わからなくなってしまいます。その状態で目の前のタスクをこなすのは、ゴールがドコなのか分からない状態でマラソンをするようなもの。そのような状態では、メンバーはモチベーションを保つことが難しくなってしまいます。

 ですからリーダーは「自分たちが何をもって社会の役に立とうとしているのか」「その事業を行うことでどんな世界を創ろうとしているのか」といった仕事の目的を明確化し、日々メンバーに伝え続ける必要があるのです。そうすることで、メンバーの目に「目指すべきゴール」が見え、「その達成のために、目の前の仕事をしているんだ!」という実感が生まれます。そして、そういったワクワクする目的を達成するための「助け」として「仕組み」があるということを伝え続けることで、きちんと働く、良い仕組みが動き始めるのです。

取材・文 山葵夕子

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