「できること」から「やりたいこと」を仕事にするには?知っておきたい人間の成長・7つのステップ

 以前と同じ仕事内容・職場環境なのに、なんだか最近モチベーションがあがらない…そんなふうに感じたことはありませんか?
 脳には一度見たものを当たり前のものとして慣れさせていく働きがあり、その大きな特性として「飽きっぽさ」があります。脳が「飽きた」と感じた時に、その要因を他者や環境のせいにすると脳は停滞したままですが、自分の中の問題と客観的に捉えて改善を試みると脳は刺激され、新たな回路や脳細胞が増えるという学説があります。「最近、仕事がマンネリ化してきた」等と感じているときこそ、自己成長のチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。
 今回は『部下が働かない本当の理由』(酒井譲著/朝日新聞出版)より、ビジネスにおける人間の成長・7つのステップをご紹介します。「できること」、「やりたいこと」、「すべきこと」を整理しながら、今の自分がどのステップにいるか、セルフチェックしてみましょう。

f:id:w_yuko:20150210081314j:plain

ステップ1 やりたいことが見えない段階

 世界には3万種類の職業があると言われます。であれば人間が、自分の適職探しに悩むのは当然のこと。いろいろと悩んだ結果として選んだ職業であっても、それが一番やりたいことなのかと聞かれると、自信をもってYESと答えられない状態です。「隣の芝生」に目移りして、落ち着きを失うのもこの時期の特徴なので、地味な業務の積み重ねをしながら、世の中にはどのような仕事があるのか、忍耐強く観察を続けることが必要です。

ステップ2 できることをしながら、やりたいことを探す段階

 与えられた仕事をこなしながら、周囲の信頼を積み重ねていく時期。周囲の信頼を得られるようになると、頼まれる業務も多様になり、自分の仕事の好き嫌いも徐々にわかってくるようになります。とはいえ、与えられた仕事も満足にこなせないうちからほかの仕事をやりたがると信頼を失いかねないので、現在手掛けている仕事の品質にこだわりながら、「ちょっとした面白さ」を発見する努力を重ねなくてはなりません。

ステップ3 できることを、やりたいことに近づける段階

 与えられる仕事は大概「今の自分にできること」であり、そこからしか可能性は広がっていきません。とはいえ「今の自分にできること」は、資格を取得したり、スクールに通ったりすることでも少しずつ増やしていくことが可能です。いきなりではなく、少しずつ「やったことがないこと」にチャレンジしていくことで、「今の自分にできること」を増やしていきましょう。

f:id:w_yuko:20150210081451j:plain

ステップ4 やりたいことをやる段階

 前のステップがうまく回転しはじめると、「自分にできること」と「やりたいこと」の重なりが増えるようになります。雑務から解放されることはなくても、そういう重なりが増えると仕事をするのが楽しくなってきます。とはいえ、ステップ3と4の狭間でもがいている人が現実には多いのも事実。ここを分けるカギは、自分の行動を振り返り、そこから改善点や反省点を洗い出して成長につなげることができるか、それとも「やりたいことをやれない」と不満ばかりを口にしているかどうかです。

ステップ5 やりたいことをやりながら、すべきことを探す段階

 「やりたいことをやる」ということは、決して楽をすることではありません。つらいことがあったとしても、全体としては充実感があって、明日も頑張れる状態がずっと続くような気持ちをキープできる状態のことを指します。この段階に至っている人の多くが、「自分さえよければそれでいいのか?」という疑問を持ちはじめ、周囲にも目を配るようになります。やりたいことをやれるようになると「自分がすべきことは何か?」「次世代に残すべきものは何か?」と模索するようになります。

ステップ6 やりたいことを、すべきことに近づける段階

 利他的な社会貢献活動に参加して、大きな成果が出せる段階です。社会貢献活動は、労働力を無料で提供しながら、その対価としてお金ではなくて経験をもらう関わり方です。キャリアが進んでいるこの段階での社会貢献活動は、これまで培ってきたスキルの提供が主となります。本業以外でも活躍しながら、自分の持っているスキルがどのように社会的問題に対してポジティブな影響をおよぼすことができるのかとチャレンジすることが多くなります。

ステップ7 すべきことをする段階

 やりたいことをしながら、それがそのまま優れた社会貢献になっていて、かつ、その活動から、自分や家族が生きていくための対価が得られるような段階です。おそらくは、この段階に至ることがキャリアの最終的ゴールともいえます。

 いかがでしたか。今のあなたがどのステップにいるのか、認識することはできたでしょうか。これらのステップは、「すばやく駆け上がればいい」というものではなく、こうしたキャリアのステップを意識しつつも、今の仕事に集中して、周囲の信頼を裏切らないことだと著者はいいます。
 新年度を迎える前に、できること、やりたいこと、すべきことの棚卸をして、新たな目標設定をしてみてはいかがでしょうか。
 

※参考
『部下が働かない本当の理由』(酒井譲/朝日新聞出版)

文 山葵夕子

PC_goodpoint_banner2

Pagetop