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感謝の思いを結婚式の演出で表現 「家族感謝祭」が会社、従業員、家族の気持ちをひとつにし、仕事への誇りを与えた

株式会社ブライダルプロデュース
取り組みの概要
従業員の家族を招待し、結婚式の演出を施した感謝祭を実施
取り組みを始めたきっかけ
家族に仕事風景を見てもらい、理解を深めてもらいたいという社長の思い
取り組みを運用する秘訣
結婚式という自社ならではのサービス演出で、社員の仕事そのものを家族に体験してもらう場になっていること
よかったこと
家族の間で従業員の仕事に対する理解が深まり、フォローしてもらえるようになった。従業員が自身の仕事の意義を見つめ直しモチベーションアップにつながった

家族・親戚160人が参加した、夏の一大イベント

「家族感謝祭」にて、社員から両親へ手紙を渡す様子

自分が働く姿を、家族に見てもらったことがあるだろうか。その仕事の意義を、どれくらい考えたことがあるだろうか。家族に普段はなかなか見ることができない現場を見てもらい、従業員には仕事の意義を再認識してもらう。そのために行われた「家族感謝祭」は、2014年夏の一大イベントだった。

結婚式場の仕事の様子を、家族に見てもらいたい

ブライダルプロデュースは、全国に11カ所の結婚式場を運営している。その一つ、横浜市の「ザ クラブ オブ エクセレント コースト」総支配人の鈴木さんは、家族感謝祭の責任者を務めた。

「もともとスタッフを大切にする気風がある会社なんです」と鈴木さんは語る。「結婚式場の仕事は残業になることも多く、ご家族にも心配をお掛けしているのではないかと思っていました。ご家族の心配を減らし社員に気持ちよく働いてもらおうと感謝祭の形でイベントに招待し、日頃の仕事の様子を見てもらおうという趣旨です」。

しかしこれだけの規模のイベントを実施するのは鈴木さんも初めてだったという。「どのようにウェディングの要素を取り入れ、演出するか。知恵を絞りました」。家族感謝祭を実行すると決まり、社員それぞれが家族を招待したところ、参加者は160人となった。普段この式場で行なっている結婚式を上回る規模のイベントだ。

感動を呼ぶ仕掛け 家族が喜ぶ姿に、社員の心も動いた

当日の会場ではフランス料理のコースが振る舞われ、普段の仕事の様子を映像で見てもらったり、社員の演出によるフラッシュモブダンスを披露したりと、楽しい時間になったという。家族をゲスト、社員をホストとは完全に分けずに、社員にもテーブルに座ってもらい、社員と家族、家族同士の会話が生まれるように工夫した。社員からは家族との思い出写真とコメントを集め、会場に掲出。感動で涙する家族もいた。

「私にわざわざごあいさつして下さる方もいらっしゃいました。こちらとしても改めて総支配人としての責任を感じましたね」と鈴木さんは話す。社員からは、「家族が感動している姿を見られてよかった」「自分の仕事が、こんなに感動を与えているのかと思うとうれしくなった」と充実した声が聞かれた。

コーディネーターの遠田さんご家族(左)と遠田さんの上司・樋口さんご家族(右)で一緒に撮影

お互いの良さを発見できた1日を終え、社員の絆が深まった

母親の目に映った「仕事を楽しむ自分」

コーディネーターの斎藤さんは、母と叔母、いとこを招待していた。「この仕事に転職をするときに、厳しい仕事なんじゃないかと心配されました。だから、ぜひ見てほしいと思ったんです」と語る。会場の映像でコーディネーターとして働く斎藤さんを見て、母は「楽しそうに仕事をしていて安心した」と言ってくれたそうだ。斎藤さんは、自分たちの職場を褒めてもらえたことがうれしいと感じた。

同じくコーディネーターの遠田さんは、母と姉、姪を招待していた。招待時は「そんな面白いことをするんだ……」と珍しがられたという。遠田さん自身は、「上司のこともぜひ紹介したいと思っていた」と話す。家族に上司や同僚を紹介していくうちに、自分への気遣いや感謝の言葉を掛けられ、「ともに働く仲間に恵まれている」とつくづく感じたという。

お互いに忙しく日々を過ごす中で、同僚へ面と向かって感謝の気持ちを伝える場面がなかった。この日、遠田さんも改めてねぎらいの言葉を掛けることができた。「この組織に所属していてよかった」と感じ、仕事へのモチベーションが上がったという。

自分たちの仕事を誇れる気持ちに

2人の例のように、イベントを終えて多くの社員から聞かれたのは、「結婚式をお手伝いするという仕事が前よりも好きになった」という声だった。家族が感動しているシーンを目の当たりにして、こうしたサービスを普段自分が提供していることを誇らしく思えるようになったのだ。イベントの制作はすべて社内で行っているため、準備を通じて社員全体のチームワークも向上した。

鈴木さんは、家族感謝祭の持つ意味はブライダル業界の先々にもつながっていくと語る。「私たちが一生懸命準備したイベントに参加して、『結婚式っていいな』と思ってもらえれば何よりです。せっかく仕事ぶりを見ていただくことができる機会なので、私たちの事業そのものをPRしていく場にしたいと思っています」。

家族への感謝を通じて、自分の仕事の意義を再確認する取り組み。参加した社員全員が、また開催したいと話しているという。

出席したお母さんに手紙を渡す斎藤さん
ご家族で記念写真

受賞者コメント

劔持 英樹 さん

当社は『家族のようなおもてなし』を理念の一つに結婚式場を運営しており、社員の家族へもその思いで感謝の気持ちを伝えました。今回、この取り組みを世の中にシェアする機会を与えていただき感謝しています。ぜひ日本の結婚式を盛り上げていきたいと思います

審査員コメント

大久保 幸夫

土日勤務など以前の仕事との違いに戸惑う家族が多いブライダル業界において、社員の家族に仕事内容を理解してもらう仕掛けとして、業態をうまく活かし、「結婚式」の演出を施したイベントを開催している点にユニークさを感じました。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第1回(2014年度)の受賞取り組み