• TOP
  • アーカイブ
  • 若者たちの発想力を、大人の経験値でフォロー! ヤングボードの会議室には、議論を見守る常務のあたたかい目が注がれている

若者たちの発想力を、大人の経験値でフォロー! ヤングボードの会議室には、議論を見守る常務のあたたかい目が注がれている

ユーザックシステム株式会社
取り組みの概要
若手社員が社内の仕組みを議論しトップへ提言、その8割を正式な制度として運用する
取り組みを始めたきっかけ
一時期の相次ぐ若手社員の離職から、「不満をキャッチしきれていないのでは」というトップの危機意識
取り組みを運用する秘訣
若手のアイディア・提案を尊重し、常務がアドバイザーとして役員会との橋渡しをする。
よかったこと
若手が自ら会社を動かす実感を持ち、ずっと働きたいというモチベーションにつながった。

議論だけでは終わらない トップへの提案、実行までがヤングボードの仕事

全社集合写真パネルの前で。ヤングボードメンバーの吉川さん(左)、アドバイザーの佐倉さん(右から2番目)と、若手社員

大企業でなくとも、「現場の声が上に届かない」と憤る声が聞こえる職場は多い。逆に「現場からの提案がない」と嘆く経営陣の悩みもありがちだ。幅広い年代が働く会社という組織だからこそ起きるそうしたコミュニケーションの断絶を、仕組みで乗り越えている会社がある。

役員もみんな、サラリーマン

流通業界の受発注業務や物流ソリューションを手掛けるユーザックシステムは、約100名の従業員を抱え、今年44期目を迎えた。毎年の定期採用を行っており、若手からベテランまで幅広い年代の社内構成。「オーナー経営ではなく、役員の血縁関係もないので、昔から風通しの良い社風でした」。そう語るのは、ヤングボード制度を監修する常務取締役・管理本部長の佐倉和雄さんだ。「役員もみんなサラリーマンなんです」と笑う。

若手の意見にも耳を傾けるようにしていたが、10年前のある時期、上司とのコミュニケーションの問題から新入社員が続々と離職してしまった。不平や不満をキャッチしきれていなかったのではないか。危機感を抱いた当時のトップが主導し、若手社員が建設的な提案をできる場「ヤングボード」を創設することになったのだ。

決裁の取り方や社内調整は、ベテランの知恵を借りて

ヤングボードに加わるのは、入社4年目以降の社員から4名。佐倉さんは、ここにアドバイザーとして入っている。社員が働きやすい環境を作るにはどうしたらよいか、「社内環境改善」を主要なテーマとして、月に1回のミーティングを行っている。ここでは、議論が議論のまま立ち消えるということがない。アイディアを精査し、役員会への提案としてプレゼンし、実行するところまでがヤングボードの役割だ。「アイディアは若いメンバーに任せていますが」と佐倉さんは目を細めて言う。「誰にどのような決裁を取ればよいか、反対が予想される部署には事前にどのような根回しを行うべきかなど、経験がなければ分からないことについてアドバイスしています」。これまでにはカジュアルフライデーや全社集合写真パネルの設置など、社内のコミュニケーションの活性化や一体感を高める仕組みが、ヤングボードによって実現されてきた。

また、全社員を巻き込んだ「5S活動」もヤングボードの主導で行われている。これは半年に一度、働く環境への改善提案を1人3件ずつ提出しなければならないというもの。何もありません、はダメ。短いスパンで現状を点検する仕組みが、全社的に機能しているのだ。

ヤングボードの会議の様子

「ずっとこの会社で働きたい」という思いが根底にある

会社を動かしていくという得難い経験

東日本システムサポート部・サポート第一グループに所属する入社5年目の吉川一茂さんは、今年の7月に念願のヤングボード入りを果たした。「就職活動中の面談でヤングボードの話を聞いて、ずっと興味を持っていました。入社後はヤングボードの先輩によく話しかけていたと思います」と話す。

若手代表としての責任を感じながら、会議で共有するために部門内の意見を集約する。地味な作業にも労を惜しまないのは、「ゆくゆくは会社を引っ張る存在になっていきたい」という思いがあるからだ。「ヤングボードから役員会に提案することは、7~8割が承認されています。その後は実際に運用していく仕事が待っています」。そうやって会社を変えていく仕事が、やりがいになっているという。実際に担当する社内折衝や調整そのものが、スキルアップの機会でもある。

苦労はないのだろうか。「社内オンラインで、取り組みに反対するコメントが送られてくることもあります」と明かす。そんなときは本人のもとへ出向き、お互いが納得いくまで直接会話するという。社内環境整備に当事者意識を持って、議論をする風土が醸成されているのだ。

若手とベテランがそれぞれの良さをもって機能しあい、「ずっと働きたい」会社へ

吉川さんをはじめ、ヤングボードの活動や半年に一度の改善提案提出などに意欲的に取り組む若手は多い。「自分の話を聞いてもらえる」「話したアイディアが実現する」という手応えがあるからだ。取り組みのきっかけとなった離職率の問題は、この10年で大きく改善された。入社3年でおよそ3分の1が離職してしまうといわれる世相の中で、ユーザックシステムの若手には「ずっとこの会社で働きたい」という声が多いという。

若手らしい発想力をのびのびと発揮させ、そのアイディアを実現するためにベテランが経験を武器にしてサポートする。世代間のギャップを解消した同社の取り組みは、多くの職場で参考にできるのではないだろうか。

受賞者コメント

佐倉 和雄 さん

10年前、会社への不平・不満を持つ若手社員が多かったことから取り組みを始めました。若手社員の考えを内に込めさせてしまうとネガティブになりますが、提案してもらうことでポジティブな力に変えることができました

審査員コメント

守島 基博

若手社員が経営陣に対して提言し続ける組織を立ち上げることで、世代間のコミュニケーションを活性化しただけでなく、提言の8割という高い実行率で、若手社員の自主性向上も両立されている点を評価いたしました。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第1回(2014年度)の受賞取り組み