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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2015年3月4日

今週の相談者

編集者歴16年、転職して正社員になりたいが書類落ちが続く中田さんの場合

中田智行さん
(仮名・38歳)

プロフィール
契約社員として編集プロダクション2社を経験。大手出版社の情報誌や男性誌などの編集記事の企画、取材、執筆等に携わってきた。このほど、長らく編集業務に関わった情報誌が休刊し、これを機に正社員を目指したいと1月末で退職。しかし書類落ちが続いている。
現状
  • ・今まで勤務した編集プロダクション2社とも、契約社員としての雇用。以前から正社員になりたいと思っていたが、正社員登用制度がなく、あきらめていた。携わっていた雑誌の休刊を機に本腰を入れて正社員への転職を目指そうと考え、退職を選んだ。
  • ・出版社の求人に応募しているが、なかなか書類が通らないので、経験を活かせそうな広報部門にも応募。しかし状況は芳しくない。ブランクが広がるばかりで焦っている。
相談者:中田さんDr.門野

診断スタート

書類で落ちるのは年齢のせい?それとも正社員経験がないから?

編集プロダクションで長らく、契約社員として働いてきました。ずっと編集畑で、大手出版社が発行する情報誌や男性誌などの編集記事を担当し、編集者歴は16年になります。しかし、家族がいることもあり、ずっと正社員になりたくて…。長年携わっていた情報誌が休刊になったのを機に、「本腰を入れて正社員の道を探そう」と考え、1月末で退職を選びました。

転職活動の状況はいかがですか?

今年に入ってから、出版社を中心に応募していますが、書類選考で落ちてばかりです。最近では対象を広げ、経験を活かせそうな社内報や広報誌作成部門にも応募していますが、やはり書類で落ちてしまいます。38歳という年齢のせいなのでしょうか?それとも、今まで一度も正社員として働いた経験がないから、「正社員を任せられない」と思われているのでしょうか?

そもそも今、なぜ正社員を目指しているのですか?

以前から「いつかは正社員に」と思っていたのですが、勤務した会社は2社とも正社員登用の機会がありませんでした。それでも、大好きな編集の仕事だし、それなりに責任ある仕事も任されていたので、不満なく働いていたのですが…前職において数年前から、経営不振になるたびに契約社員が契約を打ち切られるようになり、契約社員の不安定さを思い知るようになったんです。今回の情報誌休刊の影響も大きく、私は肩たたきに合わなかったのですが後輩がターゲットになってしまって…。このような不安定な環境でビクビクしながら働きたくない、家族もいるし、腰を据えて力を発揮できる正社員になりたいと決意しました。

出版業界というと、出版社や編集プロダクションなどで編集者やライターとしての経験を積んで、独立しフリーになる人が多いという印象です。中田さんの場合、書類を見るとかなりの貴重な経験を積んでいるのに、その逆を行こうとしている。採用側の立場に立てば、「正社員になって安住したい人なのかな」という印象を少なからず持ってしまいます。

そんなつもりはないのですが…。

そのネガティブな印象を払拭する書類作りが、内定に近づく最大のカギ。一から応募書類の内容を見直すことをお勧めします。応募先の見直しも必要でしょう。

どのようにすればいいのでしょう…?

これが原因!

企業は「正社員になりたい人」ではなく、「仕事を任せられる人」を採用したい。経歴を羅列するのではなく、実績や成果を挙げたエピソードを前面に押し出しアピールしよう

企業側の目線で考えてみてください。「正社員になりたい」人を採用したいのではなく、「仕事を任せられる人、活躍してくれる人」を採用したいですよね?今の中田さんの書類は、そのアピールが薄いように感じます。「この人に任せれば、部数が伸ばせそう。新規読者も獲得できそう」という読後感が欲しいところです。

今までの経歴や実績は一通り載せているつもりですが、これでは足りないでしょうか?

いえ、足りないのではなく、多すぎて散漫なのです。豊富な経験をアピールするためにすべての経歴を記すのは意味がありませんし、「編集者なのに、編集ベタ」という印象すら持ってしまいます。前述したとおり、企業が知りたいのは、「仕事を任せられる人かどうか、当社で活躍してくれる人かどうか」。例えば、担当メディアの部数をどれぐらい伸ばしたのか、どんな視点で「部数を伸ばす工夫」をしたのか、コスト削減のための努力は?チームを一つにまとめるためにどんな工夫をしたのか…など、読み手の目線に立って自分の実績を振り返り、要点を絞ってまとめましょう。

なるほど…言われてみればその通りです。どの経験をアピールすればいいのかわからず、あらゆる経験を記していましたが、読み手にとって親切とは言えませんね。ましてや、編集ベタというイメージを持たれていたとしたら、受かるはずはありませんね…。

書類を拝見すると、中田さんは素晴らしい実績を多数積んでいるじゃないですか。クライアントである出版社と協働して、新しいメディアの立ち上げに関わったり、何誌ものデスク業務を任されたりと、出版社に信頼され、任されていることがわかります。「新規読者を獲得するために、ある著名人に表紙になってもらうべく直談判してOKをいただき、部数拡大に貢献した」というエピソードも非常に魅力的です。…ただこれらの情報が、たくさんの経歴の中で埋もれてしまっているのが残念。書類選考で落とした企業の多くは、このエピソードに気づいてすらいないと思いますよ。こういう経験を前面にアピールしてください。

確かに…。自分の実績を振り返り、まとめ直してみます。

契約社員と正社員の違いは、「責任を持たされる範囲の広さ」です。契約社員としては、かなりの責任ある仕事を任されてきたという印象ですが、編集長までは任されていませんよね?もし中田さんにその想いがあるならば、それを「正社員になりたい理由」として挙げてはいかがでしょう?「数々の責任ある業務を任され、実績も上げてきましたが、契約社員ということで編集長には至りませんでした。でも、編集者としてのキャリアも16年となり、そろそろ編集長として一つのメディアを任され、すべての責任を持ちたい。だからこそ正社員を目指すために心機一転、退路を断って転職活動に臨んでいます」と言われたらどうでしょう?非常に頼もしさを感じますし、「守りのために正社員を目指している」という印象はみじんも持ちません。

もちろん、編集長への想いはあります!メディアの長となって、一つのメディアを成功させたいですし、最終責任を負いたいとは常に思ってきました。…いまおっしゃっていただいたように伝えれば、やる気が伝わりますね。

それはよかった。ぜひ、応募書類においても志望動機をまとめ、アピールしてください。ただ、現状の出版業界の求人状況を見ると、正社員募集はそう多いとは言えません。中田さんはすでに退職されていますから、正社員にこだわりすぎず「正社員登用の可能性がある契約社員」にも応募することをお勧めします。そこで、誰もが認めるほどの圧倒的な実力を示し、正社員登用を目指すのも一つの方法ですよ。

わかりました。早速求人を探してみます!

診断を終えて…

編集者なのに、レジュメがうまくまとめられていないと指摘されたのはショックでした。確かに、改めて読み返してみたら、どこが重要なのかわからないし、長いし…。読み手の立場に立って、「こういう情報がほしい」と思えるものに絞って整理し直します。(中田さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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