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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年10月8日

今週の相談者

空港のグランドスタッフとして勤務し2年半、事務職に転職したい矢野さんの場合

矢野理央さん
(仮名・24歳)

プロフィール
大学卒業後、航空サービス会社に入社。地方空港のグランドスタッフとして搭乗手続きなどに携わる。勤務先の住居規定で空港から1時間以内に住む必要があるが、結婚を機に隣県に転居するため転職活動を開始。事務職に就きたいが、一次面接で落ちることが多い。
現状
  • ・グランドスタッフは早番、遅番にわかれているうえ勤務時間が長く、力仕事も多い。体力的にも辛く、以前から転職を考えていた。結婚による転居が決まり、仕事が続けられないことが決定的になったため、転職活動に踏み切った。
  • ・一次面接までは進むものの、退職理由がうまく伝えられないでいる。事務職に就き腰を据えて長く働きたいと思っているが、接客業務がメインで事務経験がないのも不利なのか。
相談者:矢野さんDr.門野

診断スタート

結婚を機に、退職。事実をそのまま伝えてはマイナスイメージになる?

空港サービス会社に就職し、グランドスタッフになって2年半が経ちます。地方空港のカウンターで搭乗手続きやゲートのご案内業務などに携わっています。

私は出張が多いので、グランドスタッフの方には毎週のようにお世話になっていますよ。早朝でもみんな笑顔で、感心します。とても華やかな職場ですよね。

私も華やかさに憧れて就職しました。お客様とのやりとりは楽しいし、やりがいもあります。でも実際は体力的にハードな仕事です。早番、遅番にわかれているのですが、早番だと5時出社で夕方までの勤務、遅番だと午後出社ですが深夜まで働きます。手荷物のお預かりでは重い荷物をいくつも運ぶ必要があり、力仕事も多いのです。休みも少なく、疲れが溜まってしまって…今3年目なのですが、同期は半分も辞めてしまいました。

それで転職活動を始めたのですね。

転職は以前から考えてはいましたが、活動を始めたのはこのたび結婚が決まったことがきっかけです。業務の関係上、空港から1時間以内の場所に住むという住居規定があるのですが、結婚を機に隣県に転居が決まり、その規定が守れなくなったのです。

なるほど。どんなところに、応募しているのですか?

結婚後も長く勤めたいと考えているので、土日が休みの一般的な企業で事務職に就きたいと考えています。マイペースで長く働けて、未経験でも飛びこめるのは、事務職だと思うからです。でも、応募書類は半分ぐらい通過するものの、ほとんど一次面接で落ちてしまいます。

何が原因だと思われますか?

まずはスキル不足でしょうか…。この2年間で接客経験は積みましたが、パソコンでの事務作業はほとんど経験がありません。エクセルやパワーポイントなど触ったことがないのです。あとは、退職理由でしょうか。「結婚を機に退職」というと印象が悪そうだし、子どもができたらすぐ辞めてしまうのでは?と思われるのがこわくて、「腰を据えて働けそうな事務職にチャレンジしたい」などと伝えていますが、自分でも理由として弱いなと感じています。

スキル不足であれば、そもそも面接には呼びませんよ。矢野さんの場合、退職理由を変に取り繕っているから落ちているだけではないかな。辞める理由が明確だし、軸も通っているのだから、そのまま素直に伝えたほうがいいですよ。

え?そのままでいいのですか?

これが原因!

正当な退職理由を、下手にごまかさないこと。不自然さが面接で伝わってしまう。志望動機が浮かばない場合は、なぜその求人に目が留まったのか考えてみよう。何らかの「その会社ならではの惹かれたポイント」があるはず

お話をうかがっていると、矢野さんの転職理由は非常に明確です。「結婚による転居で、今の会社に通えなくなるから辞める」、これは矢野さんのせいではなく、避けられない理由ですよね?そして、「早番、遅番の連続で体力的にも長く続けられないと思ったので、オフィスワークに就きたい」というのも事実です。これをこのまま、伝えればいいのですよ。

結婚を理由にすると、すぐ辞めると思われないでしょうか?早番、遅番のことも、ネガティブに捉えられないか心配です。

でも、退職の第一理由は「結婚で会社に通えなくなること」ですよね?ここを隠すと、話のつじつまが合わなくなり、どこかで不自然さが出ます。シフトのことも、残業が嫌だと言っているわけではありません。毎日バラバラの生活リズム、かつ体力仕事も多く、長く勤められるイメージがどうしても湧かなかった、だから転居による退職を機に、体よりも頭を使うオフィスワークにキャリアチェンジし、末永く働きたいと思っている…こう伝えれば筋が通り、納得感があります。そもそも矢野さんはまだ24歳、ポテンシャルが高く評価される年齢です。将来を真剣に考え、早めのキャリアチェンジを決断したことを、評価する企業は多いはずですよ。

そうですか…少し不安が和らぎました…。

でも、志望動機は少し見直したほうがよさそうですね。「オフィスワークにチャレンジしたい」だけでは、「うちでなくてもいいだろう」という印象を与えかねません。

業務内容や勤務地など、条件に合う求人にどんどん応募している状況なので、なぜその会社かと問われると、なかなか理由が思い浮かびません…。

でも、条件に合う求人の中から、多少なりとも選別をしているはず。その求人に目が留まった理由を考えてみるといいでしょう。「女性が活躍していそうだ」「商品やサービスがよさそう」「経営者がいいことを言っていて共感できた」「アットホームな雰囲気が伝わってきた」など、どんな切り口でもいいのです。そのうえで、例えば「求人広告とホームページを拝見し、御社では女性がイキイキと活躍している印象を受けました。私は転職したら腰を据えて長く働きたいと思っているため、御社に惹かれ、応募しました。実際のところはいかがでしょうか?」などと聞いてしまうことをお勧めします。面接は一方的に選考される場ではなく、求職者自身が企業を見極める場でもあります。こちらからの投げかけに当てはまっていれば、人事のほうから「実際、うちは女性マネージャーも多くて…」などと具体的な情報をくれるはず。口ごもった企業は、合わない企業だと考えましょう。

なるほど…最後に質問を加えると、応募先に対する意欲も感じられますね。

加えて、応募書類の中で「自分は何ができる人か」をアピールしておきましょう。今も書類通過率5割ということですが、書類を拝見すると、経験してきた業務を列挙しているだけで、少し幼い印象を受けます。ここを改善すれば、さらに通過率が上がるはずですよ。どんな小さなことでもいいので、矢野さんが仕事でこだわってきたこと、工夫してきたことを教えてください。

…相手の様子を見て、それに合わせること、でしょうか。例えばビジネス客にはスピード感を重視した対応をしますし、飛行機の搭乗に慣れていないと感じたお客様や、お年寄りのお客様にはできるだけ丁寧に説明し、場合によっては搭乗口まで案内することもあります。お客様に対してだけでなく、同僚のスタッフに対しても同様に接しています。手こずっていることがあればすぐに声をかけて手伝う、みんなが手間取っている業務に気づいたらマニュアルを作ってみる、などの地味で細かいことですが、ちょっとした気配りでみんなが喜んでくれるのが嬉しかったんです。

いいお話じゃないですか。どうしたらお客様が気持ちよく搭乗できるか、どうすれば現状がもっと良くなるか、考えて工夫を凝らしてきたのですよね?今教えていただいたエピソードを交えながら、「お客様の状況を見極めて対応を変え、お客様に気持ちよく空港を利用していただくことに注力した」、「あらゆる業務でプラスアルファの工夫をすることで、現状を改善することにこだわってきた」などと記しておくと、矢野さんの個性が伝わりますよ。

こういうことも自己PRになり得るのですね。もう一度、応募書類の段階から見直してみます。

診断を終えて…

「結婚で退職」は聞こえが悪いと思いこんでいましたが、結婚による転居は確かに避けられない理由です。変に取り繕おうとしたため、不自然さが面接で伝わっていたのですね。これからは素直に伝えたいと思います。また、「面接は対等にお互いを見極める場」という意見も新鮮でした。今まで萎縮して自分を出せなかったので、これからは自分も企業を見極めようという気概を持って堂々と臨みたいと思います。(矢野さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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