家族の介護で1年のブランク。語学力と美容経験を活かし再就職したい／リクナビNEXT[転職サイト]

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（株）リクルートキャリア　門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年4月23日

岡谷敦子さん（仮名・31歳）
	今までに5社を経験。直近2社は、以前から興味を持っていた美容業界で、販促や広報PRに携わってきた。ただ、家族が病気になり、この1年間は介護と家事に専念してきた。病状回復を機に再就職を目指し活動を始めたが、書類落ちが続き落ち込んでいる。

	・不動産・建築系の会社3社で事務や営業、広報の経験を積み、その後、得意の英語を活かし、興味を持っていた美容業界に飛び込むべく、渡米。ニューヨークの美容関連会社で、販促に1年半取り組んだ。美容関連の経験と英語力を軸に、就職先を探したい。・家族の介護によるブランクは約1年。幸いなことに完治したため、通常通りの勤務が可能だし、残業や出張も厭わない。しかし、ブランクのせいか、書類で落ちるケースが多い。

相談者：岡谷さんDr.門野

今までに5社に勤務しました。初めの3社は不動産や建築関連で、事務や広報、営業などに従事しました。直近2社は、以前から興味を持っていた美容業界。英語力も伸ばしたいと思い、ニューヨークの美容関連会社に販促担当として1年半ほど勤務しました。その後帰国し、美容機器の輸入販売会社に勤めたのですが、親が病に倒れてしまって…。介護と家事に専念するために退職したのが約1年前です。

ご家族の病気は、もう大丈夫なのですか？

はい。少し時間はかかりましたが、おかげさまでほぼ完治しました。そのため先月から本格的に転職活動を始めたのですが、書類選考の段階で落ちることが多く、なかなか面接の機会が得られません。直近1年のブランクと、転職回数が多いことが、マイナスに捉えられているのではないかと…。

どんな求人に応募しているのですか？

私の軸は「美容経験」と「英語力」だと思っているので、その両者が活かせる仕事を探していますが、なかなかなくて…。どちらか一方が活かせる求人に応募しているのが現状です。例えば、英語を使う機会はなさそうな化粧品メーカーの販促とか、外資系で英語は頻繁に使うものの美容系とは違うアパレルやインテリアメーカーなどです。今までに20社ほどに応募しましたが、書類通過はわずか4社です…。

書類通過率2割ですね。悪くない数字だと思いますよ。書類通過率は3割超えればかなりいいほうです。まずは自信を持ってください。

そうなんですか…。ならば面接の機会を増やすためにもっと数多く当たりたいのですが、美容と英語という軸に合う求人が見つけられなくて…。応募のチャンスが少ないのも悩みの一つです。

改めてうかがいますが、なぜ「美容」と「英語」を軸にしたいとお考えなのですか？

まず「英語」は、学生のころから得意で、いつかグローバルな仕事に就きたいと考えていました。そして、先のアメリカでの就労で、さらにビジネス英語力を磨くことができたと自負しています。TOEICスコアも930まで上げることができました。もう一つの「美容」については、もともと興味を持っていた分野だったのですが、直近2社において、自分が心底いいと思える商品やサービスを展開できることに、大きな喜びを感じることができたんです。特に前職である国内の美容機器輸入販売会社では、販促業務の一環として、美顔効果の高い海外製品を日本に導入するための販売認可を取る役割を担いました。英文の論文を読み解き、海外のメーカーと細かな仕様のやり取りを繰り返し、無事に認可を取得したときは本当に嬉しかったですね。でも、これから売り出すというときに、辞めることになってしまいまして…。目標を上回る売れ行きと聞き、嬉しく思いましたが、自分の手で拡販できなかったことは今でも少し残念に思っています。

なるほど。今のお話に、現状打破のヒントがありそうですね。

お話をうかがっていて感じたのですが、岡谷さんの軸は、美容、英語というよりも、「自分が本当にいいと思えるもの、愛着を持てるものを扱いたい。そしてたくさんの方に喜んでもらいたい」という“想い”なのではないかな？

…言われてみれば、その通りです。たとえ美容系のものでも、心からいいと思えるものでないと、扱いたいとは思えませんね…。

ならば、この観点で求人を探してはどうかな。「美容」「英語」の軸で探すと、いずれもエッジが立った条件だけに、どうしても選択肢が狭まってしまいます。それよりも、「自分はこの会社の商品、サービスを、愛情を持って扱えそうかどうか」という観点で探せば、もっと候補が広がるはずです。それが、美容系に関わっていればなおいいし、英語が使える環境であれば、さらにいいですよね？

実は、外資系のアパレルメーカーの販促職に応募し、一次面接の案内が来たんです。「美容の軸からは外れているけれど、なんか気になる」と思って応募したのですが…ご指摘いただいた「想いの軸」に合致したから気になったのかも。求人を見つけた後、実際に商品を手に取ってみたのですが、「これを自分の手で国内に広めたい」って思えたんです。

いいですね！今後もその考え方で、求人を見ていくといいでしょう。その会社のことを知らなくても、実際に商品を見たり、サービスを受けることができるならば、想いの軸に合うかどうか判断ができるはず。

はい！わかりました。

それに合わせて、応募書類の内容も見直しましょう。岡谷さんは、それだけ想いを持って仕事に臨んできたのに、応募書類から想いが伝わってこないのが残念です。だからこそ、ブランクや社歴の多さばかりが目立ってしまい、書類落ちの率が高まったのではないかな。

どうやって、書類に想いを盛り込めばいいのでしょう？

応募書類の始めに数行のサマリーを設け、そこで想いをアピールしましょう。例えばですが、「不動産関連会社3社で事務や営業、販促などの経験を積んだ後に、以前から興味のあった美容業界に飛び込み、主に販促やPR活動に従事しました。自分自身が『これはいい』と思えた商品やサービスを広め、カスタマーの方に喜んでいただくことにこの上ない喜びとやりがいを感じています。特に、海外の商品やサービスを目利きして、日本に導入することに関しては自信を持っています。この経験とスキルを、御社において活かしたいと思っております」などとまとめると、書類の読み始めで想いが伝わるので、社歴の多さが気にならなくなります。サマリーの終わりには、「家族の介護に専念するため、約1年のブランクがありますが、おかげさまで完治したため、フルタイム勤務はもちろん残業や出張も問題ありません」などとつけ加えておくと、ブランクについても初めに理解してもらえるので、なおいいでしょう。

なるほど…。確かに現在の応募書類では、経験業務ばかりをアピールしていて想いが含まれていないですし、すべてに目を通していただかないとブランクの理由がわからないですね…。

少々大げさに言えば、今の応募書類は「応募書類すべてに目を通して、自社に合う人材かどうかを読み解け」という感じ。いささか乱暴ですよね？読み手である人事担当者のことを考え、初めにサマリーとして「読み方レシピ」を入れてあげると、負担なく、より岡谷さんのことを理解してもらえますよ。