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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年1月15日

今週の相談者

デザイン経験を活かして転職したいが、面接落ちが続く高城さんの場合

高城美和さん
(仮名・31歳)

プロフィール
デザイン学校を卒業後、絵画教室の講師などを経て、雑貨メーカーでパッケージやチラシ、POPデザイン、販促戦略などを手掛ける。勤務先の経営不振を機に、同じ職種での転職を目指し活動を始めたが、書類は4割程度通過するものの一次面接の段階で落ちてしまう。
現状
  • ・小さな会社なので、商品に関するあらゆるデザイン周りの仕事はすべて一人で請け負ってきた。しかし、会社の業績が悪化しており、今のうちに転職したいと考えている。
  • ・デザイン経験を活かしたいが、専門職というよりは、販促や広報、事務作業などさまざまな付帯業務も手掛けてきた。この「幅広い業務経験」が、デザイン職に応募するにはネックになっているのではないか。
相談者:高城さんDr.門野

診断スタート

広報や販促など周辺業務も担当。「守備範囲の広さ」がマイナスになっている?

小さな雑貨メーカーで3年間、商品パッケージやチラシ、POPなどのデザインを担当してきました。小さな会社なので、デザインの仕事は私一人ですべて担当し、付帯する販促や宣伝、広報などの業務も手掛けていました。

任されている範囲が、とても広いのですね!

はい。おかげで毎日とても忙しいのですが、仕事にはやりがいを持っていました。ただ、会社の業績が悪化してしまって…将来が不安になったため、数カ月前から転職活動を始めています。今の経験がダイレクトに活かせる、メーカー系のデザイン職を目指していますが、書類は4割がた通過するものの面接の段階で落ちてしまいます。

なるほど。ご自身では何が要因だと分析されていますか?

スキル不足、でしょうか。この3年間、デザイン周りの仕事を一手に引き受けてきた自負はありますが、商品は安価な雑貨が中心。パッケージデザインやPOPなども、洗練されたデザインではなく、ポップでガチャガチャとしたものが多いのです。こういうものは、まず手に取ってもらうことが大切なので…。でも、面接の際にこれらの作品を持っていくと、「こういうジャンルなんだ…」とガッカリされたり、「もっとかっこいいのはできないの?」などと言われてしまうことが多いんです。どんなデザインであっても、任されればできるとは思っているのですが。

面接の場で、そのように返答しているのですか?

いえ…そこまで言い切る自信はなくて…。販促や広報、事務作業などデザインには関係ない周辺業務も手掛けてきたので、「デザイナーです」と胸を張ってアピールしづらいんです。

高城さんは、これからはデザイン一本で勝負していきたいの?

いえ、経験もないし、正直デザイン一本では難しいと思っています。今までのような、「デザインも、その周辺業務も手掛ける」という役割であれば、力を発揮できると思うのですが…。

高城さんは、ご自身のスキルにあまり自信を持っていないようですね。デザイン周りを一人で任され、3年間も頑張ってきたのに、その自信のなさが面接でマイナスに働いている気がしますね。

そうですか…。

これが原因!

カスタマーの声を拾いながら、より売れる商品づくりのために改善を続けてきた経験は貴重。自信を持ってアピールすべき。デザイン力をアピールしたいならば、「応募書類の構成」にも気を配ろう

デザインだけでなく、販促や広報など周辺業務も手掛けているとのことですが、具体的にはどんな業務を担当しているのですか?

例えば、商品にアンケートハガキを封入し、戻ってきたハガキを集計・分析してカスタマーのニーズを探って商品開発部門にフィードバックしたり、アンケートの声を参考に新しいパッケージデザインを考えたり。商品の売り上げ推移を見ながら、チラシやPOPのデザインや宣伝文句を考えたり…と、本当にさまざまです。また、デザイナーとしては、売り上げ推移や販売経路などを見ながら、どうすればうちの商品を手に取ってもらえるか、傾向を探りつつ新しいデザインを考えます。

それはすごい!「売れる商品」にするために、デザイン面からも、販促・広報面からも、改善を続けてきたのですよね?どうすれば手に取ってもらえるか、カスタマーの声や売り上げデータなどさまざまな側面から考え、トライ&エラーを繰り返してきた経験は貴重です。

逆に、手掛けてきた範囲が広すぎるので、中途半端な経験、スキルだと思われませんか?

「デザイナーという専門職」の世界であれば、そう評価されてしまうかもしれません。でも、「デザインだけにこだわらない」のであれば、道はかなり開けていると思いますよ。高城さんが持つデザインやアートに関する感覚や知識は、「一般ビジネスパーソンの世界において」ならば、とても希少だし輝いて見えます。そして、あらゆる分野でその知識が発揮できるはずです。例えばですが、人事職ならば、読み手の心を揺さぶる求人広告が作れるでしょうし、総務職であっても、オフィスのレイアウトなどファシリティ面で力を発揮できるでしょう。販促や広報部門ならば、なおさら経験が活かせるはず。

なるほど…私のような経験・スキルであっても、さまざまな可能性が考えられるのですね。少し視野が広がりました。ただ、今までの経験がストレートに活かせるのは、やはり現職と同じ「デザイン+周辺業務」の役割ですよね?

転職可能性で言えば、おっしゃる通りです。実際、同じような役割を目指して応募をして、4割は面接に進んでいるのですよね?経験が評価されている証です。あとは自分に自信を持って、アピールすることです。

どのようにアピールすればいいでしょうか?

カスタマーの声を聞き、売り上げの推移などデータを分析しながら、「どうしたらカスタマーに手に取ってもらえるか」を考え、改善を続けながら、売れるパッケージ、目立つチラシ、POPを作り続けてきたことをアピールしましょう。改善の効果が出た好例があれば、具体的なエピソードとして入れておくこと。「カスタマー目線」にこだわってきたことが伝われば、面接担当者の「こういうデザインしかできないの?」という質問にも、「数ある雑貨の中から手に取ってもらえるデザインを追求した結果です」と自信を持って言えるはず。

確かにその通りです。おしゃれなデザインとは程遠いので、アピールすることを躊躇していましたが、「売れるために」を追求した結果なので、もっと自信を持ってよかったんですね…。

ぜひ、これらのアピールは応募書類にも記載してください。書類通過率がさらに上がるはずですよ。…もう一つアドバイスすると、応募書類の書き方をもう少し工夫してはどうかな?今の書類は「レジュメ見本」そのままの構成で、デザイン力が感じられません。やりすぎはよくないですが、目立たせたいところを太字にしたり、「●」などを文頭につけて整理したり、フォントを変えるなど、全体をスッキリわかりやすく見せる工夫はもっとできるのでは?書類の中身だけではなく、書類そのものもアピールする武器だと捉えましょう。

わかりました!さっそくまとめ直します。

診断を終えて…

自分のスキルに自信が持てずにいましたが、これまでの経験の捉え方を変えれば、「あれもできる、これもできる」というアピールに変わることがわかり、自信が出ました。視点を切り替えるきっかけをもらえたのが収穫です。書類の書き方、まとめ方についても、もっとこだわりを持って臨みます。(高城さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山 論

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