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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2013年4月24日

今週の相談者

一次面接は通るが二次から先に進めない、事務職志望の松尾さんの場合

松尾千尋さん
(仮名・31歳)

プロフィール
短大で食物栄養学を学んだ後、給食サービス会社に就職し、高齢者施設や病院で栄養管理を3年間担当。その後、IT企業に転職し、営業事務として5年間勤務。昨年末に退職し、事務職を目指して転職活動を行っているが、二次面接の段階で落ちてしまうのが悩み。
現状
  • ・短大で食を学び、就職した会社でも食を扱ってきた。一度は離れた「食」の業界に戻りたいと思っている。でもなかなか決まらないので、最近は業界を広げて応募している。
  • ・IT企業の営業事務に転職したのは、1社目であまりにPCに触れる機会がなく、ビジネスパーソンとして将来に危機感を覚えたため。しかし、1社目と2社目の仕事に関連性がないため、「無計画に転職してきた人」だと思われているようだ。
相談者:松尾さんDr.門野

診断スタート

「食」を扱う業界に戻りたいという気持ちは強いのに、なぜ二次面接で落ちてしまう?

新卒で給食サービス会社に就職し、高齢者施設と病院で栄養管理を担当。管理栄養士の資格も取得しました。その後、PCのスキルを身につけたくて、IT企業に転職し、営業事務として5年間働きました。昨年末に退職し、今度は「食」の業界の事務職に就きたくて転職活動を行っています。しかし、書類は高い確率で通るものの、なぜか二次面接の段階で落ちてしまうんです。

食に関わる業界のみに応募しているのですか?

始めはそうだったのですが、あまりに受からないので、最近ではほかの業界にも応募しています。でも、やはり結果は同じで、面接の途中で落ちてしまいます。

そもそも、なぜ給食サービス会社からIT企業に転職したの?

栄養管理の仕事はとても楽しく、やりがいがありました。でも、PCに触れる機会がほとんどなく、ビジネスパーソンとして将来生き残っていけるか不安になったんです。そこで、いったん一般企業の事務に就いて、PCスキルを身につけようと一念発起し、転職しました。5年働き、一通りスキルは身についたと自信を持てたので退職し、また食の世界に戻ろうと思ったのですが…そううまくはいかないものですね。

ご自身ではなぜ、二次面接で落ちていると思いますか?

…うーん。一次面接では、事務としてのスキルや経験を聞かれることが多いのですが、二次では将来のビジョンを聞かれることが多いんです。でも、5年も食を離れていたので、何を言っていいかわからなくて…いつも「食を通じて日本を元気に」とかあいまいなことしか言えずにいます。ほかの業界ではなおさらビジョンが言えなくて…。

なるほど。二次面接で落ちている要因はそこですね。そもそも、食の業界でビジョンが話しづらいのであれば、ほかの業界においてはなおさらビジョンなど浮かばないでしょう。食の業界に絞ることをまずはお勧めしたいですね。

でも、一度は食の世界を離れているので、自分でもビジョンがモヤッとしていて、明確に話せないんです。しかも、前職はIT企業ですし「なぜ再び食の業界に?」と言われると返答に困ってしまいます。

でも、食へのこだわりはきっと相当お持ちなのでは?そうでないと、「PCスキルには自信が付いたから、また食の業界に戻ろう」とまでは思えないはず。それを伝えるべきですよ。

こだわりはありますが…自分の中でもモヤモヤとしていて、うまく言葉にできないんですよね…。

これが原因!

なぜ「食」に戻りたいのか。過去のエピソードを交えて語れば、志望動機にリアリティーが増し、個性も伝わる。「高齢者」というキーワードも活かして、食の世界に絞って活動を

食の業界に、なぜ戻りたいと思ったのですか?どんな些細なことでもいいです。教えていただけますか?

短大で学び、1社目の栄養管理の仕事でやりがいを得られていた、というのが一番の理由です。前職のIT企業では、スキルは積めましたが、1社目ほどのやりがいは得られずにいました。

栄養管理の仕事では、どんな場面でやりがいを感じたのですか?

すごく細かいエピソードなのですが…。総合病院に配属されていたときに、幼児や妊婦用のおやつを考え、作ったところ、すごく評判になったんです。「レシピを教えてほしい」とわざわざ私の部署まで訪ねて来てくださったお母さんがいて…とても嬉しかったです。病院食なので、材料や分量に制約はあるのですが、その中でできるだけおいしさにこだわり、試作を重ねた甲斐がありました。

とてもいいお話しじゃないですか。さまざまな制約がある中でも、入院患者に笑顔になってもらうために、できるだけおいしいものを作ろうと奮闘された。そこには「食で皆さんに笑顔になってほしい」という強い思いがあったはずです。

確かにおっしゃる通りです。そんな思いを持って、仕事に取り組んできました。些細な経験かもしれませんが、このときに得た喜びが、私の原点かもしれません。

いえいえ、こういうエピソードがあってこそ、「食で笑顔になってほしい」という言葉にリアリティーが増し、松尾さんの個性が伝わるのです。ぜひ面接でも話してください。…でも、こういうお話しを聞いていると、本当は事務ではなく、商品企画や開発などが向いている気がしますが…。

実は、本当は商品企画の仕事に就きたいと思っています。数社に応募してみたのですが、経験のなさを指摘され、落ちてしまいました。でも、何らかの形で食に携わりたくて、経験が活かせる事務職に応募しています。

引き続き、商品企画にも応募してみてはどうかな?1社目での経験は、商品企画にかなり近しいと思います。応募書類の中で、自分でメニューを企画し、入院患者や高齢者に喜ばれた経験を記しておくといいでしょう。また、事務職に応募する際も、面接の場で「事務職として力を発揮したいと思っていますが、将来的に機会があれば、ぜひ過去の経験を活かして商品企画の分野にもチャレンジし、食でたくさんの人に笑顔になってもらえるよう尽力したいと思っています」などと、先ほどのエピソードも交え伝えるといいでしょう。松尾さんのビジョンと、仕事に対する向上心が伝わります。

確かに…おっしゃる通りですね。

高齢者施設に勤めていた経験も、松尾さんの武器だと思います。もし松尾さんにその志向があるようでしたら、「高齢者をターゲットにしたメニュー開発」を武器に売り込むと効果的だと思います。少子高齢化の進行により、どの企業も高齢者をキーワードにした新しい商品開発には力を入れている、もしくはこれから力を入れようとしているはず。「現場でたくさんの高齢者の嗜好を見てきた私ならば、御社の戦力になります」とアピールすれば、心動かされる企業は少なくないはずですよ。

高齢の方って薄味好きと思われているようですが、意外にお肉や揚げ物、こってり味を好まれるんですよね。そういうメニューを、栄養面やカロリー面を考慮しながら取り入れ、喜ばれてきました。そうか、こういう経験もアピールできるのか…少し自信が出てきました!

一度食の世界を離れたことで自信を失っていたようですが、松尾さんはたくさんの武器をお持ちですよ。ぜひ自信を持って、ご自身の思いと経験をアピールしてください。

診断を終えて…

選考の途中で落ちることが続き、自信を失っていましたが、Dr.門野と話す中で「こんなアピール方法もあるんだ」と気づかされました。食へのこだわりも再発見することができました。改めて食の世界に的を絞り、過去のエピソードを交え、自信を持って自分をアピールしたいと思います。(松尾さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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