転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > ネットワーク構築の経験を活かしたいが書類選考が通らない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年4月18日
畑中昌史さん |
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大学卒業後、通信会社やSIerなど5社でネットワークサービスの構築や技術支援、企画設計、顧客対応などに携わる。現在はモバイルコンテンツ会社の業務部門に勤めているが、ネットワーク関連の仕事に戻りたくて働きながら転職活動。しかし書類が全く通らない。 | |
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大学卒業後、大手通信会社やネット系企業で、ネットワーク関連の業務に携わってきました。顧客企業に対するネットワークサービスの企画設計、構築、トラブル原因分析・対応のほか、顧客への提案や技術支援など営業的な役割を担った経験もあります。また、長らくマネジメントにも携わり、3社目からは部長職に就いています。しかし、書類選考が一向に通らないんです。大手エージェント経由ですでに10社ほどに応募しましたが、全滅です。
どんなところに応募しているのですか?
ネットワーク関連の設計、構築、運用担当の募集に応募しています。役職にこだわりがあるわけではなく、給与水準も多少下がってもいいと思っているのですが、応募できる求人が少なくて…。
でも、応募数が10社は少なすぎます。希望に合った企業が少なくて応募できないのであれば、「自分を求めてくれる企業」を探すという方法があります。本気で転職したいのであれば、少しでも「いいな」と思った求人にはすべて応募する勢いで臨みましょう。応募数を増やせば、どんなタイプの企業の、どんな役割に求められるのかがわかります。思いもよらない業界や企業から適性があると評価されるかもしれません。
確かにそうですね。社会人歴が長くなり、果たして自分のどの経験やスキルが求められるのか、見当がつかないというのも悩みどころだったんです。…そうだ!各企業の採用担当者に、「うちの求人ニーズに合っている」と思わせる書類の作り方ってありますか?コツがあれば、ぜひ教えていただきたいのですが。
うーん、その考え方はお勧めしないですね。まずはご自身の経験やスキルの軸があり、「それに合っている企業に応募する」のが筋です。そうではなく、自分の経験やスキルを、企業に合わせにいくのは、単なる迎合。その人らしさが感じられず、結局は落とされてしまいますよ。
そうですか…。
今のご意見を踏まえて応募書類を拝見すると、ネットワーク構築に関わる経験やスキルは過不足なくアピールされていますが、マネジメント経験者としての畑中さんの個性がほとんど見えません。だから面接に進めないのだと思いますよ。
そ、そうですか…。どこをどう変えればいいのでしょう?
マネージャー以上の方は、ご自身の経験やスキルだけでなく、マネジメント上のこだわりや、大事にしていることをアピールすべきです。そうすれば、「この人を採用すれば、こんな組織運営をしてくれそうだ」とイメージでき、面接に呼んでみようと思ってもらえます。一方、今の応募書類を拝見すると、「毎朝、メンバー一人ひとりに『おはよう』と声をかけ、コミュニケーションを取った」などとありますが…ちょっと表現が幼稚だし、誰でもできることという印象を受け、畑中さんならでは感が伝わりません。そもそも、なぜ朝のあいさつを徹底するようにしたのですか?
2年前に転職して、すぐに今の部を任されたのですが、とても元気がない部で…。言いたいことがあっても黙ってしまうような大人しいメンバーが多かったんです。今の部署は、全社を取りまとめる業務部ですから、うちの部署に元気がないと会社全体の士気にも影響を与えかねません。相談や報告、アイディアなど何でも自由に言い合える元気なチームにしたくて、自分から意識して大声で「おはよう!」とあいさつをするようにしたんです。あいさつ自体は、ごく些細な心がけではありますが、それを機にメンバーも自分からあいさつするようになり、言葉を交わし合うようになり…と、部の雰囲気が徐々に変わってきました。今では、だいぶ自由に意見を言い合える環境になりましたね。社員同士の雑談の中から、新しいアイディアが生まれることも、少しずつではありますが増えてきています。
なるほど、いいお話ですね。つまりは、畑中さんは、束ねている業務部を活性化させることで、会社全体の士気を高める努力をしてきたということですね。「1つの部署の停滞は、事業全体にも影響を及ぼします。マネージャーとしてまずは自らの部を活性化することで、会社全体の活性化にもつなげようと考え、行動してきました。御社においても、必ずや組織活性化に貢献できます」と書かれていたら、どうでしょう?ちょっと会ってみたくなりませんか?
確かに…!
ほかに、このような「経営者視点で行動した」エピソードはありますか?
以前の勤務先でネットワーク構築に携わっていたときも、目先の業務のことやチームのことだけでなく、常に会社全体のことを考え、行動してきました。特に4社目の勤務先では、会社の売上高の半分をうちの部署で担っていたので、いかにコストを下げるかが至上命題。業務のフローを一から見直し、効率化を徹底することで、顧客満足度を維持しつつも約1割のコスト削減を実現しました。
経営者に視点に立ち、組織活性化やコストダウンに注力してきた経験は、畑中さんならではこだわりであり、努力のたまものです。ぜひレジュメに反映してください。こだわってきたことや大事にしてきたことは、話すときも「言葉に思いが乗る」ものです。面接で聞かれたときにも話しが弾むでしょう。
確かにそうですね。書類のまとめ方を、もう一度見直してみます。
ぜひそうしてみてください。また、畑中さんは大手エージェント中心に応募しているようですが、中小エージェントにも登録してみてはどうでしょう?特定の企業と強いパイプを持っているエージェントが多いので、「この企業にマッチする」と思ったら、レジュメのまとめ方を含め親身になってフォローしてくれるはずです。レジュメを見直しつつ、応募先を広げていけば、必ず畑中さんの経験が活かせる企業と出会えるはずですよ。
「自分らしさを出す」というレジュメの書き方はもちろんですが、応募先を増やして求めてくれる企業を探す、中小エージェントに対象を広げる…という視点は全くなかったので参考になりました。視野を広げて転職活動に取り組みたいと思います。(畑中さん)
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- 伊藤理子
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