転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 一度離れた営業事務に戻りたいが、書類落ちが続いている
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年6月1日
芳賀美里さん |
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3社で営業事務、一般事務を経験後、マーケットリサーチ会社でリサーチャー職に就く。昨年末、もう一度事務系職種に戻りたいと考えて前職を退職。以来、転職活動を続けているが、なかなか書類選考を通過できず悩んでいる。 | |
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商社など3社で、営業事務と一般事務を経験しました。その後、マーケットリサーチ会社でリサーチャーを経験しましたが、仕事内容も社風も合わなくて…。昨年末で退職し、経験が長い営業事務や一般事務のほか、英語が得意なので貿易事務などに応募しています。でも、書類が全然通らなくて…悩んでいます。前職だけが少し特殊なので、キャリアが切れてしまっているように見えるのでしょうか?
どんな会社に、何社ぐらい応募しているのですか?
業界にはこだわらず、職種重視で応募しています。今年の2月から転職活動を始めてから…20社ぐらいに応募したでしょうか。
4カ月間で20社は、かなり少ないですね。業界を選ばない事務職ならば、もっと応募できるところがあったのでは?ちょっと応募数を増やしましょう。おそらく、数社に応募して、その結果を見てまた数社に応募して…と進めてこられたのでしょうが、応募する時はできるだけ一度に多くの企業に当たったほうがいいですよ。一つひとつの結果が出るまで待っていると時間ばかりかかってしまいますからね。
でも、業界は不問でも、希望に合う応募先を探すとなると、意外にないものなんですよ。前職は残業が多かったものですから、今度は過度な残業がない会社で働きたいので、残業時間はチェックしています。
そもそも、リサーチャーにキャリアチェンジしたのに、また事務職に戻りたいのはなぜですか?どういうところが合わなかったの?
いえ、もともとリサーチャーになりたかったわけではないんです。リサーチ会社の管理画面を作るプログラマーの募集で、未経験でもOKだったので、「面白そうだし挑戦してみようかな」と思ったんです。でも、入社後にすぐ異動させられてしまって…。リサーチャーというと、クリエイティブで裁量がありそうに見えますが、実際は上司の指示通りに動かねばならないガチガチのルーティン業務が大半でした。「こうすれば効率的なのに」と思っても全く自由が効かなくて…。仕事にもやりがいを感じられなかったし、やはり私には事務職が合っていると思ったんです。
なるほど、わかりました。では芳賀さんは、次の職場でどのように活躍したいと思っていますか?転職したら、どんな価値を発揮できると思いますか?
うーん…価値ですか…。英語力ぐらいしか思い当たらないです。今までやってきたのは普通の事務仕事ですし、前職のリサーチャーでも取り立てて特別な経験はしていないし…。
いえいえ、きっと何かしら芳賀さんならではのポイントがあるはずですよ。それを書類に書かないことには始まりません。一緒に考えてきましょう。
そうですか…。
応募書類を作成するときは、「採用側の目線」に立って考えることが重要です。企業はだいたい、今回の書類選考で何人ぐらいを一次面接に呼ぶか、あらかたの人数計画を立てています。その計画数の中に入りこむためには、「この人ならば会ってみたい」「この人ならば当社で活躍してくれるのでは?」と思わせる「理由」が必要です。一方で、今の芳賀さんの書類は、今までの職務経歴がたんたんと書かれているだけ。そのために、36歳という年齢や、転職回数の多さ、そして前職のちょっと外れた経験が目立ってしまい、残念ながら「選ぶ理由がない」のが現状。企業側から見れば、経験が浅くても年齢が若い人のほうがポテンシャルがあるし、給与水準も低い。スキルを求めるなら派遣社員のほうが効率的と考えるかもしれない。その人たちと競争して勝てるだけの「理由」を記さないと、選考の土俵にも上がれません。
とはいえ、何を書けば…?データ集計や入力作業、営業用の資料づくりなどが主な仕事でしたし、取り立ててアピールすることはありません。
確かに仕事内容は、皆さん似ているかもしれませんね。ただ、「仕事をするうえで大事にしていること」「こだわっていること」は人それぞれ違います。そこがアピールポイントになるはずです。芳賀さんは仕事においてどんなことを大事にしてきましたか?楽しかったこと、やりがいを感じていたことでもいいですよ。
そうですね…やりがいでいえば、以前商社に勤めていたときに担当営業に「芳賀さんとはとても仕事がしやすい」と言われ、嬉しく思ったことがあります。すごく忙しい人なので、いつもザックリとした指示で資料作成依頼などを投げてくるのですが、私が彼の意図をくみ取って希望に沿った資料を作れたからだと思います。私としても、自分のやり方で効率的に仕事を進められたので、やりやすいパートナーでしたね。
なるほど。先ほどのリサーチャー時代のエピソードも踏まえると、芳賀さんは「効率化」を重視してきたのではないですか?自分が関わるからには、無駄を極力なくし、裏方から営業の効率アップのために努力し続けた経験は、アピールポイントになりますよ。これこそ、経験の浅い若手にはなかなか気づけないことです。
確かに無駄は嫌いですし、効率化には気を配ってきました。おっしゃる通りかもしれません。
ならばぜひ、自己PRに今のエピソードを加えてくださいね。あとは、職務経歴のサマリー兼志望動機を数行程度にまとめて、職務経歴の始めに入れておくといいですよ。3社で事務職として勤務し、主に営業担当者の営業効率アップを意識して仕事に臨んでいたこと。リサーチャーの仕事に転身したものの、離れてみて「営業の効率アップのために尽力したい」と気付いたこと…。これらを冒頭で伝えておけば、「転々としてきた」という印象が薄まりますし、事務職に戻りたいという思い、意欲も伝えることができます。そのあとに続くアピールポイントと相まって、「一度会ってみようか」と思ってもらえる率が高まると思いますよ。
なるほど。書類作成もなかなか難しいのですね…。
難しいかもしれませんが、何とか頑張ってみてください。書類は整理すればするほど、面接につながる確率が高まりますし、書類で整理したことは面接の場でも臆せず語れるもの。頑張った分、内定にも近づきますよ。
今までのキャリアの中で、前職のことがうまく説明できず、転職活動に対して不安を持っていました。アドバイス通りにうまく応募書類を修正できるかどうか、あまり自信がありませんが、少しずつでも挑戦してみたいと思います。(芳賀さん)
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- 伊藤理子
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