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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年12月1日
川村隆子さん |
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新卒でWebコンテンツ会社に就職し、主に携帯アプリの企画・運用に携わる。しかしITならではのスピード感と激務、朝令暮改の組織に疲れ、もっと落ち着いた環境で働きたいと事務職への転身を決意。しかし、書類が一向に通過せず、悩んでいる。 | |
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Webコンテンツ会社で、主に携帯アプリの運用に携わってきました。2年目からはコンテンツの企画・売り上げ管理、チームマネジメントなども手掛けるように。でも、もともとIT志向ではないうえ、IT企業ならではのスピード感にも付いていけませんでした。すぐに結果を求められるし、トップの指示が朝令暮改で常に対応に追われ、ストレスフルな毎日…。同期はみんな辞めてしまいました。私は1年2年であきらめるのが嫌で、ここまで頑張って来たのですが、そろそろ限界です。
それで、次は事務職に行きたいのですか。
はい。私はどちらかというと保守的な性格で、今の仕事のようにスピードが早くて変化の大きい仕事は向いていないと思うんですよね。新しい業務に対応するのも、どちらかというと苦手ですし。腰を据えて、自分のペースで働きたいと考えたら、事務系の仕事がピッタリだなと思ったんです。
なるほど。応募の結果はどんな感じですか?
それが全然…。40社以上に応募して、面接に進めたのはわずか4社。その面接も、「なぜ事務にキャリアチェンジするの?キャリアダウンになるんじゃない?」と詰められるばかりで、すべて一次で落ちてしまいました。応募書類では、コンテンツプロデューサーの経験よりも「文書作成・管理」など、事務系の経験をメインにアピールしているつもりなのですが…。
面接担当者と同じ質問をしますが、本当に事務職に行きたいの?
はい。みんなキャリアダウンと言いますが、私は事務の仕事は大切だと思います。もともと自分が先頭に立つよりも人のフォローをするのが好きなので、今度は事務としてみんなを支える側に回りたいんです。今の仕事みたいに周りに振り回されることもないだろうし、長くマイペースで働けそうですから。…ただ、転職するのは初めてなので、事務の仕事で満足できるのかという不安は、正直ちょっとだけあります。それが応募企業に見抜かれているのかなあ。
まさしくそれが、人事の気持ちです。プロデューサーとしてチームをまとめ、売り上げ管理まで行ってきた人が、なぜいま事務なのか?と思うのは当然。明確な理由があればまだ納得できるでしょうが、それが応募書類に書かれていないでしょう?採用したとしても、事務の仕事に飽き足らず、すぐに辞めてしまうのでは?と不安に思う人事が大半だと思います。「事務に就きたいわけではなく、社内のごたごたが嫌で逃げているのでは?」「健康面の不安があるのでは?」などとうがった見方をする人もいるでしょう。
うーん、どうすればいいんでしょう…。
どうしても事務に行きたいならば、書類の中で「志望理由」の項目を立て、転身の理由をしっかり明記しておくべきです。そうすれば、通過率は今よりは上がるでしょう。でも、川村さんのお話を聞いていると、「事務の仕事がやりたい」わけではなく、「環境を変えたい」のだと感じますが、どうですか?
うーん、言われてみれば、そうなのかもしれません。速いスピード、重いミッションに疲れたので、マイペースで落ち着いて仕事に取り組めそうだという理由で、事務職にばかり目が行っていました。
落ち着いて取り組みたいなら、メーカーの社内SEも視野に入れてもいいかもしれませんよ。もしくはWeb化の推進や、社内HPづくりなどの役割ならば、Webに関する知識がある川村さんの経験がハマるでしょう。新規事業の立ち上げや、経営企画なども考えられますね。新しいビジネス展開に、Webやモバイルの知識は必須。ハードな環境で努力してきた経験も買われることでしょう。
なるほど…確かにあり得るかも。
そもそも「事務=マイペースで働ける」とは限りませんよ。周りの補佐的な役割ですから、周囲のペースに振り回されてしまう場面も多いはずです。…環境を変えたいならば、「同じコンテンツプロデューサーとして、別の会社に移る」という道は考えられない?
うーん、考えないこともないのですが…。インターネットは扱うものの、コーディングの技術があるわけではないし、OSスキルにも自信がないので、求人を見つけても「私には勤まらないだろう」と思って応募しませんでした。
いやいや、十分活躍できると思いますよ。みんなが辞めていく中で、4年間最前線で頑張って来たんですから、それだけの知識が付いているはず。その若さでマネジメント経験も売り上げ管理の経験もある。数字のプレッシャーも乗り越えてきた。企業から見れば、川村さんはど真ん中のターゲットです。…川村さんはまだ26歳ですし、もうちょっと、コンテンツプロデューサーとして頑張ってみては?環境が変われば、働きがいも変わると思いますよ。あと数年頑張れば、さらに上の立場になって権限も増え、もっと川村さんのペースで仕事が回せるようになるはず。動かしやすい仕組みづくりから、携われるようになるでしょう。
なるほど!それは考えたことがありませんでした。「長く働きたい」と思ったとき、ルーティン業務しか頭に浮かばなかったんです。今の仕事を続ければ、いずれはマネージャーになり、立場も、任される領域も変わっていきますものね。…完全に視野が狭まっていました。
今の応募書類は、事務職向けに経験職務が箇条書きで書かれていますが、事務以外にターゲットを変えるならば、まとめ方を見直しましょう。箇条書きだと、すべてが「作業」っぽくみえてしまい、川村さんの実力が伝わりにくい。「どんなミッションで、そのためにどんな打ち手を用い、どんな結果を得られたのか」という一連の流れが書かれていれば、その期間の川村さんの働きぶりがリアルにイメージできます。例えば「企画書の作成」だって、そもそも企画書を作る「目的」があり、それを達成するための手段の一つが「企画書づくり」でしょ?目的ベースでまとめると、「高い視野で組織を見られる人」という評価になりますよ。
なるほど、わかりました。自分の可能性も含め、すべてを一度見直してみます。
事務職以外の可能性を全く考えていなかったので、目から鱗です。「自分のペースで仕事ができる=事務」だけではないことにも気づかされ、視界が開けました。今のキャリアを積んでいくことも、真剣に検討してみます。(川村さん)
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- 伊藤理子
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