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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2010年9月8日

今週の相談者

人事経験を活かし採用分野のキャリアを積みたいが、面接で落ちてしまう小松さんの場合

小松信子さん
(仮名・31歳)

プロフィール
Web制作会社に6年間勤務し人事、総務、経理など管理部門の業務を幅広く経験。専門分野を伸ばしたいと流通会社に人事職として転職し、採用・教育担当となるが、経営不振を受け2009年11月に退職。採用担当を目指して転職活動するも、なかなか内定に結びつかない。
現状
  • ・人事総務職を中心に、さまざまな企業に応募しているが、書類を通過しても一次面接でほとんど落ちてしまい、なかなか内定に至らない。
  • ・人事業務の中では給与の経験が一番長く、そこを期待されて面接に呼ばれることが多い。しかし希望は採用業務。それを面接で主張するのがよくないのだろうか?
相談者:小松さんDr.門野

診断スタート

書類は3割通過するが、ほとんど一次面接落ち。採用業務にこだわりすぎているせい?

6年間勤めたWeb制作会社で、人事や経理、総務など管理部門の仕事を幅広く担当しました。小さな会社だったおかげで、幅広い業務を経験できました。でも、一つ専門分野を極めたいと思い、3年前に流通会社に人事として転職。採用業務と社員教育を担当し、充実した日々を過ごしていたのですが、経営不振により退職勧告を受け、2年足らずで辞めることに。さまざまな企業の人事職に応募しているのですが、なかなか決まらず悩んでいます。

今までにどれぐらい応募しましたか?

88社に応募して、書類が通過し一次面接を受けたのが23社。二次面接に進めたのは2社です。

書類通過率3割ですか!それはかなり確率高いですよ。経験が評価されているのですね。

でも、一次面接から先に進めないんですよ。前職を辞めてもう9カ月になろうとしているので、かなり焦ってきました。

うーん、小松さんは話し方も快活でハキハキしているし、雰囲気的にはすぐに内定もらえそうなんだけどなぁ(笑)。ご自身では、面接での敗因はどこにあると思われますか?

今までで一番長く担当した人事業務は、給与関係なんです。そのため、面接で「給与を中心に担当してほしい」と言われることがとても多くて。でも、私としては採用業務を主軸にキャリアを積みたいという思いがあります。給与の仕事は正直好きじゃないし得意とも言えない。それを面接の場で主張し過ぎるから、落ちているのだと思います。

なるほど…。給与は1社目でのご経験ですね。

はい。友人などは「まずは『何でもやります』といってどこかに入社して、ゆくゆく自分がやりたいことを主張していけば?」と言うのですが、好きになれない仕事をしたくはないし、その気持ちを隠して入社するのは違うと思うんです。しかも、専門分野を持ちたいと思って1社目から2社目に転職したのに、また業務領域を広げることにも抵抗があります。…とはいえ、もうブランクも長いですから、妥協してどこかに入ったほうがいいような気もしてきて…すごく悩んでいます。

今のやり方で、いいと思いますよ。「給与業務メインは嫌だ」という気持ちを隠してどこかに入社しても、続かないでしょう?小松さんが採用されないのは、おそらく相対的な理由が大半でしょう。小松さんより人事経験が長く、専門知識のある人に、競り負けているのだと思います。求人ニーズは着実に回復していますし、環境的には今までよりいいはず。応募し続けていればチャンスは必ずありますよ。

そうでしょうか…。

ただ、応募書類の構成は、少し変えたほうがいいですね。3割は書類通過しているので致命的な問題ではないのですが、少し改善すれば今よりも書類通過率が上がり、内定も近づきますよ。

これが原因!

「やってきたこと」を数多く羅列するだけだと「軸がない人」との印象を与える。「採用、教育分野」という明確なキャリアプランに絞ってアピールすべし

どこを変えたらいいのでしょう?

職務経歴の説明部分です。小松さんは、2社での業務経験を項目ごとに分け、実に細かく丁寧に説明していますね。例えば2社目では、正社員の採用、アルバイトの採用、入社後の面談、導入研修、社員向けの研修、社内報の作成…と分けてそれぞれに説明文を入れていますが、かなり長いし、項目が多すぎて軸が見えないのが難点です。この内容だったら、「採用」と「教育・研修」の2項目にまとめられるのでは?

採用や教育関係に幅広く関わっていたということが伝えたくて、細かく説明してみたのですが…。

前職でのご経験は2年弱ですよね。いろいろやっている→どれも浅いのでは?と判断される恐れがあります。その結果、比較的経験が長い1社目の給与経験に、人事の目が向いてしまっている可能性もありますよ。そもそも小松さんは専門分野を作りたくて2社目に転職されたんですから、採用、教育・研修の2軸にまとめてアピールしたほうが効果的ですよ。ちなみに、採用業務においての小松さんの役割、ポジションは?

アルバイト採用はメインで担当、ジャッジ権もありました。正社員採用は、課長とペアで担当し、一次面接には私も参加しました。

ならばそれをアピールしましょう。現状だと「応募者管理」「応募者対応」「面接の実施」などと書かれているだけですが、業務の説明だけでなく、どういう役割やポジションを担っていたのかまで伝えるべきです。その業務においてどれほどの権限や責任を持ち、仕事に臨んでいたのかが伝われば、小松さんの採用担当者としての立ち位置がわかり、活躍イメージを具体的に思い描くことができます。また、「応募者の管理、対応」という一文は取りましょう。アシスタント的なイメージが強まって損です。

なるほど…わかりました。でも「社内報作成業務」は残しておきたいのですが。結構な時間を割いて、採用と同じように力を入れていたので…。

そういえば、人事が社内報を作るのって珍しいですね。どういう目的で?

社内交流の活性化を目的としていたからです。全国に店舗がある流通チェーンだったので、店舗と本社、もしくは店舗同士の交流が、なかなか図れずにいたんです。社内報でさまざまな店舗、部署、立場の人を紹介することで、互いの仕事を理解することができ、コミュニケーションのきっかけにしてほしい…との思いで作っていました。

単なる社内報作成業務ではなく、「社内活性化」という人事としての目標を達成するための業務なのですね?ならば、その目標から説明しましょう。なぜ人事がこの業務に関わる必要があったのか理解できますからね。できれば、社内報を出す前と出した後の「before/after」を入れられるといいですね。

うーん、特に数字で示せるようなものはないですよ。

目的は「社内活性化」ですよね?それを成果として伝えるんです。例えば、社内報を出したことで店舗を超えたナレッジ共有が進んだ、とか。

なるほど…、それならば書けることはありますね。業績のいい店舗や、共有したいナレッジを持っている人を取材するので、社内報に載ることが店舗スタッフの一つの目標になったんです。「現場のモチベーションが上がった」との声が、数々の店舗から挙がってきました。

いいですね。ぜひそこをアピールしてください。「教育担当」としての立派な成果ですからね。

さっそく書き直してみます!

細かいことですが、まとめ直すときには見出しの文頭につけている「■」や「●」マークの使い方も見直してみてください。ちょっとしたことですが、読みやすさがぐんと上がります。現状だと、勤務先企業の説明にも、各社で担当していた業務の説明にも、同じ「■」マークがついていますが、企業説明と業務説明はレイヤーが違いますよね?職務経歴書は、読みやすさも重要な評価ポイント。例えば企業説明には「■」を使い、その下の階層である各社での業務説明の際は「●」や「・」を使うなど工夫してみてくださいね。


診断を終えて…

人事としての経験不足を少しでも補いたいと、さまざまな業務を書類に書いてアピールしていましたが、それが散漫な印象を与えていたのですね。希望の職に就き、専門分野を伸ばすためにも、軸を絞ってアピールし直します。(小松さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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