転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > マーケティング分野で成果を挙げてきたのに、書類通過がまだゼロ
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年6月9日
関根孝義さん |
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コンサルティング会社でITコンサルタントを務めた後、ネットマーケティング会社で事業企画を担当。その後、商社の経営企画を経てネットベンチャーに事業部長として転職するが、経営陣との方向性が合わず再び転職を決意。しかし書類選考を一向に通過できない。 | |
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関根さんは、コンサルタントから、事業会社に移られたのですね。
はい。新卒でコンサルティング会社に入り、ITコンサルタントを6年間勤めました。その後、事業会社で現場を見てみたいと思い、ネットマーケティング会社に転職。ターゲティングからリサーチ、分析業務を手掛けるかたわら、ビジネスプロデューサーとしてマーケティングソリューションの商品化やユーザーの会員組織化などの新規事業を企画し、立ち上げました。しかし、会社が別のビジネスで大きな損失を出したために経営が悪化、私が担当するビジネスの大幅縮小が決まり、今度は商社の経営企画職に転職したんです。
なるほど。(応募書類を見ながら)その後、また転職されているのですね。それが現在お勤めの、ネットベンチャーですか。
はい、そうです。商社時代の同僚が立ちあげた会社で、「営業マーケティングを任せたい。一緒にやらないか?」と誘われたんです。商社には経営企画として入りましたが、本当はマーケティングスキルを活かした仕事に就きたかったので、二つ返事で転職したんです。でも、それが間違いでした…。
何が誤算だったのですか?
元同僚である経営者との、意見の相違です。新しい営業ソリューションの販売を計画していたのですが、経営を早く軌道に乗せたい彼は見切り発車的に販売開始しようとしていて。ブランディングがようやく終わった段階で、これから本格的に営業マーケティングをかけようとしていたところだったのに、目先の利益に走ろうとしていることが理解できず、これは付いていけないなと。開発に携わったエンジニアだって報われませんよ。
なるほど、それで再び転職を考えるようになったのですね。
はい。メーカーやネット系企業の、マーケティング系の職種に応募しています。この3カ月で、30社以上に応募しましたが、恥ずかしながら1社も面接に進めていません。一体、何が原因なんでしょうか?
そこまで落ち続けるのは厳しいですね…。書類を拝見していて、致命的なミスはないのですが、敢えて言えば「ヘタな転職を重ねてきたな」という見方をされるかもしれませんね。2社目のネットマーケティング会社だけでなく、3社目の商社も、確か民事再生法を申請されていましたよね。
はい、私が入社して1年後に。だから同僚の誘いに乗ったという側面もあります。
うーん、だからなおさら「計画性のある転職をしていない」という印象を持ってしまうのでしょうね。腰を落ちつけられず、ウチに入社してもまたぱっとどこかに行ってしまうのではないか…と思ってしまう採用担当者もいるかもしれません。
そんなつもりは全くないのですが…。
では、「そんなつもりはない」ということを、もっと書類上でアピールしていきましょう。全体のまとめ方も、少し考えたほうがよさそうですよ。
どのようにまとめればいいでしょうか?
見直したほうがいい点はいくつかありますが、一番の修正ポイントは、「ネガティブに取られる表現を、前向きなものに変えること」です。
??…後ろ向きな表現、ありましたか?
例えば、コンサルティング会社を辞めて事業会社に移った理由。「ITコンサルタントの役割は、顧客のプラン実行のためのシステムづくりまでで、実際に運用まで関われないことにジレンマを感じたため」と書いていますよね。このお気持ちは事実なのでしょうが、「これができなかったから辞めた」ではなく「これがやりたいから次の会社に行った」という表現に変えるだけで印象はがらりと変わりますよ。今のままだと、一般企業の採用担当者だと、「思いやこだわりが強すぎる人では?組織に順応できる?」と不安に思う人もいるかもしれません。
決して後ろ向きなつもりはなかったのですが、少し表現を変えてみます。これで少しは、書類が通るようになりますかね。
関根さん、コンサルタントに戻る気はないの?
うーん…。業界内に知り合いは多いので、「戻ってくれば」との声も掛かってはいるのですが…。一度は飛び出した業界ですし、まだコンサル案件は少ないらしいのであまり面白い仕事ができるイメージが沸かないんですよね…。
コンサルティング案件の数は景気の波に対して若干遅行する傾向がありますから、まだ回復は緒に就いたばかりかもしれませんね。でも、環境が厳しい今だからこそ、事業会社でもまれてきた関根さんの経験が活かせるし、即戦力として評価されると思うのですが。
一般の企業は、難しいということ?
いえ、そんなことはありませんが、今までの転職パターンから考えると、なかなか決まらない状況が続いたら「入れる会社に妥協して入社してしまいそうでこわいな」と心配しています。次を失敗すると、さらに転職活動は難しくなりますからね。
…確かに、ないとは言えないなあ。
その点、コンサルタントに戻るほうが、未来につながる。今までの豊富な経験を活かして案件に臨めるし、またそこで新たな経験を積める。それを武器に、ゆくゆくは事業会社の経営幹部などを狙うことだってできるでしょう。もしコンサル案件が少なければ、自ら案件を取りに行ってファームそのものを大きくしていくことも、関根さんならばできるでしょう?この経験だって貴重ですよ。事業会社のマーケと、コンサルタント。二軸で考えては?
なるほど…。
事業会社に行きたいならば、書類の冒頭にある「職務経歴のサマリー」にもっと実績数字を書類に盛り込んだほうがいいですね。2社目のネットマーケティング会社ではソリューションを商品化したとのことですが、どのような観点で商品化を行い、どれぐらいの売り上げ・利益を上げたのか、会員組織化してどんな効果が生まれたのかもここに入れておきましょう。今の会社でも、いくつかのソリューションの販売実績があるようですが、関根さんが一から販路を築いたのですよね?どのような方法でブランディングを行い、どのようにして販路を築いたのか。そしてどれほどの利益を得ることができたのか。関根さんは責任ある立場におられたのですから、「売るために大事にしてきたこと、観点」と「その結果である数字」をセットでアピールすることが重要です。「商材が変わろうとこういう観点で考えたことで、各社で売り上げを上げてきた。だから御社でも実績を挙げられる」と冒頭で伝えれば、「売ってくれる人なら、とりあえず会ってみようか」と思う採用担当者が増えると思いますよ。
わかりました。アピールできる数字はいろいろあるので、もう一度整理してみます。
こうやってざっくばらんにお話をおうかがいしていると、関根さんは各社で、自社の商品に愛を持って接してこられたのだなと感じます。元コンサルタントならではの論理的な口調は、関根さんの個性だとは思いますが、面接のときは、どれだけ自社商品を愛し、それを広めるために有効な手立てを一生懸命講じたのか…という具体的なエピソードなどを交えると、関根さんの人間味がもっと伝わりますよ。
転職活動を見直すには、他者の視点が必要だとつくづく感じました。実績数字や方法論、具体的なエピソードの大切さも、指摘されると「やはりそこだったか」という感じ。事業会社とコンサルの二軸で、もう少し頑張ってみます。(関根さん)
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- 伊藤理子
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