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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。
ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/tensyokucoach

2010年3月10日

今週の相談者

転職回数の多さが影響?書類落ちが続き悩む事務系職種志望の小寺さんの場合

小寺都美子さん
(仮名・35歳)

プロフィール
派遣も含め今までに5社に勤務し、総務、経理、営業事務、営業企画など事務系業務全般を幅広く経験する。直近3社をいずれも会社都合で退職。昨年末に前職を退職後、事務職の求人に応募し続けているが、ほとんどが書類選考落ちとなっている。
現状
  • ・図らずも今回が5回目の転職活動。5社中、3社が会社都合の退職ではあるが、転職歴の多さが書類選考に影響しているのだろうか?
  • ・会社都合がここまで続くと、「私に問題があるのでは?」と敬遠されてしまわないか不安。できれば書類で触れたくないが…。
相談者:小寺さんDr.門野

診断スタート

直近3社は会社都合による退社。「私のせいでは?」なんて思われないか不安!

昨年末に、10カ月間勤めた会社を会社都合で辞めました。正社員の総務職で入社したのですが、急激な業績悪化を受けて、途中で契約社員に切り替えられ、年末に契約終了を言い渡されたんです。

それはひどい…。

実はその前と、さらにその前の会社も、会社都合退職なんです。1社は名古屋に本社のある会社で、東京支店の立ち上げメンバーとして入ったのですが、リーマンショック後の不況で急きょ東京を引き払うことになり、退職を余儀なくされました。その前は、社員数10人の小さな制作会社で、5年間事務として勤めたのですが、経営陣のいざこざで会社が分裂してしまい、最終的には会社清算となりました。

なるほど、不幸が続きましたね。

新卒で勤めた会社、その後短期間経験した派遣を含めると、転職回数は今度で5回になります。私としては、少なくとも3〜5社目は、「長く勤めて事務系のいずれかの分野でスペシャリストになりたい、これを最後の転職にしたい」と思って入社したのですが…。転職回数自体多いし、会社都合が3回も続いているので、私のほうに何か問題があると思われていないか不安です。

では応募書類を見てみましょうか。…定番の、編年体式の職務経歴書だけでなく、キャリア式のものも作ったのですね。

はい。今まで、営業事務、総務、経理、営業企画と、事務系職種を幅広く経験してきたので、キャリア別にまとめたほうがわかりやすいかと思って。

確かに、キャリア式だと、多岐にわたるキャリアをシンプルにまとめることができます。でも、小寺さんの書類を見ると、「職務詳細」のところに、「文書作成」「電話対応」みたいな細かい業務まで書かれているから、アシスタント的な印象が否めない。年齢の割にロースキルに見えてしまい損です。編年体のほうがいいと思いますよ。

でも、編年体だと会社ごとに職歴を説明することになるから、直近3社の「会社都合」が目立ってしまいそうで…。

お気持ちはわかりますが、事実は事実。隠したほうが人事は気になるものですから、書類の段階でちゃんと説明しておいたほうがいいですよ。職務経歴のまとめ方自体も、まだまだ工夫の余地がありそうですね。

これが原因!

ルーティンワークをアピールしても意味はない。自分ならではの経験を伝えるべし。
退職理由とともに応募書類の初めの段階で説明し、人事の頭にインプットしておこう

直近の会社の職務内容として書かれている「ベトナム現地法人の設立に関する業務」とは何ですか?

社長の意向でベトナム現法設立の方針が決まり、急に「現地での会社の作り方を調べて!」と無茶ぶりされたんです。総務として入社したのですが、社員数数十名の小さな会社なのでほかに担当者もおらず、関連知識などまるでない中、コンサルタント探しからスタートして場所探し、会社の登記、現地勤務社員用の労働ビザ申請など何でもやりました。ルーティン業務もこなしつつでしたから、ちょっとしたトラウマになるほど忙しかったですね(苦笑)。

すごい!そんな経験している人、なかなかいませんよ。それを「ベトナム現地法人の設立に関する業務」という1行で済ますのはもったいない!そういえば、その前の会社では、東京支社の立ち上げに携わったんですよね?

はい。名古屋本社の管理部門とやり取りしつつ、場所の選定、内装業者の手配、管理会社との交渉などから手掛けました。立ち上げ後は、支社全体の予算管理を任されていました。…撤退が決まったときはショックでしたね。思い入れがあったので。

こうしてうかがっていると、小寺さんは事務のルーティン業務だけでなく、ゼロから1を生み出す仕事が得意のようですね。そして、会社の無茶ぶりにも対応できる(笑)。ご自身が「今これをやるべきだ」と思ったら、領域外のことでも臆せずチャレンジできるタイプなのでは?

言われてみれば、そうかも。3社目の広告制作会社では営業事務の立場だったのですが、デザイナーの人手が足りなかったので、独学しつつ見よう見まねでデザインを組んだこともあります。最終的には、事務周りをこなしつつ、簡単なロゴデザインを手掛けるようになりましたね。

小寺さん、そこを前面にアピールしたほうがいいですよ!今の書類では、ルーティンの業務しかこなしていない印象です。事務系のスペシャリストを目指すならば、自分ならではのスペシャリティーをアピールすべきです。

でも…どう書けば?

レジュメのはじめに「自己PR」として4〜5行でまとめ、アピールしましょう。今まで事務部門のさまざまな業務に携わり、中でも何もないところから新しいものを作り上げること、やり切る力に自信がある…ということを、初めの段階で人事の頭にインプットしておくんです。何なら「無茶ぶり歓迎」と入れてもいいかもしれない(笑)。ベンチャーなど若い会社、頭が柔らかい会社限定ですが。こうすれば、この人なら何かやってくれそうだ、この人に任せれば安心そうだ…という印象を持ったうえで、書類を読み進めてもらえます。

会社都合の退職についてはどう書くべきでしょうか?

これも、自己PRの次に、簡単に「職務要約」としてまとめるといいでしょう。その際、ただ「会社都合による退職」と記すのではなく、「3社目のA社は会社分裂に伴う会社清算で、次のB社は業績不振による東京支店閉鎖で、直近のC社は業績の急激な悪化で…」とそれぞれにひと言説明を入れておくと納得感があります。自己PRと同様、「この人個人のせいで転職を重ねてきたわけではない」という事実をインプットしたうえで読んでもらえるから、転職回数の多さもさほど気にならなくなるはずです。

なるほど、そういうことも始めに説明しておいたほうがいいんですね。できれば触れたくないとすら思っていました。

5回もの転職回数は、確かに印象はよくありません。でも、気がかりなことこそ書類に書かないと、後々が厳しくなりますよ。書類で説明してあれば、面接に進んだときその記述内容をベースに話ができますが、書いていない場合はどこからどんな質問が飛んでくるかわからないから、聞かれたが最後、防御一辺倒になってしまう恐れがあります。

わかりました。早速まとめ直してみます!

今まではどんな会社に応募してきたの?

比較的小規模の会社の、事務系職種がメインです。小規模だと、例えば経理の募集であっても、総務や人事などほかの業務も幅広く携われそうですからね。そういうところのほうが、私の幅広い経験を活かせると思ったんです。

うん、その意見に賛成です。小さめの企業で事務系のさまざまな業務をこなしつつ会社の成長に貢献し、その中で一つ自分の専門領域を作る。とても筋が通っています。小寺さんはなかなか稀有な経験をされていますし、書類の構成を見直せば通過率は上がるはず。あとは臆せず、自分に自信を持って面接に臨んでくださいね。

診断を終えて…

書かなくていいと思っていたことが、実はアピールポイントだと気付かされ驚きました。関係ないと思っていたデザイン経験も、「必要な状況になったとき、たとえ未経験分野でも臆せず挑戦できる」とのアピールになるとは。書類のまとめ方、大幅に見直すべきですね。(小寺さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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