転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 編集・制作畑から、宣伝職の正社員を目指す
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年2月4日
梶原利恵さん |
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大阪の広告会社で営業を経験した後、広告制作業務に転身。その後、上京して出版社でIT関連書籍の編集に携わる。現在はマーケティング会社の契約社員として宣伝職に携わる。将来を考え、同じ宣伝職で正社員の道を探すが、ほとんど書類選考で落ちてしまう。 | |
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広告の制作現場でスキルを積みましたが、現在は契約社員としてマーケティング会社に所属し、客先であるメーカーに常駐して宣伝を任されています。その経験を活かして、宣伝職として正社員になりたいのですが、未経験でもないのに書類で落ちてしまうのはなぜでしょうか。転職回数の多さなのか、年齢のせいなのか…。
制作の仕事ではなく、宣伝職で正社員を目指しているんですね?
はい。さまざまなデータを分析して宣伝手法を考えることが楽しくて。長年、制作の現場にいましたが、これからは宣伝職としてスキルを積んでいきたいと思っています。
今の会社でも、やりたい仕事ができているんでしょ?転職しないとダメなの?
実は、私は離婚していて、小さな子どもがいるんですが、今の職場は忙しくて、帰宅が夜中の2時3時になることも多いんです。その中でも、会社側が配慮してくれて、少しでも私を早く帰宅させようとしてくれるのですが、子どものためにもある程度時間が規則的な会社に移りたいなと…。加えて、契約社員という立場なので、いくら努力しても今後の昇給は期待できません。今はいいのですが、将来の学費などを考えると、今のうちにもっと収入アップが見込める環境に転身すべきだと思ったんです。だから、時間が規則的だと思われるメーカーの宣伝職に的を絞って応募しているのですが、なかなか…。
それは切実ですね。では梶原さんの応募書類を見てみましょうか。…なるほど、今までの職歴をすべて書いているのですね。読みやすくまとめられてはいますが、宣伝職志望ならば、営業や制作経験のアピールは省略してもいいんじゃないかな。
職務経歴だから、すべてしっかり説明しなければいけないのかと思っていましたが、宣伝職の経験の説明をもっと厚めにすべきでしたね。
その通りです。あとは…うーん、この志望動機はちょっと弱いなあ。「経験を活かして、宣伝職としてスキルアップしたい。今後はマーケティングももっと学びたい」ってあるけど、採用する側から言わせれば、「当社に入ってどんどん活躍してほしいのに、『学びたい、スキルアップしたい』と言われてもなあ…」と二の足を踏みますよ。
そ、そうなんですか…。
応募する企業や職種に合わせて、志望動機を中心に応募書類を改良してみましょう。書類通過率が、今よりグッと上がるはずですよ。
今の応募書類だと、制作畑の経験が長いだけに「制作職」としてのイメージが強く残り、宣伝の経験が印象に残らないのが残念。そして、志望動機からは「あなたがどのように会社に貢献してくれるのか」が全く伝わってきません。メーカーの宣伝職に就きたいならば、もっと採用者側であるメーカーサイドの視点に立って、応募書類をまとめましょう。
なるほど…。
メーカーは、まず自社の商品を愛してくれる人かどうかを重視します。商品への熱意や理解が感じられないと、まず会おうとは思わないでしょう。そのうえで、現在の宣伝手法に問題意識を持てる人、「もし私だったらこう宣伝します」などの意見やアイディアが言える人を、採用したいと思っているはずです。
確かにそうですね…(メモを取る)。では職務経験はどうアピールすればいいでしょうか? 現状では、宣伝の仕事の一環として手掛けた制作物を紹介したり、関わったWebサイトのURLを添付するなどして、実績をアピールしているのですが。
制作物を並べるだけでは、実績のアピールにはなりませんよ。クライアントの要望のもとこのような戦略を立て、このように動いたら、これだけの数字が上がった…と、成果まで書き込んでアピールするべきです。URLだけが書いてあっても、普通、それをいちいち打ち込んでまで見に行かないよね?「私が関わったことでアクセス数が○%伸びたサイトです」と書けば、見てみようと思うはず。
確かに、そうですね。
関わったものの中で、応募先企業が扱う商品のターゲット層と近しいものをピックアップし、重点的にアピールするのもいいと思う。例えば「この商品の宣伝を通して、御社の○○がターゲットとする30代独身女性の行動特性について理解しています。だから御社に貢献できます」と伝えられますよね。
なるほど!さっそくメーカーの採用担当者の心に響くように作り直します!
僕、梶原さんには、もう一つ有力な道があると思うんです。せっかく制作としての実績が長いんですから、制作職としてさらに上流工程を目指してはどうですか?すなわち、いち制作担当者ではなく、プロジェクトマネジャー的な立場を目指してみては?もちろん、どうしても宣伝がやりたいならば別ですが…。
うーん、制作の仕事も好きなのですが、転職して、たとえ正社員になれても、勤務時間は絶対に不規則だと思うんですよ。そこがネックで…。
いやいや、帰宅が夜中の2時3時なんて、そうそうないですよ(笑)。どこに転職しても、状況は今よりは改善されると思いますし、給与UPも見込めるはずです。もし、同じ制作職で転職活動するならば、今までの実績を伝えつつ、どのようにクライアントとコミュニケーションを取って来たか、どのように原価管理をしてスケジュールをまとめ、アウトプットしてきたか…という、プロマネ的な素養を伝えましょう。
そうですね…もう一度、じっくり考えてみます!
書類の書き方は、本当に勉強になりました。今までの経歴を残さず伝えようとするあまりに、独りよがりな内容になっていたと反省しています。読み手の立場に立った職務経歴書に作り直します。応募先企業についても、再検討してみます。(梶原さん)
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- 伊藤理子
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