常にひとつ上の目標を持ち続ければ、乗り越えられる
そんなにイヤなら、今の仕事を辞めればいいと思うんですけど。でも、辞める勇気はないんですよね、きっと。どこの会社に行っても仕事はやらなきゃいけないし、楽な仕事なんて決してないから、結局どこへ行ってもやるしかないんですよね。
ただひたすらサッカーが好きでやってきた自分と、「仕事を愛していない」と言うあなたとの違いはありますが、共通しているのは、サッカーも営業の仕事も勝負の世界。成績を積み上げていくわけだし、大きなプレッシャーもある。自分も毎日トレーニングをするけれど、走らないで済むものなら走りたくないです(笑)。でも、トレーニングしなければ勝てないんですよね。仕事だって、日々努力しなければ結果は出ないはずです。
自分はいつも目標と夢を持って、全てを乗り越えてきました。中学1年で初めてクラブチームに入った時、同じチームに10歳以上年上のベテラン選手もいました。最初はその先輩と一緒に「試合に出られるようになりたい」って目標から始まって、次は「日本代表になりたい」、そして「ワールドカップに出たい」「オリンピックに出たい」「世界へ出たい」。そうやって常に目標を持ってきたから、つらいトレーニングも続けられたし、目標を達成すると心の底からやってて良かったと思えた。苦しいことを乗り越えた後は、必ず良かったと思う時がくるんです。
もちろん、思うように行かなくて落ち込むこともあったけど、そういう時は仲の良い友だちや幼なじみに話を聞いてもらって、励ましてもらいました。悶々としてる時って、聞いてもらうだけでもすっきりして、「明日から頑張らなくちゃ」って思えるんですよね。
自分に負けるなんて、悔しいし腹立たしい
営業の仕事でも、成績が上がれば上の役職になれるとか、お給料が上がるとか、もっといい会社に転職できるとか、いくらでも自分自身の目標を持てるはずですよね。仕事に対してモチベーションが保てないのは、自分に甘い部分があるんじゃないかと思うんです。きつい言い方かもしれませんけど、自分に負けることが悔しいとか、腹立たしいとは思わないんでしょうか。「成果主義に疲れた」と言うけれど、スポーツの世界でも結果を出すことで報酬があったり、次へもつながる。どの世界でも結果を出してそれが評価される仕組みじゃなければ、意味がないですよね。「プライベートがない」っていうのも、自分の周りのチームメイトなんて、みんなそうですよ。
目標をクリアするためには、犠牲を払わなければならないこともある。プライベートがないくらいは、何かを達成しなければならない時には我慢しなければしょうがないことだと思います。たとえば、自分を含め、アテネオリンピック前の北朝鮮戦で、「これで負けたらオリンピックに行けないのはもちろん、女子サッカーの存続も危うい」っていう、ものすごい危機感とプレッシャーでいっぱいでした。なのに、自分は試合の4日前に大けがをしてしまいました。それでもフィールドには絶対立たなきゃって思ったんです。そのことで身体が完全に元に戻らなくなったとしても、自分の夢や目標をかなえるためには仕方ないと。実際、肉体的にも精神的にもものすごい苦痛を味わったけど、だからこそ、五輪出場という自分へのご褒美もあった。目標を達成するためには、苦しいことがあっても当たり前だと思うんです。
目標に向けて頑張っても結果が出ない時は、自分に何か足りない部分があるからなんですよね。自分の短所を見つけて伸ばすことができれば、必ず結果は出るものです。自分も他の選手に比べて足りないところはあります。でも、「ここは絶対負けない」っていう部分もあるから、そこはひたすら伸ばしていけばいい。だから、他の営業の人と比較して、足りないところといいところをちゃんと自覚して伸ばせば、必ず結果はついてきます。