方向転換より現状維持で、できることを考えようよ
そりゃあ反対されるでしょう。「じゃあ、マジックで給料上げてみなさい」なんて奥さんに言われなかった?(笑)。本気で転職を考えるくらいだから、みんなにも褒められて、かなりマジックはうまいんでしょうね。
でもね、仕事は辞めない方がいいですよ。土日の週末だけ小銭を稼ぐつもりでマジシャンをやってみたらどうかな?ボクが率いる「おやじダンサーズ」も、みんな会社員をやりながら踊ってます。サラリーマンの彼らが踊ってるから面白い訳ですよ。メンバーの中に営業をやっているオヤジがいてね、ダンスのことを客に話すと仕事が取れるって言ってたなあ。うまい使い方でしょ?
新しいことを始めるとき、例えば結婚だって考え方は同じですよ。結婚する前に、わざわざお金をかけてどこかに引っ越そうとするから、うまくいかなくなっちゃう。どちらかの家に転がり込んだって結婚はできるんだし、最初は狭い部屋でもかまわないわけよ。かえって家賃は半分で済むしね。つまり、何事も大きく方向転換するんじゃなく、現状を維持しながら、できることを考えればいいんですよ。あなたもマジシャンとして“生計を立てる”んじゃなくて、今の仕事に役立てることを考えようよ。それができれば「面白いヤツいるぜ」って、評判になるんじゃないかな。
あなたの場合はさ、営業先でドアを叩いて、お客さんがドアを開けたときには、お客さんの後ろに立ってて「うわっ!」って驚かせなくちゃ。名刺を出そうとしたら名刺がぱっと消えちゃって、お客さんの頭から名刺が突然出てくるとかね。びっくりしたお客から喜ばれるか、怒鳴られるかのどちらかだよね。いずれにしても営業インパクトはばっちり。そのくらいになってほしいなあ。
二足のわらじでの相乗効果がきっとある
つまり、二足のわらじをはけってことですね。ボクなんか常に二足のわらじをはいてますよ。これをやっておけば役に立つ、何かを生む、と思うことはとにかくやっちゃうからね。いろいろやってるうち、一時期は自分でも何をやりたいんだかわからなくなったりしたけど、そのうちだんだんとやっていたことに関連する仕事が、自分に集まってくるんですよ。
ボクは音楽にダンス、パソコンもやった。ダンスひとつにしてもラテンからタップ、パントマイムといろいろ。事務所もつくった。今となってはどれもすべて役立ってますからね。たとえば、タップをするときのステージの床はどうするかとか、マイクはどうすればいいというのが、いちいちタップダンサーを呼んで聞かなくても、自分一人でできるわけです。
やってきたことに全く無駄はないんですね。しかも、そうやってマジックを頑張れるのだったら、営業だって頑張れます。きっと素晴らしい相乗効果があると思うよ。