若いうちにいろいろやると、自分のパターンが見えてくる
あなたがもし、親身になって喜ばれる接客が好きだと感じているとしたら、それが正当に評価される仕事って、他にあるのではないかしら。誠意を持って丁寧に仕事をするあなたの給料が少なくて、大勢の客を次々回していく人がたくさん給料を取るというのは、そういう人が求められてる職場だということなんですよ。
人間関係力をつくる自分の営業スタイルに自信があるのなら、完全歩合ではない接客業であるとか、顧客と一期一会のような仕事ではなく、リピーターが増える職場が向いているのではないかと思うのです。もっと視野を広げて、自分の能力が発揮される職場を考えてみてはどうでしょう。
ただ、私はあなたの話だけ聞いて、会社からの言い分は一切聞いていないので、あなたが空回りしてる可能性も否定はできないのです。でも、24歳で社会経験が浅ければ、それもしょうがないこと。恋愛も仕事も同様に、だいたい30歳頃までには自分のパターンが見えてくるものなんです。だから若いうちにいろいろなことをやってみて、失敗したらそのたびに何が問題だったのかを、自分で総括すればいいのです。
本当に運が悪くて能力が認められなかったり、相手が悪い場合が続くこともあるけれど、何度も同じ失敗を繰り返すようであれば、おそらく自分に問題がある。だから、今後自分の得意なことが活かされるような職場へ移り、そこでもあなたの好きなことや得意と思っていた営業スタイルが評価されなかったら、もっと自分を客観的に見つめてみることも必要になります。
「向いていること」には自信を持っていい
つまり、「好き」と「向いている」は違うということなんですね。向いている仕事を探した方がいいと、私は考えています。好きなことだと、自分のスタイルに固執しちゃう。ミュージシャンであれば「オレはこういう音楽をやりたいんだ」とこだわって仕事にならない、とかね。それは趣味に止めておいたほうがいいわけです。
私は文章を書く仕事をしていますが、お金をもらう以上は好きじゃなくなるものだと思ってます。仕事であれば締め切りは発生するし、書きたいことばかり書けるわけではなく、周囲からの期待や評価に揺り動かされることもしょっちゅう。得意なものであれ、好きなものであれ、仕事にした時点で責任が発生するので、イヤなことはたくさん起こるもの。私はただ、「向いている」んだと思うのです。
あとは、好きなことは突然、嫌いに転じてしまう可能性があるけれど、向いていることはそのための素質や能力があるので、突然向かなくなることはない。計算の得意な人が、いきなり計算できなくなることはありませんからね。だから、向いている仕事というのは自信を持っていいんです。若い頃は誰でも好きなことを仕事にしたいと願うけれど、それが本当に幸せかというと、そうじゃないと私は思います。あなたの「向いている」ことにも目を向けてみましょうよ。