一方だけの誤解はあり得ない
「誤解がある」というのは、1+1=3は正解でない、といった絶対的な間違いではなく、相手と自分がいる中での相対的な状態ですよね。ということは、上司に誤解されていると言うけれど、あなたも会社を誤解しているんじゃないだろうか。一方的にあなたが誤解されてるだけ、ということはあり得ないと思いますよ。
そもそも、組織には必ず存在目標や目的というものがあるので、それに対して、今やっている仕事が「目的に合っているか」「目的に合っていないのか」を考えることが必要です。万一、あなたが目的に合っていない仕事をしていて、それを誤解されていると感じるのならば、軌道を合わせる必要があるかもしれません。
それに、人間としては嫌いでも、仕事としてはいいパートナーという人はいると思うんです。でも、往々にして、その人の意見と人格を同一視してしまう傾向が多いですよね。特に日本では。会議で意見を言うと「その意見はおかしいと思う」じゃなく、「オマエはおかしい」となる。もしかすると仕事に対するやり方や考え方と人格の部分を、ごちゃ混ぜにしてる可能性がありますね。あなただけでなく、上司の方も。
別に上司と結婚する訳じゃないし、あくまでも仕事あっての関係。冷静になって感情と区別して考えるよう努力した上で、きちんとコミュニケーションを取ってみようよ。上司に理解されていない中で仕事をするのでは、いくら頑張っても意味がない。ヨットのレースにたとえると、凄い勢いでゴールと違う方向に進んでいるようなもの。だったら、まったく評価されないのと同じことだよね。
コミュニケーションは結果がすべて
ただし、上司とコミュニケーションをする時、心がけるべき事が2つある。まず、自分を理解してもらおうと努力すること。もし、上司の部屋に行って話すなら、「わかってもらえるまで部屋を出ない」くらいの決意と態度でもって臨むことです。「どうせわかってもらえない」と心の中で思いながら話しても、絶対に理解はしてもらえません。
もうひとつは、逆に相手を理解しようと努力することです。自分自身のことが伝わらない時は、相手の言っていることも無意識にシャットアウトしているもの。相手をわかろうとしながら話していると、不思議なことに、わかりかけた瞬間、頭痛がスーッと急に引いていくかのように、こちらを理解してもらえることがある。これは、僕も社内で経験しますよ。
そもそもコミュニケーションというのは、プロセスではなくて結果なんです。よく「コミュニケーション取ってるのか?」と尋ねると、「ちゃんと言いました」とか「ちゃんとメールしました」って答える人がいるんだけど、それは大きな勘違い。そんな答え方する人にコミュニケーション上手はいません。だって、「伝えた」というプロセスじゃなくて「伝わった」という結果が肝心なのだから。
伝え方や言い方に王道はありません。けれど、相手の理解度や立ち位置に合わせ、相手側の中に「理解した」という認識を与え、行動させる伝え方をしなければ意味がない。そう思いながらコミュニケーションしてみると、上司のことも少しわかるはずですよ。