意志を強く持って計画的に買うしかありません
僕は借金でさんざんな目に遭いましてね。最初に軽い気持ちで借りた300万円が、いつの間にか5億円以上になって自己破産。13年間、毎日続けたレギュラー番組を降板して、事務所もクビになって、いきなり仕事がなくなりましたから。しかもその後、脳梗塞で倒れたもんで、ずっと具合が悪くて、そんなに仕事もできないんです。まあ、借金のおかげで人生メチャクチャですわ。昔は骨董のコレクションにはまって、あなたと同様、我慢できずにカードで買っていたんですよ。1億円する骨董品も「何とか買えるんやないか」と幻想を抱いてました。今はお金を借りられないわ、体も言うこときかんわで、とても骨董を見る気にはなりませんけど。
コレクションに夢中になっていたころは、どこへ行ってもカモにされましたからね。ほしい物を見つけたら、自分の物にしてすぐ持ち帰りたいでしょ。お店の人はそこを突いて、「とりあえずツケでいいから持って行ってください」なんて、うまいこと言いはるんです。おまけに僕なんか知ったかぶりをしたくて、骨董のうんちくを話し出すもんだから、「いやあ、よくご存じで」とおだてられ、余計に買わされる。かたや高利貸業者というのは「毎月の金利だけ入れてくれれば大丈夫ですよ」みたいに、甘い言葉でお金を簡単に貸すんです。僕のような意志の弱い人間がコレクションにはまると、そうやって借金がみるみる膨らむんですわ。
それでも、自分の稼ぎの中からひとつの金融業者に借金返済しているうちは、まだなんとかなるんです。それが、別の高利貸業者から借りて返済にあてる状況になったら、もう手がつけられませんわ。利子だけで元金を超えていくし、相手はお金の貸し借りにはどんな手でも使うプロ。僕なんか知らん人たちの高額な保証人にさせられて、その借金まで抱えさせられましたから。じゃあ、ほどほどに楽しむにはどうしたらいいか。それは意志を強く持って「これだけしか使わない」と金額を決めて計画を立てるしかありません。そりゃあ、買い物の面白さは半減しますわな。でも、面白くなくていいんです。堅実に物を買って「ほどほど」に止めておくくらいが、ちょうどいいんです。
分不相応なコレクションをしちゃいかんのです
昔、手堅くコレクションをしている、お金持ちの人と一緒に買い物をしたことがありましてね。その人はカードを持たず、数十万円だけの現金を持ってくるんです。手持ちの現金以上の物は決して買わない。「なるほど、こうすると無駄遣いしないでコレクションも増えていくんだ、意志が強いな」と感心したことがあります。僕は金持ちでもないのにカードで借金を増やして自滅ですわ。分不相応なコレクションをしちゃいかんということです。
あなたも何の趣味かわかりませんが、コレクションの店にはカードを持っていかないとか、カタログやネットを見ないような環境にできたら、それが一番。当然、見たらほしくなるんですから。そして奥さんや恋人がいたら、買い物は必ず一緒に行って「やめときなさいよ」とブレーキをかけてもらう。「私もあれ買いたいわ」なんて浪費家の彼女だったらダメですけど。
そうは言っても、これは一種の病気みたいなもの。はまった人にしかわかりませんけど、コレクションが集まっていくのが嬉しくて、その分の借金も増えてることを忘れてしまうんですよね。こうなると一度、痛い目に遭わないと治らんのですわ。あなたもすでに高金利の借金が膨らんでいるのだから、買った値段よりうんと安くなっても、コレクションを売って返済にあてることだってせないかんのです。それなのに、まだ楽しもうと考えているくらいですから、痛い目に遭わないと目が覚めないでしょうね。まあ、かわいそうですけど…。