何も挑戦しなければ何もできないし変わらない
もちろん、お店を持つのは甘いものじゃないでしょう。でも、そんなことを言っていたら何もできないですよ。何も変わらない。好きなことをやりたいということと、それをお金にしていくことのバランスが絶対に必要だけど、好きなことを一生懸命やっているとお金は後からついてくる。問題が出たら、原価率を下げるとか、物理的な赤字を出さないように対策を考えるとか、その時に考えればいいんです。
自分の好きなことをやる、好きなことに挑戦し続けることって、僕に言わせれば最大のモチベーションだけどな。たった一度の人生なのだから、思い残したくないし、みんなで幸せになりたい。しかも、結果より大事なものがあるから、失敗ってことはないんです。修正すればいいだけなのだから。
好きなことを毎日やるのはつらいと思う? 好きではない仕事を毎日繰り返すことと比べたら全然違うでしょ。僕にとっては山に登ることや自転車に乗ることがそうで、あなたのお菓子作りも一緒だと思うよ。自転車って、僕が一番最初に知った冒険のツール。風を感じられるし、エコだし、そういうことをもっと広く知ってもらいたいと思ってる。車を運転するのも好きだったけど、仕事になるとつらかった。そこでの僕の価値観は「一番になること」にしかなかったし、成功をはかるのはお金でしかなかったから。
本当に好きなことは胸が熱くなって衝動があるもの
例えば僕にとっての山は、そういうタイムや順位が出る世界と比較するともっと抽象的で、生産性はないのに、またどうしても登りたくなっちゃうもの。そうやって本当に好きなことには、「衝動」があるんだよね。業でも欲でもいいから、そのことを通して充実感があった時に胸が熱くなるかとか、涙が出るかとかではかるものだと思うんです。もし、「営業で物を売り歩くよりはお菓子を売ったほうがいいや」くらいでやるんだったら本気で好きじゃないよ。だから問題は、本当にあなたはお菓子が好きなのか、自分のお店を持ちたい虚栄心からじゃないのか、ということだと思うよ。
一度きちんと自分と向き合って話をしてみて、本当に好きかどうか考えてみるといいですよ。そうすると、本当に好きなことは、いちばん最初に好きだと感じた原風景なんかを思い出して、鳥肌が立ったりする。それは嘘じゃないってこと。言葉にして箇条書きにできない感覚的なものなんだよね。
そうやって考えてみて、本当に好きだと確信したら、自分を信じて挑戦すべきだよ。失敗を失敗と思わないこと、失敗しても命は取られないよ。そこで好きだったらもう一度やればいいんだもの。世間体なんて気にしないで、軒先で小さくやるとか、軽トラックでやるとか、ネットで販売するとか、コストをかけない方法はいくらでもあるんだから。