デキるリーダーはなぜ「数字」に強いのか

『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマンです。そんな石川さんに「仕事が速いリーダー・仕事が遅いリーダーの特徴」について伺うこのコーナー。第5回目の今回は「数字に強くなる方法」についてです。

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「数字を読むこと」「数字に強くなること」がビジネスの世界において重要であるということは分かっている。
しかし「数字を読む」とは一体何を指すのか?
「数字に強くなる」にはどうすれば良いのか?

このような悩みを抱えているリーダーも多いと思います。
今回は、数字を読むという本来の意味と、数字に強くなる方法をお伝えします。

「メンバーが思うように動いてくれない」「上司への報告で、納得してもらえないことが多い」という方は、もしかしたら解決の糸口が見つかるかもしれません。

ビジネスに限らず「数字」の持つ力はすごい

まずは、数字で表すことが、いかに重要かということを、次の問題に答えて判断してみて下さい。
 
あなたはトンネルの中にいます。①と②のどちらにストレスを感じますか?

① トンネルの中は真っ暗闇で、出口までの距離が全く分からない(実は10m先が出口)。
② トンネルの先に光が射しこみ「出口まで残り100m」の表示がある。

いかがですか?
①の方が、もうすぐ出口なのに、②よりもストレスを感じるのではないでしょうか。
人は「分からない」「先が見えない」ことに不安やストレス、不信感を感じます

②は、数字で表すことによって、現在の状況も把握でき、出口までにかかる負担や時間が分かるので、トンネルを出るための対策を考えることもできます。

このように「数字」で表すことで、事実を具体的に伝えることができるのです。
ビジネスの社会においても、同じことがいえます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

そもそも「数字に強い」ってどういうこと?

数字は「共通認識」を持つための“武器”になります。
例えば、

「土日は平日よりたくさん売ろう」

とリーダーが号令をかけても、たくさんとは、平日の1.1倍なのか3倍なのか、捉え方によって人それぞれです。

では、次のように言い換えるとどうでしょう?

「平日の平均販売個数は80個でした。土日は1.4倍の112個を販売目標にしよう」

具体的な数字を入れることで、チームの「共通認識」に変わるのです。
「感覚」ではなく「事実」を元に現状を知り、社員全員の目線を揃える。そのために数字は、ビジネスにおいて欠かせない“武器”なのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

数字を「見る」と「読む」とは、どう違うのか?

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では、デキるリーダーは数字をよく「見て」いるのか?というと答えはNOです。

私が新卒で、配属されたのは建設会社の本社経理部でした。会社や同業他社の財務状況を頭に詰め込みましたが、それは「数字に強い」とは違います。単なる知識として、数字を知っているだけなのです。
デキるリーダーは、数字を「読む」ことができるのです。

では、数字を「見る」だけのリーダーと、数字を「読める」リーダーは、それぞれどう考えるでしょうか?

例えば、今後の新規に取引しようと考えている会社が1億円の黒字だとします。

【数字を見るだけの営業リーダー】
デキない営業のリーダーは「好調な会社だな」と判断します。

【数字を読める営業リーダー】
一方、デキるリーダーは「最終的には1億円の黒字だが、本業では5億円の赤字だ。以前から持っていた土地を売却したことによって6億円の売却益が出て、最終的に1億円の黒字になっただけだ。新規取引について慎重に考えよう」と判断します。

もう一つ、売り上げが減っている会社で何人採用するか考える場合はどうでしょう。

【数字を見るだけの採用担当リーダー】
例えば「売り上げが前年比10%減っているから採用者を3名減らそう」と考えるのがデキないリーダーです。

【数字を読める採用担当リーダー】
一方、「売上げが10%減っているが、少子化でこの業界では就職希望者が5%ずつ減っていき、オリンピックによる建設ラッシュもあるため人手不足になるから採用を3名増やそう」と、社会的背景なども踏まえて考えるのが、デキるリーダーです。

つまり、数字を一面ではなく多面的にとらえるスキルがあることで「数字が読める」「数字に強い」リーダーになるのです。

数字が何を意味するのかなど、数字にある背景を読み取り、メンバーに伝えるのがリーダーの役割です。

数字に強くなる、たった1つの方法とは?

では、どのようにして「数字に強く」なることができるのか?
普段から数字に「置き換える」クセをつけることです。

●買い物に行ったら、そのお店の営業時間や従業員の人数、敷地面積、商品売価などで年間売上高を予想してみる。

●レストランに行ったら、厨房の大きさ、席数、スタッフの数、回転率を読んで1日の売上高を推測してみる。

●報道番組で合格、不合格や賛成、反対などの比率で数字が報道されているときは、人数や分子/分母など多面的に考える。

大事なのは、1つの数字を「いろんな角度」から分析することです。

その数字はどこと比べて大きいのか、小さいのか。時間や時期はいつの数字か。単位を変えたらどうなるか。ターゲットを変えても同じ結果か…など、様々な観点から数字を意識しましょう。

数字に強くなるメリット

日頃から数字で考えるクセをつけていると、コミュニケーションにおいても数字で伝えるスキルが身につきます。曖昧な表現が少なくなり、誤解を生むことや、ミスが減ります
また数字に強くなるということは、過去の状況を数字で分析し、未来の予想や目標を数字で明らかにすることです。それにより経営感覚が磨かれます。さらに数字で表すことは、社員全員に共通した認識を得ることができるのです。

【プロフィール】
石川和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。
大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。
『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)は16刷中ほか、勉強法、時間術など3冊のビジネス書を出版している。
石川和男 公式サイト http://ishikawa-kazuo.com
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