社会人になって、会議や打ち合わせの多さに驚いた人は少なくないと思います。会議や打ち合わせのとき、若手は議事録の作成を求められることがあります。議事録を読むのは大抵、上司かクライアント。そのため、上司や取引先、さらには会議に参加しなかった人でも、話し合われた内容や決定事項をひと目で理解できる議事録を書く必要があります。では、どうすればわかりやすい議事録を書くことができるでしょうか?今回は、ポイントを押さえた、わかりやすい議事録を書く方法をご紹介します。
必要事項を確実に!議事録の基本
議事録の書き方を先輩が懇切丁寧に指導してくれる場合はいいですが、過去の議事録を参考に書くよう指示されるだけという会社も多いと思います。では、どう書けばいいのでしょうか?まずは、書き方の基本についてお伝えします。
●議事録の目的
目的は「情報の共有」です。会議に参加できない上司やクライアントがいても、議事録を読めば、打ち合わせ内容や決定事項が簡単に理解できるように書くことが大切です。特にクライアントとの会議の議事録は契約書のような扱いになり、決定事項を口約束にさせない効力を持ちます。曖昧さを排除し、わかりやすさを意識しましょう。
また、「誰が何を発言したか」を明確にすることもポイントです。そうすることによって、時間が経過しても、「言った、言わない」のトラブルを防ぐことができます。
●議事録の基本フォーマット
会社によって多少の違いはありますが、一般的には下記の順にまとめるのが良いでしょう。
- 会議名
- 開始日時と終了日時
- 開催場所
- 出席者(クライアント同席の場合は役職名を付け、役職が上の人から記載)
- 会議の趣旨や目的
- 決定事項
- 会議の概要と発言者の名前
- 補足
●議事録の見本例
基本フォーマットを踏まえた議事録の見本例を下記に記載しますので参考にしてください。
■会議名 :9月公開映画『ABC』の宣伝プロモーション計画【第1回】
■日時 :5月14日(月)15:00~15:30
■場所 :F社様第一会議室
■出席者 :F社様 鈴木部長、守屋次長、佐々木主任
E社 時田、河野、木本、飯田(議事録作成)
■目的 :『ABC』のパブリシティ戦略策定
■決定事項:
・テレビ、新聞、雑誌、Webの中で映画のコンセプトに合致した媒体にのみ、映画紹介を目的とした主演女優Gのインタビューを取り上げてもらえるようE社がプロモーションをかける。
・ただし、民放のバラエティ番組、男性向け雑誌は除外する。女性誌の場合はクオリティと読者層で、Web媒体についてもクオリティやPV数で判断する。
・人物にフォーカスした民放のドキュメンタリー番組『H』にGの出演を交渉する。
■会議の概要:
【Gの稼働状況について】
・久しぶりの主演映画ということで、Gの事務所も力が入っている。公開時の全国キャンペーンにも協力してくれるとの約束を取り付けた。(鈴木部長)
・ただしGのイメージ戦略で、出演する媒体のクオリティは厳しくチェックするとのこと。どの媒体に出演するかは担当マネージャーではなく、事務所の高木社長が直接確認するようだ。(守屋次長)
【パブリシティの開始時期と方法】
・E社は5月20日までに媒体候補を選出し、F社様に提出。Gの事務所チェックを経た後、6月1日から各媒体へのプロモーションを開始する。6月中は週次でF社様に進捗を報告する。番組『H』のプロデューサーとは懇意にしており、今回も内々で打診済み。(時田)
・Gのインタビューだけでなく、原作者Jとの対談企画も積極的に展開したい。Jの許可は取れていないが、当代きっての人気作家なので実現すればPR効果は高い。Jへの稼働オファーも6月1日から行う。(河野)
■補足
・宣伝プロデューサーは時田が担当。F社様とE社のやりとりは、守屋次長と時田が行う。
以上
実践!議事録作成のポイントを押さえる
議事録を書くときのポイントをお伝えします。
●フォーマットを統一する
会社ごとにそれぞれ議事録のフォーマットがあると思います。フォーマットに沿って過去の議事録を参考にしながら書けば、必要な情報の抜け・漏れを防ぐことができ、作成時間も短縮できます。文章のトーンや語尾だけでなく、余白も統一させましょう。
●24時間以内に提出する
会議中になるべく多くの発言内容をメモしておき、終了後1時間以内にポイントをまとめ、作成するのがベストです。慣れないうちは先輩や上司にチェックしてもらい、遅くとも24時間以内にはクライアントに提出するようにしましょう。ICレコーダーに録音しておいて、聞き漏らしたところを確認すると確実ですが、文字おこしをしていると24時間以内に提出できないおそれがあります。
●5W1Hを意識して書く
議事録を書く際は、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」という5W1Hを意識することが基本です。5W1Hを網羅した上で簡潔に書くことを心掛けるだけで、読みづらさがなくなり、自然にポイントを押さえた議事録になります。
もう一つ重要な点は、決定事項だけでなく、そこに至るまでの経緯もわかるように書くことです。議事録の目的は、出席者だけでなく、参加できなかった人も含めた関係者全員が、誤解なく会議の内容を理解し、決定事項を共有することです。そのためには、なぜそういう決定に至ったのか、経緯をわかりやすくまとめましょう。
さらに有意義な議事録にするための書き方とは
さらに議事録を有意義に活用するための書き方には、ポイントがあります。
それは、決定事項だけでなく、保留事項や検討事項についても記載するとともに、保留事項の期限と担当者を明示しておくことです。会議中にすべての課題に結論を出せれば理想ですが、実際には懸念事項がいくつも浮上したりして、なかなかうまくいかないものです。そこで、保留事項または検討事項の項目を設けて、次の会議までに解決策や別案の提示を促します。
例えば、上記の見本例のケースなら、Gの相手役の男性俳優Kについても一緒にパブリシティに協力してもらいたいものの、スケジュールの関係でほとんど稼働が見込めないとします。そういう場合は、
■検討事項:
・Kのスケジュールをどう押さえるか。(担当:河野 期限:6月20日)
→Kの事務所を説得したが、6月から8月までは別の映画の海外ロケで忙しく、NGと言われた。公開直前の8月下旬だけでも稼働してもらうべく、引き続き事務所を説得する。
などと記載します。期限が近づいても実現可能性が低い場合は、次回の会議までに別案を用意することが大切です。検討事項の担当者と期限を明確にし、それを議事録に記載することで、責任の所在が明らかになり、次回の会議が意味あるものになります。
議事録作成は自分をアピールする絶好のチャンス!
若手社員にとって議事録の作成は、上司に自分をアピールするチャンスになります。上司に「誰か議事録を書いてくれる人?」と聞かれたときは、自ら進んで手を挙げるのが良いでしょう。議事録をまとめるためには、会議の内容を理解し、簡潔な文章でポイントを押さえることが必要です。その能力は他の業務にも役立ちます。優れた議事録が書ければ、上司や先輩から認められ、自分自身のキャリアアップにも役立つことでしょう。
監修:リクナビネクストジャーナル編集部