読書とビジネスが結びつく?! 仕事に活かせる「読んだら忘れない読書術」5つ

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 皆さんは「本」を読んでいますか? 「忙しくてそんなヒマはない」という声も聞こえてきそうですが、読書は仕事効率の向上や自己成長にもつながる大切な行為です。そこで、15万部を超えるベストセラーとなった「読んだら忘れない読書術」(サンマーク出版)の著者・樺沢紫苑さんに、読書とビジネスがなぜ結びつくのか。また、仕事効率までアップしてしまう、とっておきの読書術を伺いました。

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▲「読んだら忘れない読書術」(サンマーク出版)の著者・樺沢紫苑さん

「料理の鉄人読書術」で仕事ができる人になろう

 ビジネスパーソンになぜ「読書」が必要なのか。まずその点を理解していただくために、私がビジネスパーソンにもっともオススメしたい「料理の鉄人読書術」をご紹介します。

 「料理の鉄人」というテレビ番組を覚えている方は多いでしょう。料理の鉄人と挑戦者がキッチンスタジアムを舞台に戦いを繰り広げるもので、わずか60分の間に、4~5品にも及ぶ素晴らしい料理を完成させる番組です。いくら凄腕の料理人といっても、60分という短い時間の中で、審査員をうならせる素晴らしい料理をつくることは簡単ではありません。では、なぜ鉄人たちはそれができたのか? 料理人としての腕ももちろんですが、新鮮な肉や魚、野菜などの食材が、キッチンスタジアムに並んでいたことも大きな理由です。当たり前の話ですが、食材がなければ“買い出し”から始めなければいけませんからね。

 では、これをビジネスに置き換えてみましょう。もしあなたが上司から「この書類を明日までにまとめておいて」と言われた時、必要な資料や情報があらかじめインプットされていて、頭の中で整理できていれば、すぐに仕事に取りかかることができますよね。しかし、上司に言われてから関連資料や書籍を当たったり、注文したりしているようでは、期日に間に合わせることは難しいでしょう。

 つまり、ビジネスパーソンは、自分の仕事や専門に関する大量の知識や情報が整理・陳列されている“キッチンスタジアム”を普段からつくっておく必要がある。そして、そのために有効なものが「読書」なのです。仕事ができる人というのは、普段から先回り発想で読書をしていて、さまざまな物事をリサーチしたり、情報をマメに集めているものです。そうして頭の中に“キッチンスタジアム”を構築しておけば、急な仕事の依頼にもすぐ対応できますし、せっかくのチャンスをみすみす逃してしまうことも避けられます。

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読書は「時間の節約」につながる!?

 読書は「時間の節約」にもつながります。「どうして?」と思われる方に質問です。皆さんは会社や自宅の住所の入力が必要な場面で、住所をどのように入力していますか? 毎回一文字ずつタイピングしたり、どこかに記載されている住所を探してきてコピペする、なんて人も少なくないのではないでしょうか。しかし、PCの「単語登録機能」を使えば、無駄な手間暇をかけずに、瞬時に住所を入力することができますよね?

 こうした機能は当たり前になりすぎていて、人から教わることはなかなかありません。しかし、PCの入門書などでは紹介されていることが多いものです。つまり、住所入力に割いていた無駄な時間を節約する知識が、「本」の中にはまとめられているといえます。

 いまは「検索の時代」ですから、インターネットで自分が知りたい情報を簡単に手に入れることができます。ただし、ネット情報は断片化されていて、知識の一部分を知ることができても、物事の全体像を順を追って体系的に学ぶことはなかなか難しい。また、自分自身の欠点や課題に気付いて自己成長したいと思ったり、物事をもっと知りたいという意識を持たない限り、「検索」で新しい発見を得られることはありません。

 「ネットはダメ」というわけでは決してなく、大切なのは、ネットなどで得られる「情報」と、「結晶化された知識」の両方をバランスよく摂取することです。

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仕事に読書を活かすには「アウトプット」がキーワード

 では、どんな読書術が仕事に活かせるのか。「読んだら忘れない読書術」では、キーワードとして「アウトプット」を挙げていますが、これをビジネス書や仕事で必要な資料などを読む時に意識することで、「記憶に残る読書」ができるようになり、仕事の効率アップにもつながります。

●「マーカー読書術」を実践する

気になる一節、気づきの一節に蛍光マーカーでラインを引いてみましょう。また、疑問点などを余白にドンドン書き込むこと。これにより脳が活性化し、記憶に残りやすくなります。ただの文字が並んでいる言語情報よりもビジュアル的な視覚情報のほうが、6倍記憶に残りやすいという研究結果がありますから、ラインを引いたり書き込みをしたりしたビジュアル的なページを見ることは、より深く記憶に残すことにつながるのです。

●本の内容を話す、勧める

読んだ本の内容を、意識的に人に話すことも有効です。その際は、単純に「面白かった」というのではなく、具体的にどこがタメになったのか、自分が気づきを得た部分などを頭の中で整理しながら伝えてみましょう。部下や同僚とディスカッションできれば、より理解も深まります。また、複数の切り口で人に勧められるよう意識してみてください。それにより、内容を深く読み込んでいく能力も養われます。

●「名言読書術」で記憶を強化

「名言読書術」とは、読んだ本の中で、自分が一番と思った名言を選んでSNSに投稿するというもの。読書感想文を書くことは難しいですが、これなら気軽に実践できますし、自分が響いた言葉を「書き写す」ことで記憶も強化されます。「この言葉もいいけれど、こちらも捨てがたい」というふうに、迷うことが考えることにもつながりますから、一冊の本の中で3つくらい挙げられるといいでしょう。

●速読や多読ではなく「深読」を意識する

本や資料の内容を深く理解するためには、「深読(しんどく)」を意識してください。「速読」や「多読」という言葉がありますが、読書のスピードにとらわれたり、たくさんの本を読むことが目的になってしまうと、自分の血となり肉となるような読み方ができなくなり、自己成長にはつながりません。一冊一冊、良い本を大切に読むことが重要です。

●睡眠の力を活用する「熟睡読書術」

寝る前の読書は、昼間の読書に比べて記憶に残りやすいといわれています。寝ている間に新しい情報のインプットが行われず、“記憶の衝突”が起こらないためです。また、睡眠には頭の中を整理する役割がありますから、寝る前に仕事の資料などを脳にインプットすると、朝、目が覚めた瞬間に問題解決法が浮かんでくることもあります。さらに、読書には睡眠を深くするリラックス効果もあります。仕事に全力で取り組むためにも、寝る前の読書はとても有効なのです。

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樺沢紫苑(かばさわ しおん)氏/精神科医・作家。
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを駆使して、累計40万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識や情報をわかりやすく発信している。「日本で最もインターネットに詳しい精神科医」として、メディアにも多数出演。著書に「読んだら忘れない仕事術」「メールの超プロが教える Gmail仕事術」(いずれもサンマーク出版)、「もう時間をムダにしない! 毎日90分でメール・ネット・SNSをすべて終わらせる99のシンプルな方法」(東洋経済新報社)、「頑張らなければ、病気は治る」(あさ出版)など多数。公式ブログ http://kabasawa.biz/

EDIT&WRITING&PHOTO:成田敏史(verb)

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