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「それ俺の仕事じゃないし……」分業が、あなたとチームを破壊する!?

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Photo by JD Hancock

 

 こんにちは!はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」管理人のwiz7と申します。普段はWebサービス関連の仕事をしています。

 僕はプログラム開発から企画寄りの仕事まで、様々な工程を経験してきたのですが、今日は僕がいろいろ見てきた中で考えた、仕事の「担当分担」と「組織のあり方」について書いてみようと思います。

 

■ 分業が組織を作り、分業が組織を壊す

 チーム・組織内の指揮系統を明確化して、担当割りを決めることは、業務を遂行する上でとても重要なことです。

 これがないと、みんなが「あ、やべ、このタスクは誰かがやると思っていた……」と、完全放置され宙に浮いてしまったり、逆に、必死に仕上げた仕事を、実は他のメンバーが既にやっていた……「マジかーい!早く言ってよ!(あ、俺もか?)」などという状況に陥りかねません。

 組織の統制が取れず、各メンバーもどこに向かって進めばよいかわからず、迷走することになります。マネジメントする立場からしても、誰が何を担当しているかを把握できていなければ、指示やサポートをするのも困難ですよね。

 逆に、自分の担当が明確であるが故、仕事を進める中で「それ俺の仕事じゃないし……」って考えること、よくありません? 極端な話、自分にアサインされた仕事さえしっかりこなせていれば、自分の責任は果たせているという認識のもと、チームがどうなろうとも、自分の責任ではないのでスルー!面倒くさいし!という考え方です。

 担当外の仕事だけれども、自分が少しサポートするだけで劇的に改善することを認識していながら「見て見ぬフリ」。実はこの考え方、組織は元より「あなた自身」にも大きな不利益がある、とっても怖い考え方なんです。

 

■ 「見て見ぬフリ」が、あなた自身にもたらす不利益とは?

 自分の担当範囲にこだわり「線引き」をしてしまった場合、あなた自身にどのような問題が生じるのか、考えてみましょう。

 大きな問題として下記の2点、「スキル」と「人間関係」が挙げられます。

 

  1. 身につくスキルが浅く・狭くなる

     自分の担当領域に閉じた形でしかスキルが身につかなくなってしまう、という弊害が生まれます。一方、常に周囲を意識して仕事を進める人は、自分のタスクをあくまでも「全体の中の」1タスクとして捉えられるため、周囲との繋がりを含めた血の通った経験として、自分のモノにすることができるのです。

  2. 人間関係が狭まり、ヘルプも受けられなくなる

     詳しくは後述しますが、自分の仕事は自分が想像する以上に周囲から見られているため、日頃あなたが「見て見ぬフリをしている」ことは、誰もが知るところとなります。よって、いざ自分が困った際にも「本来得られたであろうはずのヘルプが得られない」という事態にもなりかねません。

     タスクを自分で制限してしまっていることで、結果的に日頃の周囲とのコミュニケーションの幅も制限されるためです。

 

 以上のことからも、あなたは一人でこの世に存在しているのではなく、人とのつながりの中で存在している、という強い認識が必要なのです。これは会社員に限らず、個人事業主・自営業者でも同様、いや、むしろそれらの方々の方が重要かもしれませんね。

 日々、周囲で様々な問題が発生しているかと思いますが、社内で起きていることで自分に無関係な話など1つもない、という認識を持つべきなのです。あるのは、関連の程度が「強いのか、弱いのか」という違いのみとなります。

 一見、自分の仕事と関係が弱そうなものであっても、意外なところで深く繋がっていたりすることが往々にしてあるので、常に全体を俯瞰しながら仕事を進める必要があるのです。

 

■ 「担当」はあくまでも「基本領域」

 なので、あるべき姿として、自分の担当となる基本領域を明確化し、その上で状況に応じて柔軟に役割を変化させることが必要になるわけです。そこで一番必要となるのは、周囲とのコミュニケーションです。

 どんなに些細な問題でも、随時会話を交わし、常に最新の情報を共有しておく必要があります。そうしないと冒頭に述べたタスクの漏れや重複が発生してしまうためです。

 この場合、朝会などの定例ミーティングだけでなく、日中のコミュニケーションが生命線となります。少しでも会話するのが億劫だ、と感じ情報共有を怠ってしまうと、とたんに歯車が狂い始めてしまい、実現のハードルは高いものになります。

 このようなフレキシブルな体制は、難易度が高くなる分、実現できた場合のリターンも大きなものとなると経験上、確信しています。

 特殊な例にはなりますが、僕が実際に経験した、技術と企画営業の混合型チームの話を紹介します。

 

■ サービス開発には企画も技術もない

 「技術メンバー(SE経験アリ)」と「営業・企画メンバー(SE経験ナシ)」によって、多くのメンバーを管理するプロジェクトにアサインされた時の話です。当時、技術(兼プロジェクトリーダー)としてアサインされた僕は、幸いにも裁量を与えられていたため、まず「技術」と「企画」の垣根を外すところから始めました。

 サービス開発は「どのようなサービスを作るか?」という営業・企画のフェーズから、実際に「ものづくり」である技術寄りのフェーズに移行していくのですが、どのようなサービスを実現させたいか?について検討する際には必ず技術的な観点が必要になるので、サービスを作るのに企画も技術も本来関係ない、と考えていたためです。

 技術メンバーは企画検討にもガンガン入るし、企画メンバーにも技術的な話を大まかなレベルで理解してもらう、といった形ですが、あくまでもベースとなるのは自分の担当です。担当領域を軸に、状況に応じて高速で役割をスイッチしていたのですが、ここで痛感したのはやはりコミュニケーションの重要性と、その難しさでした。

 タスクの量もそれなりにあったので、密に連携を取らないと「誰かがやると思っていた」「同じことをやってしまった」に陥ってしまうんですよね……。

 役割をスイッチしていたメンバー自体は少人数だったということもあり、実際にはそのような事故はほぼ起きませんでしたが、それまで経験した中で最も情報共有に気を使ったプロジェクトでもありました。ただその甲斐あって、この柔軟なチームのおかげで規模の割に大した不具合もなく、サービスイン(=世の中に公開)させることができたのでした。

 

■ 自分の評価を高めるため、意図的に「ブラックボックス化」を企てる人たち

 情報共有の重要性について、少し極端な例で考えてみましょう。

 周囲への情報共有を意図的にストップし、自分の担当業務を「属人化・ブラックボックス化」しようとする人を見かけることはありませんか?「この仕様は○○さんに聞かないと誰もわからないな」「やっぱり○○さんが一番詳しいね」といった状態を意図的に作り出し、自分の評価・価値を高めようとする人たちです。

 確かに、組織の中で生き残り評価を勝ち取るためには、戦略的に動く必要もあるでしょう。しかしこの方法って、本当にあるべき姿なのでしょうか? もしあなたに少しでも心当たりがあるのであらば、即刻止めることをオススメします。

 理由は主に、下記の2点です。

 

  1. 上司や同僚たちは、自分が想像する「5~10倍」程度、自分の仕事・働き方を見ている

     10倍って!? 少し大げさに感じるかもしれませんが、誇張しているわけではありません。よく「他人は、自分が考えているほど自分のことを気にしない」と言われますが、それは日常生活に限った話で、仕事は別です。厳密には、あなたのことを気にしている、というより「あなたが持つ仕事と、その回し方」を気にしている、ということなのですが。

     なので、「属人化作戦」は思いっきりバレてると思ってよいでしょう。マネージャーからするとその作戦は「迷惑・妨害行為」でしかないのです。評価が欲しいのに逆に評価が下がる、という皮肉な結果が待っています。

  2. 積極的な情報共有が、結果的に強力なアピールになる

     自分の働き方が見られるのは、マイナス面だけでなくプラス面でも同様です。情報を積極的に展開していれば、その姿勢がおのずと周囲から注目されることになるので、結果的に強力なアピールになるのです。

     全体を俯瞰し、チームのことまで配慮する姿勢はチーム全員にダイレクトに伝わります。これが健全な処世術です。

 

 極端な例でしたが、情報共有をないがしろにして良いことは何もない、という話でした。

■ なぜ「見て見ぬフリ」が加速するのか?

 次に、「見て見ぬフリ」が横行する原因と対策について考えてみましょう。原因は2つあり、1つは「余裕のなさ」、もう1つは「減点評価に起因する保身」です。

 自分の仕事で手一杯、他メンバーやチームのことまで気が回らない!というのは、もっともな話です。しかし、周囲に注意を払ってお互いにアドバイスし合う程度であれば、時間をかけずにできるのではないでしょうか?必ずしもタスクを引き受けて手を動かす必要はないのです。

 例えば、自分の担当作業を進める過程で、ちょっとした気づきが得られた場合に、翌日の朝会で「みなさん、これってどうでしたっけ?」などと発言し合うだけでも、チームの空気は全く違ってきます。それがきっかけで新たなタスクがアサインされそうになれば、今は受けられない旨をハッキリと伝えればいいだけです。難しく考える必要はありません。

 とはいえ、「見て見ぬフリ」を加速させるもう1つの要因として、組織の行き過ぎた「減点評価」も、根底にあるかと思います。下手に担当外の領域まで手を広げて、何かミスをして評価が下がったら――。こう考えたら恐ろしくて誰も動けませんよね。ここで必要になるのが、マネージャーによる「仕組み作り」です。

 チーム・組織内への周知徹底と、文化の醸成。口だけでなく、実際にマネージャーがアクションを起こす必要があるわけです。担当外の動きに全く興味を示さない態度には、能動的なアクションを促し、積極的に攻める姿勢に対しては、失敗を含め高く評価する姿勢を継続します。そうすることで、文化を作り上げるのです。

 「評価」と一言でいっても、給与だったりポジションだったり望む仕事だったりと、様々な形があり得ますが、次に具体的な「日常での評価方法」について考えてみましょう。

 

■ プロジェクトはうまくいって当たり前? 理想の組織づくりとは

 ここで少し、IT業界におけるプロジェクトを例に話をさせてください。

 世間一般のプロジェクトでは、問題が発生すれば、「何が起きた!原因は!いつ直る!類似の問題は他にはないか!『なぜなぜ分析』はやったのか!根本原因の解明!再発防止策は!」などと、怒涛の追求が始まったりします。

 問題なくサービスインして当たり前という前提のもと、システムは動いているので、当然だと言えば当然なのですが、普段は何も言わないマネージャーが打ち上げの席でだけ「いやー、今回はよくがんばったね!よかった!」という光景を、よく見てきました。

 成功して当たり前、問題が発生したらマイナスポイント。これって典型的な減点評価に似てません?

 やはり「見て見ぬフリ」の話と同様、評価する文化を作る上で、マネージャーには日常の中で「評価のフィードバック」を行う力が必要なのだと僕は考えます。評価と言っても堅苦しいものではなく、端的に言えば、良いものについて「イイネ!」と言い、「君が必要なんだ!」と伝える力です。

 そこで一番必要となるのが「褒める力」です。口で言うのは簡単ですが、これがまた難しいんですよね。

 心にも思っていないものについて頭で計算して褒めたとしても、一瞬で見透かされてしまいますから、心から「素晴らしい!イイネ!」と思ったもの限定で褒める必要があります。

 個人差があるかもしれませんが、僕は比較的「コレ良いじゃん!」と思ってしまう単純なタイプなので、それほどは苦労しないのですが(メンバーがどう思っているかは、また別の話ですが……)、人によってはなかなか心から褒められない、難しい、という人も多いかもしれませんね。

 そういった褒めることが苦手な人は、日頃から「人の良いポイント」に目を向ける習慣を持つと良いかもしれません。とはいえ、やたらめったら褒めてもウソっぽくて逆効果ですし、褒められると天狗になってしまう、面倒クサイ人たちもいるので、簡単な話ではありませんが……。

 

■ やっぱり、さいごは「人」

 担当割も組織も、そして仕事そのものも、すべて人から成り立っています

 「コミュニケーション」という言葉、至るところで見聞きしますよね。この記事中でも何度か使用しているこの言葉、ありきたりのフレーズに聞こえてしまうので、あまり使いたくないのですが、やっぱり最終的には「コミュニケーション=人」が全てなのです。

 人と人とのコミュニケーションが仕事の成果の9割を決めるのです。これに職種・業種は関係ありません。

 成果・報酬を得ることだけが仕事の目的ではないと、僕は思います。自己実現、やりがい、それもあるでしょう。

 

 ただ、それ以上に。

 人とぶつかり、人と笑って――。

 

 人生の最期に仕事を振り返ったとき、思い出されるのは結局そういうことなのかな、と、最近はそんなことを考えてます。

 日々、やわらかい組織で、面白く、楽しく仕事ができたら最高ですね!

著者:wiz7 (id:wiz7)

Webサービスの開発会社でプロジェクト管理など、最近は企画寄りのお仕事もしています。

はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」では、プロジェクトマネジメントの他、ライフハック・IT業界の話を中心に、ビジネス全般について書いています。