今、自分にできることから考える

東日本大震災・震災支援ボランティア情報

東日本大震災にまつわる報道に触れるたびに、「自分も復興のために何かしたい」と思っている人も多いだろう。リクナビNEXTでは、現地で復興にあたる支援団体に緊急取材。現在のボランティアニーズや、ボランティアスタッフに求められる資質、支援活動にあたっての心構えなどの話を聞いた。まずは、「自分にできること」を、見つけるきっかけとして活かしてほしい。

2011年3月30日

ADRA Japanに聞く
ボランティアに必要な「心構え」とは

ADRA Japanは、全世界120カ国に支部を持つ、国際協力・支援を目指したNPO法人の日本支部。震災翌日には宮城県の被災地に入り、現在も約10人のスタッフとボランティアが、宮城県仙台市若林区で避難所の運営、高齢者施設のサポート活動などにあたっている。今回は、1988年にボランティアとしてADRA Japanに参加して以来、世界各地の災害現場で支援を続けている事業部長の橋本笙子氏に話を聞いた。橋本氏は今回の震災でも現地入りし、ボランティアスタッフを指揮している。
ADRA Japan ホームページ

ボランティアに求められる資質は?

●自分本位な支援はしない
被災地でどんな支援が必要になるかは、その時々で違います。どんな仕事でも、素直に受け入れて、最後まできちんとやり遂げる人が求められています。言葉は悪いですが、文句ばかり言う人は、現場では邪魔なだけ。ボランティアの現場では、「被災地の方々がやってほしいことをする」のが基本。「自分がやりたいこと」はできないものだと思ってください。自分が主役ではなく、あくまで被災者のことを一番に考えられることが重要です。

●人の言葉に耳を傾けられる
前述の通り、被災地の方々は、それぞれしてほしいことが違います。状況は刻々と変わるし、被害状況や復興の度合いによっても求められるものが変わってきます。一括りにはできません。目の前にいる人の声に耳を傾け、被災者の方のニーズを捉える力がとても重要です。

●自分の頭で考えられる
「受け入れる」ことが大事だと言いましたが、「黙って言われたことだけをやっていればいい」ということではありません。文句と意見は違います。活動を続けるうちに思ったことがあれば、提案してほしい。自分の考えを持てることは非常に重要です。目の前で起こっていること、人から言われたことを自分の頭で考えて、きちんと行動に落とし込める人を現場では求めています。

現在、どのようなボランティアを募集していますか?

3月26日現在、避難所には高齢者を中心に約50人の被災者たちが避難を続けている。

私たちの団体では、少し前まで避難所運営や高齢者施設の支援にあたっていただくボランティアを募集していましたが、応募が殺到したために、一度打ち切らせてもらいました。しかし、当分は継続的に支援活動を行っていくつもりですから、近々、ホームページ上での募集を再開する予定です。
避難所運営の仕事は、炊き出しを作ったり、物資を管理する以外に、避難されている方々と話をしたり、子どもたちと一緒に遊ぶことも大切な仕事です。また、交代で避難所の夜警を行うこともあります。
ボランティアの現場は想像以上に過酷です。防寒具も少ない中、夜の寒さは氷点下に達するほどの厳しさですし、食事も十分に取れるわけではありません。我々が活動拠点にしている若林区では、ようやくお店が開き始めた段階ですが、被災者の方の邪魔にならないように、現段階では買い物も控えています。物質的な不便さに加え、精神的にも過酷な状況下です。ある程度の覚悟のうえで参加してほしいと思います。
一方で、被災地に行かなくてもできるボランティアはたくさんあります。東京支部での物資や人員の調整作業、被災地支援以外の通常業務のフォローをしてくださるボランティアの方も大変ありがたい存在です。また、被災地以外でのチャリティーイベントへの参加という方法もあります。無理をせず、自分に合った方法で、できることから取り組むことが大切だと思います。

※2011年3月26日(土)時点の情報です

CIVIC FORCEに聞く
ボランティアに必要な「心構え」とは

NGOピースウィンズ・ジャパン代表理事兼統括責任者の大西健丞氏が2009年に設立した公益社団法人「CIVIC FORCE」。国内の大規模災害時に迅速かつ効果的な支援を行うための、NPO/NGO、企業、行政、政府の連携組織だ。東日本大震災では、発生2日後から宮城県気仙沼で支援活動を続ける。物資輸送ルートを開拓し、物資定期便として4トントラックを毎日10台チャーターし、ピストン輸送を行っている。今回は、同団体の事務局に話を聞いた。
CIVIC FORCE ホームページ

ボランティアスタッフに必要な資質とは?

●自己完結できる
専門職ボランティアなど事務局がサポートする場合もありますが、現状では、県外から行くボランティアの場合、交通手段、宿泊施設、食事などをすべて自分でまかなえる(自己完結できる)ことが最低条件です。

●チームの発想で動ける
現地では、あらゆる状況下で、たくさんのスタッフと共同して動くことが多くなります。「チーム」の意識を持ち、助け合いながら仕事に取り組めることが重要です。

●セルフコントロールできる
予想しなかったような厳しい状況に遭遇することも多々ありますし、想像以上にストレスがかかる現場です。自分の健康は自分で管理する、無理をしすぎないなど、セルフコントロールができないと、逆に足手まといになってしまいます。

現在、どのようなボランティアを募集していますか?

現在、急きょ募集しているのは、土木・建築関係の業務経験のある「大工」です。支援内容は、避難所で簡易風呂を作ったり、住宅の簡単な修理を行っていくこと。気仙沼市だけでも約150の避難所がありますが、多くの避難所にはお風呂がありません。ドラム缶でお湯を沸かすような簡易的なものですが、寒い被災地でも暖かいお風呂に入れるようにしていきたいと思っています。
現在は数名のボランティアの他、地元の大工の方々にも手伝っていただいて作業をしている状況ですが、それでも人手不足が続いています。現地での滞在は一週間程度を最小単位として、交代でメンバーを入れ替えていく予定です。些少ですが有償でのボランティアとして考えており、交通手段や宿泊施設、食事や寝袋はこちらで用意します。
今後は、臨床心理士といった “心のケア”に関わるスタッフなど、より専門職系ボランティアのニーズが高まるはずですし、また、そうした専門職の方々をサポートするスタッフも必要になってくるでしょう。状況はどんどん変わっていきますので、必要なボランティアを随時、ホームページなどで募集していく予定です。

※2011年3月27日(日)時点の情報です。

全国社会福祉協議会に聞く
ボランティアに必要な「心構え」とは

すべての都道府県・市町村に設置され、地域の福祉推進のために活動する社会福祉協議会。その中央組織である全国社会福祉協議会は、全国各地につながるネットワークを活かして、被災地でのボランティア活動支援や募金活動の推進などを行っている。今回は、事務局次長の渋谷篤男氏に話を聞いた。
全国社会福祉協議会 ホームページ

ボランティアスタッフに求められる資質は?

●丁寧な気配りができる
被災地は高齢者の方々が住む地域が多く、しかも大都市ではありませんから、外部から人がたくさん入ってくることに抵抗感を感じる方もいらっしゃいます。ボランティアには感謝の気持ちを持つ一方で、状況が状況なだけにナーバスになる人も。なかなか難しい問題ですが、ボランティアに参加する方は、あくまで「自分は外から来たんだ」という自覚を忘れないでください。

●自分のものは自分で用意できる
ようやくガソリンも手に入るようになりつつあり、水やガスの復旧も進んできましたが、まだまだ被災地ではものや資源が足りていません。食事や宿泊施設は、自力で確保しましょう。それらも現地で調達するのではなく、自宅から持っていくことを心がけましょう。被災地の方々に迷惑をかけないことが大切です。

●できることが明確になっている
「ボランティアとして、これができる」「これが得意だ」というものがあることは大事です。しかし、なかなかその通りにいかない場合もあることを理解しておきましょう。そのうえで、例えば「炊き出しができる10人のグループ」など、自分にできることが明確になっていれば、現地のニーズとも合わせやすいかもしれません。

現在、どのようなボランティアを募集していますか?

最近になってようやく、被災地では外部からの一般ボランティアの受け入れも始まってきました。
現場でのあらゆるボランティアニーズは、その時にならないとわからないというのが正直なところです。炊き出しや物資管理といった仕事以外にも、例えば「泥をかき出す」「ものを運ぶ」など、内容はさまざまです。一方で、今後、介護福祉士などの専門職系のボランティアのニーズも高まります。まずは、社会福祉協議会が設置している災害ボランティアセンターに足を運んでみてください。もしくは、事前にインターネットなどの情報提供サイトや、すでに現地で支援に当たっているさまざまなNPO団体のサイトからも情報を手に入れることができます。
また、被災地が募集する県外避難者の受け入れ施設でのボランティアもありますが、こちらは現在、希望者が殺到している状態のところもあります。募集再開については、ホームページもしくは避難所に問い合わせてみてください。
なお、ボランティアを行う前に一つアドバイスを。できれば、出発前に「ボランティア保険」に入っておくことをお勧めします。現地でのボランティア活動だけでなく、被災地に着くまでの事故災害などにも適応されますので、安心してボランティアに参加できるはずです。市町村の社会福祉協議会の窓口に行けば、すぐに加入できますよ。

※2011年3月28日(月)時点の情報です。

災害ボランティアに
応募するにあたって守りたいこと

●「自己完結」が原則
震災からまもない現在の状況では、「自己完結型」のボランティアが求められている場合がほとんどだ。「自己完結型」とは、被災地までの交通手段、現地での宿泊、食事を自分で調達できること。そうでないと被災地に迷惑をかけてしまうことになりかねない。

●「できること」を明確にしよう
職務経歴書が送られてきても、書かれている業務内容が理解できず、結局「何ができる人なのか」わからない場合も多いという。ボランティア事務局の人がすぐに理解できるように、専門用語は避け、簡潔に「自分にできること」「得意なこと」をまとめよう。

●返信がなくとも怒らない
少ない人数で、寝る暇もなくさまざまな対応に追われているボランティア事務局も少なくない。ボランティアの募集をして大量の応募がきた場合、参加してほしい人にだけ返信をするケースもある。

●不必要な問い合わせはしない
例えば「食事は自己調達」と書かれている場合に、どのくらいの量を持っていけばいいのかなど、参加が決まる前から電話やメールをすると、ボランティア事務局の迷惑になることがある。応募要項をよく読み、自分で判断して行動しよう。

●体を壊さないだけの体力があるかどうかが重要
4月に入っても、東北地方はまだまだ寒い。雪が降ることもあるし、特に明け方などに氷点下を記録することもあり得る。また、トイレや消毒用アルコールが不十分など、不衛生にならざるを得ない状況もある。そんな状況でも、体を壊さないだけの体力があるか、考えよう。

●マニュアルを求めない
ボランティアの現場には「こうすればよい」というマニュアルなどない。自分で考えて行動できなければ、周りに迷惑をかけるだけだ。また、状況は刻々と変わっているので、日程や作業内容の変更にも臨機応変に対応しよう。

●無理をしない
他人に迷惑をかけてまでボランティアを行うのはNG。現地の人に頼まれても危険な作業はしないなど、精神的・肉体的なセルフコントロールがきちんとできることが大事。

ボランティア情報はここで探そう

ボランティアへの参加応募や、ボランティアを行いたい人のために情報収集ができるサイトを紹介します。※参加される際は、応募要項をよく読んだ上でご自身の判断で行うようお願いいたします。

Yahoo!復興支援ポータルサイト
震災関連のインターネットサービスを紹介する情報サイト

助け合いジャパン
内閣官房震災ボランティアと連携し、被災地・被災者の状況を情報提供する民間プロジェクト

kvネット
関西発、ボランティア活動にまつわる情報提供サイト

東日本大震災支援全国ネットワーク
全国の災害支援関係の民間団体をつなぐネットワーク

まずは「自分にできること」から

被災地の状況は、今この瞬間も刻々と変わっている。現場で求められるボランティアニーズも、復興段階によって変わるだろう。まずは、自分にもできそうなことは何か、どんなかたちで支援に携わりたいのかを考えてみよう。そして、そのための手段にどんなものがあるのかを、今回紹介したサイトなどを使って調べてみるのがいいだろう。被災地に行かなくてもできるボランティアもたくさんある。無理なく自分にできることから。それを忘れないようにしよう。

リクナビNEXTスカウトにレジュメを登録し、
自分に合った仕事を見つけよう

リクナビNEXTスカウトに登録すれば、これまでに意識して探さなかった思いがけない企業からオファーが届くこともある。いろいろな企業に興味を持つことで、将来を考えるきっかけにもなるはず。チャンスを広げるためにも、ぜひ活用してみよう。

スカウトに登録する

EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
ILLUST
さのまきこ

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)