給与は?残業時間は?仕事のやりがいは?

「28歳・営業職100人」のリアルレポート

長引く不況で、給与がダウンしたり残業が増えたりと、このところ職場環境がやけに厳しくなってはいないだろうか。「こんなに大変なのは自分だけ?こんな会社辞めてやる!」と今の職場に見切りをつける前に、周りの人たちの状況を確認してみよう。
今回編集部では、28歳、営業職のビジネスパーソンに焦点を当て、100人にアンケートを実施。ビジネスパーソンとして充実まっただ中の時期。そんな彼らは、果たして何に満足し、何に不安を感じながら日々働いているのだろうか。今を生きる28歳・営業職の「相場感」を、アンケート結果から読み取っていこう。

2011年1月12日

アンケート結果から本音に迫ろう

 28歳・営業職の実態をつかむため、全国のビジネスパーソンにインターネットを通じてアンケートを実施した。対象は、2010年12月1日現在で28歳の、営業職として働く100人(男性62人、女性38人)。アンケート結果の検証を行った後、2人のモデルケースを紹介。「28歳・営業職」の本音に迫る。
※アンケート実施時期:2010年12月 協力:メディアパーク

みんなはどうなの?
これが「28歳・営業職100人」の現状だ!

【役職】8割以上がこだわらず

 「役職なし」という人が8割を占め、残りの2割も主任級と係長級のみという結果に。それを反映してか、希望のキャリアパスについては「マネージャー志望」の人がわずか15%のみ。それ以外は「現場にこだわる営業プロフェッショナル」と「営業以外の仕事に就きたい」の真っ二つに分かれた。28歳といえば、チームリーダーになるなど役職が付与され始める時期。にもかかわらず、「管理職」という立場に魅力を感じていない人が多いようだ。「会社で出世するより、一生食べていけるようなスキルを持ちたい」といったプロフェッショナル志向の人が増えているが、今回の結果にもその傾向が現れている。

【給与】高望みはしないが、「少なすぎる」と嘆く人が多い

 最も多かったのが300万円代で36%。200万円から499万円の間で全体の83%を占める結果となった。また、金額については全体の4分の3の人が「満足していない」と回答。その理由について聞いたところ、「不満」と答えた人のほとんどが「残業代が出ない(少ない)」「貯蓄する余裕がない」「不景気で給料が下がった」のいずれかを挙げていた。「前年よりも忙しいのに、給料だけは下がった」(女性/不動産・建設)、「手当などで給料アップがないと割に合わない」(男性/IT・通信系)、「税金が高すぎる。もっと給料をもらわないと生活が成り立たない」(男性/商社系)、「営業成績を残しているにもかかわらず、基本給が年代で反映される」(男性/不動産)など、悲痛な叫びが多かった。
一方、「満足している」理由については、「とりあえず生活できているから」と「仕事量に見合っているから」に二分された。なお、実家住まいという人のほとんどが、「貯蓄もしやすいし、特に困ることはない」という理由で満足と回答。
「満足」「不満」双方の理由を見比べてみて分かるのは、「働いた分だけきちんともらえて、生活に困らなければいい」と考えている人が多いということ。あまり高望みはしない傾向だといえそうだ。また、給与額が少ないことにより、貯蓄ができないことに不安を感じている人が多かった。

【残業】8割以上がほぼ毎日あり

 一日の平均残業時間が「2時間以上、3時間未満」という人が全体の3分の1という結果に。中には「6時間以上」「7時間以上」という人も。一方、「残業なし」という人は19%とやや少なめか。
忙しすぎるために残業せざるを得ないという人も多く、不景気による人員削減の影響が表れているのかもしれない。また、給与の欄でも触れたが、残業時間の量もさることながら、「残業代がきちんと支払われない」ことに不満を感じている人がとても多いようだ。

【転職経験】半数が経験あり。「転職したい」人も多数

 「ある」と「なし」でちょうど半々という結果に。「ある」と回答した人のうちで最も多いのは1回の人だが、どの回数もまんべんなくおり、「いいところがあれば転職する」と考えている人が多いことがわかる。
なお、Q2や、「将来への不安」について聞いたQ5の回答を分析すると、「すぐにでも転職したい」と考えている人は、「給与面での不満」や「会社の将来性への不安」「扱う商材への不満」を理由としている人が多かった。

【将来】会社、商材、年金、体力…不安は尽きない

 84%もの人が、将来に対して何かしらの不安を感じている。不況続きで先行き不透明の今だからこその結果か。「雇用は不安定だし、将来年金がもらえるのか…」(女性/商社系)、「だんだん海外へ仕事が流出していて心配になる」(男性/メーカー系)、「自社がというより、業界や市場の変化に不安を感じる」(男性/流通・小売系)、「会社自体の将来の方向性が見えてこない」(女性/サービス系)、「ほかの業種に転職したとしても、通用するのか不安」(男性/メーカー系)。
営業職ならではの回答として、商材について挙げる人も。「扱っている商材が時代遅れの感じがある」(男性/流通・小売系)、「商材が今後生き残っていけるのか不安」(男性/流通・小売系)、「中国などの新興国に製品の市場を奪われて仕事がなくなるのでは…」(男性/メーカー系)。
また、意外に多かったのが“体力への不安”。「体力仕事なので、今後同じように続けられるか不安」(男性/サービス系)、「ずっと続けたいが、体力が持たなくなるような気がしている」(女性/不動産・建築系)。外回りを行うこともある営業職には、体力勝負の一面があるようだ。
「不安がない」人の回答は…「ベンチャーのような職場なので、何でも自分でやることでジャンルを超えたスキルが身についているから」(女性/サービス系)、「どの仕事でもこなす自信がある」(男性/不動産・建設系)、「どんなことが起こっても、意外とやっていけると思っている」(男性/メーカー系)。やはりどんな世の中であろうと、自分自身が強みとなるスキルを持っていれば不安も感じないということなのだろうか。

【仕事内容】7割近くが「好き」。商材への思い入れも強い

 66%の人が「好き」と回答。中でも、「営業という職種が好き」という人が多かった。「創造性のある仕事だから」(男性/IT・通信系)、「クリエイティブな仕事ができるから」(男性/IT・通信系)、「仕事を通じて自分自身が成長できるから」(男性/金融・保険系)、「さまざまな人と会話ができて楽しい」(男性/商社系)、「学生時代に専攻していたことが活かせているから」(男性/メーカー系)、「毎日、知識や経験が高められる」(男性/IT・通信系)、「取引金額が大きく、緊張感のある仕事だから」(男性/流通・小売系)。
中でも営業ならではと感じるのが、“商材への思い入れ”。「大好きな雑貨や洋服を扱っていて、やりがいや楽しみがあるから」(女性/流通・小売系)、「自信を持って売れる商材を扱っているから」(男性/流通・小売系)、「必要であるものを販売しにいくので、後ろめたい気持ちが全くない」(男性/流通・小売系)、「いろいろな商品があり、自ら選択できるから」(男性/サービス系)。
一方で「好きではない」人は、「法律の縛りが強くなりすぎて、顧客のほうを向いた仕事ができなくなってきた」(女性/サービス系)、「話を聞いても、受注になかなか結びつかないから」(女性/金融・保険系)などと回答。また、「会社に便利に使われているようにしか思えない」(女性/サービス系)、「自分で判断できる場面がほとんどない」(男性/IT・通信系)など、職場環境や仕事の進め方を原因に挙げる人もいた。

【やりがい】「人との出会い」の中に見い出す人が多数

 フリーアンサーで答えてもらったが、やはり圧倒的に多いのが“たくさんの人に会える”こと。

「いろいろな人と会話ができること。おかげで物事がいろいろな角度から見られるようになった」(男性/流通・小売系)、「さまざまな人と会うことができ、その人の役に立てること」(男性/金融・保険系)、「社内にとどまらず、いろんなところへ行ってたくさんの人と会話をすることで、人生が充実する」(男性/流通・小売系)など、人との出会いを通じてコミュニケーション力がつき、成長する機会が多いという意見がほとんどだった。
また、「仕事の成果が数字でわかり、給与に反映されるところ」(女性/金融・保険系)のように、結果のわかりやすさをやりがいとして挙げる人も多数。「結果が数字で残るので、頑張っていい数字を出せたときは励みになる」(女性/サービス系)、「目標が明確に持てる」(女性/サービス系)。
ほかには、「自ら考えて行動できる。自分で責任が持てるからこそ、やる気が出る」(女性/メーカー系)、「自分の印象が会社の印象を決めること」(男性/流通・小売系)、「自分の裁量で仕事ができる」(女性/IT・通信系)、「異業種の現場を知ることができる」(男性/流通・小売系)、「お客様に『ありがとう』と直接言ってもらえる喜び」(女性/IT・通信系)、「自分で仕事を作り出せる」(男性/メーカー系)、「外回りの合間の時間に気分をリフレッシュできる」(女性/メーカー系)などなど。
全体的に、クライアントと直に接することができるところに、やりがいを見い出している人が多いようだ。

【仕事選び】仕事内容、報酬額を軸に探す人が多い

 僅差で「仕事内容」がトップ。自分にできるかどうかを基準に、“職種軸”で仕事を選ぶ人が多いことの表れか。次いで給与や賞与、インセンティブなどの「報酬」が31%。現状の給与額に不満を感じている人が多いことからも納得できる結果だろう。通勤時間や勤務地などの「募集条件」を選んだ人は26%。“企業風土”や“価値観が合うか”などの「働きごこち」を選ぶ人は8%と最も少なかった。

「28歳・営業職」が
働くうえで大切にしているものは?

【Case1】不動産営業のAさん(男性)の場合

 日々感じているのは、「自分の業績や成果がきちんと評価されるかどうか」が、何よりモチベーションを左右するということです。今の会社はどちらかというと年功序列を大事にするため、もし転職するなら、評価制度をきちんと見極めたいと思っています。働くうえで大切にしているのは「仕事の影響力」。営業職を選んだ理由でもあるのですが、仕事を通じて人や社会に大きな影響を与えたいという気持ちが強いです。そのためには、積極的なチャレンジを認めてくれる社風がいいですし、不動産や金融などの専門分野も極めたいと思っています。たとえ時間がかかったとしても、根気よく仕事に取り組むことを許してくれる環境があるといいですね。また、社会人になって最初の上司を今でも尊敬しているので、自分自身も同じように「人を育てたい」という気持ちが年々強くなってきています。ですから、ある程度は成熟していて、教育体制が整っている組織がいいですね。

【Case2】IT系営業のBさん(女性)の場合

 何事に対しても、「なぜだろう?」と問題意識を持つことが大切だと思っています。よって、時には従来のやり方に縛られず、よりよい方法を考えながら変革を選べる会社で働きたいですね。今の会社は設立2年のベンチャーで、年齢や経験を問わず自由に意見できるため、とても働きやすいと感じています。あとは、人間関係も大事です。前職でアパレルの店員をしていた時は、「営業職=個人プレー」と思っていたのですが、実際にやってみたら大違い。実はチームワークが大切です。異なる志向や能力、行動特性を持つ人たちと、一体感や団結力を共有できる組織で働ければ、成長につながるのではないかと思います。また、ブランドや知名度があるよりも、理念やビジョンが明確であることのほうが大事ですね。営業として結果を出すことはもちろん大切ですが、プロセスをきちんと評価してくれる上司の下で働ければ、モチベーションも上がり、頑張れるように思います。

「働きごこち」を意識して、自分にぴったりの環境を見つけよう

「営業の仕事が好き」と回答した人が多かったことや、「仕事のやりがい」が多種多様だったところに、営業の仕事の奥深さを感じることができた。
一方で、営業職の場合、給与体系や給与額、扱う商材や条件面などが求人広告から比較的読み取りやすいため、職場選びの際に、社風や会社との相性や、“どんなふうに、何を大切に働きたいか”などの「働きごこち」を見落としがちだ。実際、今回の調査結果(Q8)でも、「働きごこち」はあまり重視されていなかったが、実は満足度を左右することが多い重要な指標。自分の“大切にしたい価値観”は何なのか、きちんと整理しておこう。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
ILLUST
原田弘和

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